2006年8月

オープンソースソフトウェアによる大規模基幹系業務システムを構築。

旧・阪神高速道路公団の民営化によって誕生した阪神高速道路株式会社は、基幹系業務システムを刷新するにあたって、Linuxを中心とするオープンソースソフトウェア(OSS)によるスクラッチ開発を選択。公会計と企業会計が共存する独自システムのスムーズな開発に成功した。OSSの採用で透明性と将来性に優れた業務基盤を手に入れるとともに、フレームワークの導入やシステム設計の工夫によって、ミッションクリティカルな基幹系業務システムに求められる高い信頼性と性能を達成したのである。

阪神高速道路株式会社 執行役員 浅野 博司氏、阪神高速道路株式会社 経理部長 岩田 文行氏、阪神高速道路株式会社 経理部 マネージャ 田代 千治氏

「公会計と企業会計の共存」に挑む

東神戸大橋

東神戸大橋

2005年10月1日、43年の歴史を持つ「阪神高速道路公団」はピリオドを打ち、阪神高速道路株式会社(以降、「阪神高速道路」と表記)がスタートした。
民営化にあたって、苦労したことのひとつが、会計システムの刷新だ。
株式会社と言っても、会計の基本は予算執行会計を踏襲することになる。しかも同時に、勘定科目と財務諸表で構成される民間企業会計で決算を行わなければならない。したがって、公会計と企業会計の共存という、特殊な形態の会計システムを構築しなければならなかった。

OSS開発でシステムの透明性と先進性を追求

新会計情報システムの構築にあたって、阪神高速道路は、オープンソースソフトウェア(OSS)によるスクラッチ開発を行うことにした。
スクラッチ開発を選択したのは、公会計を企業会計と連携させる機能を持つパッケージ製品は存在しないからだ。このようなケースでERP製品をベースにすると追加開発が膨大になりすぎる。
LinuxベースのOSSを組み合わせてアプリケーションを開発していくことにしたのは、OSSが持つオープン性、透明性、先進性、将来性を高く評価したからだ。
「従前の会計システムは、COBOLで組んだ一枚岩のようなシステムで、機能を足したり変更したりすることがほとんどできませんでした。しかしこれからは、業務のやり方も会計制度もどんどん変わっていきます。システムも、業務内容やサービスの変化に応じていつでもどの部分でもプログラムを変更することが可能であるような柔軟性がなければいけません」と、経理部 マネージャ 田代千治氏は語る。
ミッションクリティカルな会計システムをOSSで構築した例は世界的にもまだほとんどなく、リスクを伴う開発であることは阪神高速道路も十分に承知していた。しかし、そのリスク以上に、先進のシステムづくりに挑戦する価値のほうが高いと判断したのである。

技術力を結集してOSSによる基幹系システム開発に成功

天保山大橋

天保山大橋

新会計情報システムは、2003年初頭から上流工程のヒアリングを開始し、2003年10月、加算方式による総合評価落札方式で技術力とコストを評価されたNTTデータが下流工程のシステム開発を受注した。約2年間にわたる開発とテスト運用を経て、2005年10月、新会社のスタートとともにスムーズなカットオーバーをすることができたのである。

新会計情報システムは、15サブシステムで構成され、1300の機能を持つきわめて大規模なシステムである。株式会社方式について詳細が決まらないうちに開発をスタートし、国の方針変更に対応しながら開発を進めなければならないという事情もあった。そこでNTTデータは、自社開発のフレームワーク「TERASOLUNA®」を導入して、大規模開発の生産性向上と品質維持を図った。また、入力項目およびチェック項目が多いことから、入力プロセスにおける通信負荷を軽減するためにリッチクライアントを採用。プレゼンテーション領域の開発には、クライアントOSであるWindowsと親和性の高い.NET Frameworkを用いた。
OSS開発のポイントは、ソフトウェアの組み合わせと事前検証にある。NTTデータは、「OSDC(オープンソース開発センタ)」というOSS専門の技術支援組織のノウハウを活用して、信頼性と性能が高度に求められる大規模基幹系システムの開発をスムーズに進めた。

「先進の道路サービス」を支える先進のシステム基盤

2006年4月、阪神高速道路として最初の年度決算が実施され、予定どおり、5月2日の取締役会に決算報告を提出した。
「内容的に申し分のない、的確な資料を出せました」と、執行役員 浅野博司氏は評価する。
一度の入力で、予算科目での把握と勘定科目での把握の両面ができる、公会計と企業会計を共存させたシステムづくりに成功したのである。今後はこの新システムを使いこなすことによって、月次決算の早期化がはかれる予定だ。
「さらに大きな成果は、将来の変化にも対応できるシステム基盤を作り上げることができたこと」と、経理部長 岩田文行氏は強調する。
組織の統廃合や新サービスの登場にも、柔軟に対応できる。新生・阪神高速道路は、「先進の道路サービス」を支える「先進のシステム」を手に入れたのである。

お客様プロフィール

社名

阪神高速道路株式会社

本社

大阪市中央区久太郎町4-1-3

設立

2005年10月1日

資本金

100億円

売上高

903億円(料金収入)
2005年度:2005年10月~2006年3月

従業員数

830人

事業概要

阪神高速道路公団の民営化により設立。京阪神地区の高速道路の新設・改築、維持・修繕、高速道路のPA等の運営を担う。営業路線233.8km、建設中路線30.7km。

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