2004年10月

国民健康保険料のコンビニ収納。政令指定都市で最初の導入。

医療制度改革により、平成15年度から国民健康保険料のコンビニ収納が認められるようになった。これに基づいて川崎市では、同年8月よりコンビニ納付をスタートしている。これは全国の政令指定都市の中でも最初の試みである。コンビニ納付への取り組みについて、川崎市健康福祉局地域福祉部保険年金課長である五十木一夫氏と、実務担当者である飯塚仁氏に話をうかがった。

川崎市健康福祉局 地域福祉部 保険年金課長 五十木一夫氏 川崎市健康福祉局 地域福祉部 保険年金課 飯塚仁氏

収納率低下に歯止めをかけたい

国民健康保険を支える保険料の収納率が、年々低下している。収納率低下の原因はいくつか考えられるが、ひとつには加入者層の変化がある。いわゆるバブル崩壊後、リストラで職を失った中高年などが国民健康保険の加入者に加わっているが、さまざまな理由から保険料を納められない加入者が増加するという事態が起きてきている。
「川崎市は昭和33年から全国に先駆けて保険料を徴収するシステムを作ってきましたが、当時の徴収率は98パーセント程度と高く、政令指定都市の中でもトップの座を維持していました。しかし時代背景の変化に伴って収納率は右肩下がりになっています。少子高齢化に加えて、経済不況が拍車をかけている状況です。加入者の中で、収入のある層が減っているのです」と五十木氏は語る。
川崎市における収納率を見てみると、平成12年度には89%台を維持していたものが、平成13年度は88.73%、平成14年度は88.02%と、じりじりと下がり続けている。
保険料収納の方法は、区の窓口や銀行、郵便局で支払う方法と銀行からの引き落とし、そして徴収員による訪問集金がある。複数の納付方法がある中で、払いたくても払いに行けないという、被保険者側の声も聞かれる。保険料を納めようと思っても、役所や銀行が開いている時間には窓口に行けないといった問題だ。また徴収員による集金も壁に当たっている。多くのマンションにオートロックが採用され、なかなか被保険者に会えないことも多い。また仕事の都合などで不在の被保険者も多く、何度訪問しても留守という場合もある。

政府発表直後にコンビニ収納を検討

「収納率の向上と利便性のアップを目指すための基盤整備を図る中で、コンビニ収納に向けた取り組みをスタートさせました」と五十木氏。
川崎市がコンビニ収納に向けた取り組みをスタートしたのは、医療制度改革が発表された直後の平成15年の1月。そこから実際のコンビニ収納を実施するまでの期間は、わずか7カ月というスピードであった。
川崎市では年に2回、保険料の算定を行っている。4月に暫定的な保険料を一度通知し、8月に再度、正式に確定された保険料が通知される。「コンビニ収納を始めるのであれば、この8月のタイミングに合わせようということで精力的に取り組みました」(五十木氏)。
準備段階ではさまざまな問題点があったが、それらを一つ一つクリアし、実現にこぎ着けた。担当者として実務を全面的に取り仕切った飯塚氏は、国民健康保険料コンビニ収納導入にあたり、苦労も多くあったと話す。
「まず最初に問題になったのが、納付書の形です。従来の銀行や郵便局での納付に必要な情報を盛り込みつつ、コンビニ収納の形に合わせて、コンビニ用の納付書にした場合、そのままではOCRのデータが収まりきらないという問題も生じました。印刷されていたデータをレイアウトし直したり、それに合わせて読み取る側のOCRプログラムを修正するなど、既存のシステムへの影響も少なからずあり、それらの調整も必要でした」。
コンビニ収納に使用できる用紙の仕様やバーコードの設計は、どこでも頭を悩ませる部分である。例えばバーコードとして表示できる桁数には限りがあり、またすでに使用用途が決められている桁や、コンビニ収納業者側で必要とする桁もある。そのため、収納機関側で情報を盛り込める桁数は限られているが、NTTデータではこうした点でも工夫を凝らし、必要な情報を盛り込めるよう、他社との差別化を図っている。

セキュリティなど総合力でNTTデータを評価

コンビニ収納を行うには、各コンビニエンスストアと直接契約する方法と、収納代行業者を利用する方法がある。川崎市では、収納代行業者を通じてコンビニ収納を行う方式を選択した。8社が参加した入札で選ばれたのは、NTTデータ。これにはもちろん理由がある。
「国民健康保険の保険料は、いわば税金と同じ、公金です。川崎市は人口も多く、国民健康保険の加入世帯数も23万世帯を超えています。収納する金額も大きいため、企業としての信用度が一つの基準となりました。この点については、会社規模がある程度大きいということ、また財務評価が高いことなどを目安として検討しました。NTTデータについては、現行で行なっている業務内容が、国民健康保険料の徴収としてこちらが要求するものに最も近かったというのも、理由の一つです。公共的なものを多く手がけてきたNTTデータなら、保険料のコンビニ収納もスムーズに実施できるだろうという期待感もありました」。価格面だけでなく、総合的な評価での判断ということだった。
またこうしたシステムで必須なのが、セキュリティ・個人情報保護についての配慮である。「加入者の名前など、個人情報を扱うわけですから、当然高いセキュリティが必要になります。公金の安全管理と個人情報の保護、この二つは特に重要な課題として、業者選定の際の基準と考えました」(五十木氏)。
NTTデータでは、全社的な取り組みとしてセキュリティ・個人情報保護への対策を行っている。NTTデータが提供するInternet Data Center(IDC)であるEXFORTで厳重に管理され、伝送される際も暗号化するなど、万全のセキュリティ対策が施されている。これまでに蓄積した決済ネットワークの実績も生かして、安全性の高いシステムを構築している。これも評価のポイントだった。

コンビニ収納代行サービス説明書

スタート半年ですでに半分はコンビニ収納に

コンビニ収納による効果はすでに表れている。「窓口による納付では、区の窓口、銀行、コンビニの三つがあることになりますが、これまでは銀行からの納付が多かったものが、平成16年2月頃からはコンビニ納付の割合が増加しています。区の窓口以外からの納付分について、銀行とコンビニでほぼ半々という割合まできており、非常に手応えを感じているところです」(五十木氏)。
コンビニ納付をスタートした8月からの累積で、コンビニから納められた保険料は約12億円。この12億円の中には、これまでは納められていなかった保険料も含まれている。今後はこの額をさらに上げ、収納率の向上を目指す必要があるが、それには「被保険者の意識改革をどう図るかがネック」という。
コンビニ納付によって分かった事実もある。納付される時間帯だ。12時台と3時以降が突出しており、特に3時から6時は最も多くなっている。ここからはお昼休みにちょっと立ち寄って納めたり、また銀行閉店後や仕事帰りに納めるというパターンが読み取れる。
「銀行は閉まっていても、コンビニは24時間、365日開いています。コンビニは市民生活にすでに根付いているため、そこから納付できるというサービスが広く認知され、納付意識が芽生えていけば、さらに収納率は向上すると考えています」(五十木氏)。
地域にもよるが、銀行や郵便局に比べて店舗が多いコンビニを利用することで、収納窓口を増やすことができた点は大きい。現在川崎市で保険料を納付できるコンビニは、10社11チェーン(平成16年4月時点)。これらの店舗すべてが納付窓口となるわけだから、気づいたときにすぐに払えて、気軽に寄って払えるコンビニの存在が、納付意識の向上に役立っているというわけだ。またコンビニの待ち時間は、郵便局や銀行に比べると圧倒的に短い。この点も、納付者の抵抗を減らしていると言えよう。
順調なスタートを切った、川崎市のコンビニ納付。今後はさらなる納付意識の向上へと、川崎市の取り組みは続いていく。

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