2017年9月

総合的なエネルギー提案ができるCRM基盤を構築
社内への浸透を受けて、WebデータやIoT、AIとの連携も視野に

ガス・電力の供給に加え、暮らしを豊かにするライフサポートの提供にも力を入れる東京ガス。同社では、2016年4月1日の電力小売全面自由化や、2017年4月1日のガス小売全面自由化といった大きな市場の流れを受けて、顧客、市場環境をより深く理解し、新たな価値・サービスの検討を行いつつ、タイムリーにそれらの施策の評価を行うというマーケティングPDCA確立を目指している。その要となる新しいCRM基盤には、NTTデータのクラウド型情報活用基盤提供サービス「BizXaaS BA」が採用されており、NTTデータの「データ活用KPOサービス」をデータ活用業務に活かしている。「小さく作り、使いながら育てる」というCRM基盤のコンセプトは、市場分析や施策対象者リスト作成の迅速化、レポート作成にかかる稼働削減などの効果を受けて、今後更なる活用へと発展していこうとしている。

お客様の課題

  • 既存の社内システムが業務ごとに最適化されていたため、顧客単位での分析を行うには事前のデータ抽出・処理等が必要となっていた
  • データやレポート作成にかかる稼働が多く、データに基づいて戦略や戦術を検討する時間が十分にとれなかった

導入効果

  • 顧客単位で一元化されたデータを用い、目的別にさまざまな切り口でセグメンテーションが可能になった
  • 顧客単位での分析をタイムリーかつ誰でも実施できるようになった
  • 従来1ヶ月程度かかっていたデータ作成が数日に短縮
  • 定型的なデータ分析やレポート作成にかかる時間が短縮化されたことで、データ分析部門の業務効率化を実現

導入の背景と課題暮らしサービスの充実を目指して
顧客ごとに最適な提案ができるCRM基盤づくり

LNGの資源開発や調達・輸送といった上流から、家庭用や工業用、業務用と多岐にわたる顧客へとガスを届ける下流まで、一貫したLNGバリューチェーンを展開する東京ガス。特に近年では、都市ガス事業、電力事業、リキッドガス事業、暮らしサービス事業、エンジニアリングサービス事業、地域開発サービス事業といった7つの事業それぞれの成長・拡大に注力するとともに、事業間の相乗効果により顧客に提供する付加価値の拡大に努めている。

2016年4月には電力小売全面自由化がスタートし、1年余りで既に80万件以上の顧客が"東京ガスの電気"を契約。さらに、2017年4月からはガス小売全面自由化も始まったことから、市場はエネルギー競争の様相を呈してきている。そうした環境下で東京ガスは、ガス・電気に暮らしサービスを加えた総合エネルギー提案に力を入れている。

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東京ガス
リビング営業計画部
データ活用推進グループ
宇田川 美穂氏

東京ガス リビング営業計画部 データ活用推進グループ 宇田川 美穂氏はこう語る。「当社は都市ガス事業者として約1,100万件のお客さまにガスを供給しており、そうしたお客さまとのつながりを長年にわたって大切にしてきました。日本で初めてのエネルギー小売全面自由化に当たっても、これまで築いてきたお客さまとの信頼関係や、対面により丁寧に説明を行える体制が、強みになるものと自負しています」

東京ガスでは、ガス・電気の供給と合わせて「暮らしのサービス」の充実も図っていくなかで、個々の顧客や市場環境を深く理解し、ニーズに合った新たな価値・サービスの検討や、タイムリーにそれらの施策の評価を行うマーケティングPDCA確立を目指すこととなった。しかし既存の社内システムは業務ごとに最適化されていたため、それらを掛け合わせた顧客単位での分析を行うには、専門のシステム部門による事前のデータ抽出・処理等が必要となっていた。そこで同社では、新たにCRM基盤を構築し、顧客単位での分析を従来よりもタイムリーに、そして専門の分析組織ではなく施策立案部門のメンバーが自ら実施できるようにすることを目指したのだった。

選定ポイントコンセプトに寄り添った提案と
基盤構築後の活用支援体制を評価

新しいCRM基盤の構築に当たっては、利用面において特に以下の3点が目指された。

  • 必要なデータがあらかじめ統合・加工されて準備されており、分析の下準備に時間を要さず、スピーディーかつ多角的な分析が可能になること。
  • クラウド上の分析環境を活用し、1100万件にも及ぶ大容量の顧客データであっても、大きなストレスなく分析できること。
  • BIツールの導入により、施策立案部門のメンバーも分析しやすく、「議論をしながらその場で分析をする」といった活用シーンを創出できること。

さらに加えて、マーケティングPDCA確立に向けては、基盤構築と活用を両輪で進め、「小さく速やかに始めて、使いながら育てる」ことをコンセプトとして掲げた。こうしたさまざまな要件を踏まえて同社が採用したのが、インフラとしてNTTデータのクラウド型情報活用基盤提供サービス「BizXaaS BA」、活用面については、同じくNTTデータの「データ活用KPOサービス」だったのである。

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東京ガス
リビング営業計画部
データ活用推進グループ
チームリーダー
笹谷 俊徳氏

選定理由について、同グループのチームリーダー・笹谷 俊徳氏は次のように話す。「小さく始めて使いながら育てていくというコンセプトに最も寄り添った提案をもらえたことや、基盤を作って終わりではなく、その後の活用支援におけるパートナーとして、しっかりと対応してもらえる提案内容だった点を特に評価しました」

導入の流れデータ分析部門が音頭を取り、
クラウド環境でのアジャイルな開発を実現

CRM基盤構築プロジェクトでは、データ分析・活用推進を担う部門であるデータ活用推進グループがプロジェクトリーダーとなり、社内の既存システムとの連携を中心とする基盤面はIT部門の支援を受けつつ、システムの活用部門となる複数の施策立案部門の意見を適宜取り入れながら構築していく体制をとった。2016年4月に要件定義をスタートし、同年11月にはCRM基盤が稼働・活用を開始するという、非常に短期間での開発に成功した。

「データを分析・活用する部門が中心となって進めた事がポイントとなったと考えています。実際にデータ構造を理解し、過去にさまざまな形でデータを業務に活用しているため、分析に必要なデ一タ作成についても知識があり、スムーズにプロジェクトが進行できました」と、宇田川氏は振り返る。

もちろん、開発期間中には課題にもぶつかった。ガスメーター単位や電力契約単位、Web会員単位など、既存システムごとに顧客単位が異なるような複雑なデータ体系を、いかに扱いやすく、分析上意味がある形にまとめていくかもそのひとつだった。ゆうに10を超えるシステムごとのキー情報を利用目的に応じて適切に組み合わせるなど、個々の分析目的をしっかりと定義していくことで、こうした課題をクリアすることができたのである。

笹谷氏は語る。「当部門は非IT部門であることからシステム開発には詳しくありません。そんな我々が構築プロジェクトを率いて成功へと導くことができたのも、システム開発についてのNTTデータの豊富な実績に基づく知見があったからこそです。とりわけ今回はクラウド基盤を対象としアジャイルに開発を進めましたので、NTTデータの支援は不可欠だったと実感しています」

導入効果と今後の展望PDCAサイクルをより高度化・短縮化、
社内に広く浸透し、活用シーンの拡大へ

こうして完成したCRM基盤は、システム部門や分析部門以外でも扱うことが可能となったことで、現在、主に家庭用市場における営業戦略の立案・推進を行う部門で活用されており、既に一定の効果を挙げている。

たとえば、市場の変化と営業状況をスピーディーに把握することが可能となった結果、次なる打ち手の検討から実行へのPDCAサイクルをより高度化・短縮化することができた。また施策の実施に関しては、企画から準備まで従来ならば1ヶ月程度かかっていた内容を数日で実施可能になったうえ、施策に対する顧客の反応のモニタリングもタイムリーに行えるようになっている。他にも、各種サービスに対する顧客の反応や傾向の可視化、定型的なデータ分析やレポート作成にかかる時間の短縮化によるデータ分析部門の業務効率化など、さまざまな効果が得られている。

「ユーザーへの活用促進策として、まずは各ユーザーがExcelやAccessを使用して苦労して行っていた実績管理やレポーティングなどの既存業務を、CRM基盤で行えるようにしました。業務が効率化・高度化する効果を実感してもらうことで、無理なく活用に取り組んでもらえていると見ています」と宇田川氏は語る。

マーケティング分析を実施する際には、東京ガス側で抽出した分析課題に基づき、最適なデータマートをNTTデータが提供する役割を担っている。

「まさにマーケティング分析のパートナーとして、活用を支援してもらっています」(宇田川氏)

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東京ガス
リビング営業計画部
データ活用推進グループ
マネージャー
岩田 哲哉氏

また、同グループのマネージャー・岩田 哲哉氏は、「活用シーンが多様で効果も大きなツールであるということは社内に広く浸透していて、実際に問い合わせも多いですね。」とコメントする。さらに今後は、社内データだけではなく、WEBデータを始めとしたデジタルデータや、社外のデータを取り込むことで、顧客理解をより深めることができる基盤へと育てていくことを目指している。

同グループの柴田 優氏は、「現在はCRM基盤活用の拡大を進めています。既に社内の10を越える組織での活用が進んでいますが、企画立案を行う部署とは"こんな施策実施やその効果検証にも使えるのでは"といった活用シーンの拡張に向けた議論を積極的に交わしています」と話す。

【写真】

東京ガス
リビング営業計画部
データ活用推進グループ
柴田 優氏

さらに、AIを始めとした先進技術の獲得や、スマートメーターを始めとする各種IoTデータの活用が同社にとっても課題であり、CRM基盤の取り組みと適宜連携しながら取り組んでいく構えだ。

「これまで当社に寄り添ってデータ活用に取り組んでくれた実績を活かし、新たな活用領域に関してもNTTデータには引き続き一緒に歩んでもらえるものと期待しています」と、宇田川氏は笑顔で話してくれた。

お客様プロフィール

【図】
お客様名

東京ガス株式会社

所在地

東京都港区海岸1-5-20

営業開始

1885年10月1日

事業概要
  1. (1)都市ガスの製造・供給および販売。
  2. (2)電気の製造・供給および販売。
  3. (3)海外における上流事業、中下流事業。
  4. (4)エンジニアリングソリューション事業、リキッドガス事業、LNG販売、ガス機器、ガス工事、建設等。
  5. (5)土地および建物の賃貸・管理等。
  6. (6)情報処理サービス事業、船舶事業、クレジット・リース事業等。
ウェブサイト

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【写真】東京ガス株式会社様

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本稿に登場したサービス

BizXaaS BA

NTTデータのこれまでの膨大な実績に基づき、データ活用に必要な一連のITインフラを、クラウド上に構築・提供するマネージドサービスです。

【図】

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業種

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サービス

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