2005年4月

電子契約システムの普及にe-文書法が追い風。3年も前から間接コスト削減に大きく寄与してきた、大成建設の電子署名契約システム。

e-Japan戦略において大きな役割を担う「e-文書法」注1が施行され、取引の証拠となる伝票などを電子化して保存し、紙の原本は破棄しても良いことになった。これはとりもなおさず、企業間にまたがるビジネスプロセスそのものを電子化することが可能になったことを意味する。大成建設では7年前から、専門工事会社との間で電子調達システムを運用し、電子署名契約システムにも1171社が参加。専門工事会社も大成建設も間接コスト削減という大きな成果をあげている。大成建設の先進的な取り組みとその成果は、企業間取引の電子化がどれだけ大きなインパクトをもたらすのかを雄弁に物語ってくれる。

  • 注1e-文書法

    「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(通則法)」と「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(整備法)」の総称

大成建設株式会社 建築本部 調達部 次長 鼠入俊之氏

7年前から電子調達システムを運用。現在の参加企業は3500社

「7年前の電子調達スタート当初は、参加企業が伸び悩み、プロジェクト推進者としては胃がキリキリと痛む毎日でした。その後、電子調達の良さに電子契約の威力が加わって、参加企業も順調に伸びてきました。そこへ2005年はe-文書法の施行でしょう。もう『待ってました!』という感じで、電子調達/電子契約普及の強力な後ろ盾ができたと喜んでいます」と、大成建設株式会社 建築本部 調達部 次長 鼠入俊之氏は顔をほころばせる。
大成建設は、「専門工事業者」と呼ばれる建築工事下請業者との調達業務を効率化するために、電子調達・購買システム「たいせいG-net.Information」(以降「G-net.」と表記)を開発して、1998年6月から運用を開始した。
G-net.は、見積から契約、出来高、請求に至るビジネスプロセスをカバーする情報システムである。たとえば、大成建設の調達担当者が見積依頼を書き込むと、複数の工事業者がこれを見てシステム上で見積回答するため、調達担当者は手間をかけずに公正な相見積をとることができる。契約書、工事予定表などの書類のやりとりもシステム化されている。それまで特定のプロジェクトに限定して電子調達を取り入れた例はあったが、全国規模でのシステム導入は、ゼネコン(総合建設会社)として初めてという先駆的な取り組みであった。
スタートしてから1年半ほどは、参加企業が200社程度で低迷したが、2000年に入ってから急増し、2001年初頭にはついに2400社に達した。建築業者を対象にしていたG-net.は、現在では、土木業者まで範囲を広げて、物品調達を含む総合調達システム「TRIOPLAZA」として生まれ変わった。参加企業も3500社に達した。今後も、建設業界標準のEDI規約である「CI-NET」と協調しながら、進化を続けていく。

契約書のやりとりも電子化して大きなコスト削減効果

スタート当初のG-net.にはカバーできないビジネスプロセスがあった。建設業法で、工事契約書は紙として保存することが義務づけられていた。したがって契約書だけは紙に出力し、収入印紙を貼って、郵送か手渡しでやりとりしなければならなかったのである。
2001年4月に書面一括法が成立し、さまざまな法律で「紙の書面」が指定されていた条項を、電子でも良いと一括して改正することになった。建設業法もこれに対応して改正され、ようやく電子契約が法的に認められた。
鼠入氏は勇躍して、電子署名を用いた電子契約の仕組みの開発に取り掛かった。2002年4月には、電子署名契約システムが稼動を開始。G-net.はこの時点で、ビジネスプロセス全体を網羅する電子調達システムとして完成形に至った。
電子署名契約システムの意義は、収入印紙代が要らなくなるといった目先のメリットにとどまらない。最大のねらいは、不要な人の動きを減らして、間接コストを削減することである。
一般に、ゼネコンの施工コストに占める下請け外注費の割合は、資材費を含めると約70%に達するといわれる。電子契約によって専門工事業者の間接コストを下げることは、とりもなおさず、大成建設本体の施工コスト縮減につながるのだ。
「工事業者は、書類提出のたびにいちいち大成建設に出向いていました。契約書に修正があると、その繰り返しですそれも意思決定権を持つ責任者が来なければならないため、多大な人件費と時間のロスが生まれていたのです。全国で最初に電子署名契約システムに参加すると手を挙げたのが沖縄の専門工事業者であったことを見ても、遠隔地の専門工事業者の負担がいかに大きかったかがわかります」と鼠入氏は感慨深げに語る。
電子調達の威力を体験しているだけに、電子署名契約システムの普及は速かった。2004年8月時点で、1171社がこのシステムを利用できる電子証明書を取得しており、スタートから2年半で累計25400契約がこのシステムを使って取り交わされた。鼠入氏の予想を超える成果である。

NTTデータらとともに設立した「CEC.COM」を第三者認証局に

電子署名契約のしくみで重要なのは、電子署名が本人のものであることを認証したり、契約書の原本性を保証するのは、大成建設や工事業者ではなく、信頼できる第三者機関でなければならないということだ。
「2001年時点では、法人を対象とする第三者認証局は存在しませんでした。そこで、世の中にないサービスを新しく提供できるベンダーを探さなければなりませんでした。そして、数年先の動向を理解してくれたうえで、信頼のおける認証局を新たに設立する企業力を持ったパートナーとして、NTTデータを選んだのです」と鼠入氏は言う。
大成建設は、NTTデータらとともに設立したコンストラクション・イーシー・ドットコム(CEC.COM)社注2の特定認証局「CECSIGN認証サービス」を第三者認証局として利用することにした。
NTTデータがバックについていれば、設立したばかりの会社でも品質の高いサービスを提供できる。法人税法が定める10年間の電子保存も、強固なデータセンターを持つNTTデータが協力するので安心だ。また、いずれのハードウェアメーカーからも中立的立場であるため、さまざまな取引先を持つ専門工事業者が気兼ねなく参加できる。
電子契約サービス「CECTRUST」の開発にあたっては、SecureSealをはじめとする技術力の蓄積があることも評価した。SecureSealは、タイムスタンプ技術を使って、電子文書が改竄されていないという原本性を証明するサービスである。電子署名とこの電子文書証明サービスを組み合わせることで、長期にわたる原本性保証の信憑性を高めることができる。

  • 注2CEC.COM社

    2000年8月に設立。NTTデータ、大手ゼネコン5社(大林、鹿島、清水、大成、竹中)などが出資する建設業を含む全産業における電子商取引(EDI)推進をサポートする事業を行う企業。2002年3月より電子契約サービス「CECTRUST」及びそれに用いる電子証明書「CECSIGN認証サービス」を開始し、現在、電子契約に特化したASP事業を行っている国内初かつ導入実績No1。

e-文書法の追い風を受けて、ASPサービスを全産業へ拡大提供

電子署名契約システムは、4つの大きな成果をあげている。
第1に、専門工事業者の間接コストが大幅に削減できた。2003年度だけでも節約できた印紙代は1億円弱にのぼる。人件費、時間ロスsの削減効果は計り知れない。
第2に、紙の書類の整理/管理作業が不要になり、事務処理の効率化により大成建設の間接コストも削減できた。
第3に、業務改革が進んだ。当初は予想しなかったことではあるが、システム化すると、業務フローの非効率的な部分が誰の目にも明らかになるのだ。
そして第4に、これらの成果を総合した形で、大成建設のコスト削減が推進できた。専門工事業者の負担金は極力低く設定しているが、システム開発への投資は5年で回収できる見込みである。
次の課題は、契約書以外の文書の電子化だ。建設業界は、紙のやりとりが多い。図面をはじめ、労働基準監督局へ提出する書類も、発注者や設計事務所とのやりとりも紙が基本だ。
「電子署名契約システムの利用を、契約書以外にも広げていきたいと考えていた矢先に、e-文書法が施行されて、大変に心強い。電子署名契約と文書の電子化のメリットを一緒にして、幅広い人を説得して回ることができます。しかも法律の内容を見ると、4年も前に考えたビジネスモデルとぴったり適合しています。結果として、法律のほうが大成建設の取り組みを追いかけてきてくれました」と鼠入氏は語る。
数年後を先取りできたそのポイントは、電子契約の署名やタイムスタンプ機能を、業務に特化させずに、汎用性の高いASPサービスとして提供したところにある。CEC.COM社は大成建設という特定企業のための第三者機関ではなく、電子契約サービス「CECTRUST」をASP提供する、電子商取引(EDI)をの推進サポートを行う会社である。したがって、e-文書法を契機として新たなコスト削減策を検討している幅広い企業に向けて、ビジネスを拡大していくことができる。
現在、CEC.COM社が提供する「CECTRUST」は、全産業を対象とする電子契約サービスとして、1300社3万件以上の利用実績を誇っている。
「電子署名契約の部分だけでなく、TRIOPLAZAをベースにした電子調達のしくみ全体も、建設業界に限らず幅広く提供できる可能性があります。今後のeマーケットプレイスのビジネスでも、NTTデータとWin・Winの関係を築いていきたいですね」と鼠入氏は目を輝かせた。

電子契約サービス CECTRUST(R) 概要

お客様プロフィール

社名

大成建設株式会社

本社

東京都新宿区西新宿1-25-1

創業

1873(明治6)年10月

設立

1917(大正6)年12月28日

資本金

943億4829万8842円

売上高

1兆2325億6200万円(2004年3月期)

事業概要

日本を代表する大手建設会社のひとつ。オフィスビルの設計に「性能表示」を導入した新しい設計手法「オフィス性能設計システム(T-Performance)」を推進中。

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