2017年11月

2700万台のスマートメーター設置に向けて、管理システムを構築
電力小売全面自由化後の体制を盤石にした東京電力パワーグリッド

電力やエネルギーの安定供給をその使命とする東京電力グループでは、業務の効率化とさらなる顧客サービス向上を目指してスマートメーターの設置を進めている。2016年4月1日の電力小売全面自由化と合わせホールディングカンパニー制へと移行した同グループが設置したスマートメーターの台数はすでに1300万台を突破しており、2020年までに全利用者への設置を完了すると約2700万台にも達する予定である。そんな世界的にも特筆すべき規模のスマートメーターシステムにおいて、その肝となる大量のデータを処理して他システムと連携する運用管理システム(MDMS)の開発のパートナーに選定したのが、NTTデータだった。毎月の検針業務を遠隔で実施することなどにより、検針業務の効率化や利用者の負担軽減といった効果が表れている東京電力グループでは、今後スマートメーターの検針データをさらに活用することで、利用者のニーズに応じたきめ細やかなサービスの提供、さらには社会への貢献も視野に入れている。

お客様の課題

  • 検針員による毎月の検針業務の負荷増大
  • 入転居時や契約容量変更時に立ち会いが必要
  • 月1回の検針のため小売電気事業者による料金プラン設定が限定的に(社会からの要請への対応)

導入効果

  • 遠隔での自動検針により検針業務を大幅に効率化
  • 入転居時の開閉や契約容量変更がリモートで可能になり立ち会いも不要に
  • 30分ごとの検針により、電気の使用実態に応じたきめ細かい料金プラン設定が可能

導入の背景と課題検針の効率化と顧客サービス向上に向け
2700万台のスマートメーター設置へ

生活に不可欠な電気やエネルギーの最適サービスを通じて、便利でくらしやすいだけでなく、心豊かで、自然とも調和した持続可能な社会の実現に向けて貢献する東京電力グループ。2016年4月1日の電力小売全面自由化に伴い、同じ日にホールディングカンパニー制へと移行したグループにおいて、送配電事業を担っているのが東京電力パワーグリッドである。

同社スマートメーター推進室 室長の久世 祐輔氏は、「東京電力パワーグリッドが抱える膨大なインフラをしっかりとメンテナンスしながら、電気の安定供給をより効率的に行うことが、当社の重要な使命です」と力説する。

【写真】

東京電力パワーグリッド
スマートメーター推進室
室長
久世 祐輔氏

その効率性に関する従来からの課題のひとつが、検針業務であった。これまでは電気料金を確定するために、検針員が毎月すべてのお宅を訪問して電気使用量を確認する必要があった。しかし、もともと手間のかかる業務であるのに加え、最近ではオートロックマンションが増え、戸建て住宅でも敷地への出入りのセキュリティが強化されるなど、業務のスムーズな遂行を難しくする要因が増えつつあった。また、引越し等による入転居の際には、立ち会いが必要であったり、20Aから30Aなど容量変更時にも作業員が訪問して作業をする必要があったりと、効率化のみならず顧客満足度の観点からも課題となっていた。

そこで東京電力グループでは、毎月の検針業務の遠隔での実施と顧客サービスの向上を目指して、営業エリア内に設置した約2700万台ものメーターを、2020年度までにすべてスマートメーターに取り替えるという一大プロジェクトを、2013年5月にスタートしたのだった。

選定ポイント大規模システムでの豊富な開発実績や
プロジェクトマネジメント力を評価

スマートメーター導入プロジェクトを始動するにあたり、システム全体の要となる運用管理システム「MDMS(メーターデータマネジメントシステム)」の開発パートナーとして選定されたのが、NTTデータだった。

選定の経緯について、東京電力パワーグリッド スマートメーター推進室 スマートメーターオペレーションセンター 所長の中嶋 好文氏はこう振り返る。「MDMSの特徴は、最終的に2700万ものスマートメーターから送られてくる膨大な量の検針データを扱うという飛び抜けて大規模なシステムであること、そしてお客さまの検針値を基に料金を請求する業務に密接に関連する重要システムであることです。そのためNTTデータならではの、大規模な基幹系システムの豊富な開発実績、そうした経験・ノウハウが生かされた開発体制やプロジェクトマネジメント力を評価しました」

【写真】

東京電力パワーグリッド
スマートメーター推進室
スマートメーターオペレーションセンター
所長
中嶋 好文氏

MDMSは、スマートメーターの検針データを収集する通信システムと、お客さまの電気料金を計算する営業料金システム等の間に位置し、それぞれと緊密に連携してスマートメーターシステムを構成する。また、MDMS自体の機能も大きく3つある。1つめは、検針値を蓄積して常に利用できるようにするMDM(メーターデータマネジメント)機能、2つめは、設備情報を管理するMAM(メーターアセットマネジメント)機能、そして3つめが、ネットワークを管理するNM(ネットワークマネジメント)機能である。さらに、こうした2つのシステムと3つの機能を連携するためのシステム連携基盤も備えている。

「複数のシステムと確実なシステム連携が必要なので、NTTデータのシステム横断的なプロジェクトマネジメント力にも大いに期待しました」(久世氏)

導入の流れ綿密なプロジェクト計画書により
新たな要件の追加にもスムーズに対応

2013年5月にMDMSプロジェクトが始動すると、通信システムと営業料金システムと並行して開発が進められていった。

当時、東京電力 スマートメーター推進室 システムグループ マネージャーとしてプロジェクトを担当した佐藤 秀幸氏は言う。「MDMSから見て右も左も同時に開発していったので、いかに双方のシステムの担当者や開発ベンダーとコミュニケーションを取りつつ仕様を調整していくかがポイントでした。そこでもNTTデータから現実的かつ最適な提案の数々を受けることができ、短期間での開発に大いに貢献してくれました」

【写真】

【当時】東京電力
スマートメーター推進室
システムグループ
マネージャー
佐藤 秀幸氏

また2013年秋には、電力小売全面自由化に関して国から、30分ごとの検針値を60分以内に小売電気事業者へ提供するという新たな要件が課せられたため、急遽、自由化対応プロジェクトも立ち上げることとなった。

佐藤氏は、「NTTデータをパートナーに選定した直後より、1ヶ月ほどかけてプロジェクト計画書を作り上げました。そこにはその後起きる可能性のある問題やその解決の枠組などもすべて盛り込んでいたので、どのような事態が生じてもスピーディに対応することができました」と振り返る。

2014年4月よりスマートメーターの設置を開始し、2015年2月には当時の多摩支店サービスエリアにおいてスマートメーターシステムを活用した一部サービスの提供開始とともに、MDMSはカットオーバーした。そして電力小売全面自由化がスタートする2016年4月、自由化対応も完了した。

導入効果と今後の展望スマートメーター設置数1300万台を突破
自動検針による業務効率化が進む

MDMSを核とした東京電力パワーグリッドのスマートメーターシステムは順調に運用を続けており、スマートメーターも管内全エリアに拡大し、2017年9月現在の設置数は1300万台を突破している。

東京電力パワーグリッド スマートメーター推進室 システムグループ検証・構築チームリーダーの森 宗仁氏は、「スマートメーターはまさにIoT機器ですが、現状でも1300万台ものIoT機器から30分ごとにデータを集約しており、それを適切に処理したうえで60分以内に別のシステムへと送っています。その規模の大きさと高速性は、世界でも類を見ないものだと自負しています」

【写真】

東京電力パワーグリッド
スマートメーター推進室
システムグループ
検証・構築チームリーダー
森 宗仁氏

MDMS導入後、スマートメーターの設置台数増加に伴い、自動検針が進み、検針員が訪問しなければならない件数は着実に減り続けている。また、契約アンペアの変更の際には、遠隔でスマートメーターのアンペアを設定することにより、立ち会いやブレーカー取替時の停電などの負担も軽減できた。入転居時も同様に、立ち会い不要でリモートで開閉できるようになり、業務効率化と顧客サービス向上を実現している。さらに、これまで月1回だった検針が30分ごとになったことで、電気利用状況の可視化サービスや、電気の使用実態に応じた多様な料金プラン設定も可能になった。

今後、東京電力パワーグリッドは2020年までに2700万台のスマートメーターの設置を終える計画だが、その先にはさらなるデータ活用を目指していくという。久世氏は語る。「せっかく貴重なデータを集約しているのですから、社会に役立つようなデータ活用のあり方についても検討していくつもりです。また、スマートメーターシステムは海外からのニーズも高いと見込んでいるので、東南アジアなど海外への展開も考えています。社会に貢献しながらビジネスを拡大していくなかで、NTTデータの社会インフラ領域での豊富な実績や海外ネットワーク、海外での経験値に大いに期待しています」

業務効率化と顧客サービス向上から社会貢献へ──東京電力パワーグリッドのMDMSの役割はまだまだ広がりそうだ。

お客様プロフィール

【図】
お客様名

東京電力パワーグリッド株式会社

所在地

東京都千代田区内幸町1-1-3

営業開始

2015年4月1日

事業概要

東京電力パワーグリッドでは、日本の電力供給量の約1/3を担っており、世界第3位のエネルギー消費大国である日本の電気供給を支えています。(1位:米国、2位:中国)。信頼性の高い設備と高度な技術力により、年間停電回数0.06回/年(2015年度)、停電時間6分/年(2015年度)ともに世界トップクラスの安定性を維持しています。

ウェブサイト

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【写真】東京電力パワーグリッド株式会社様

ご紹介した事例内容をPDFでダウンロードすることができます。

本稿に登場したサービス

スマートメーターシステム

サービスエリアすべての家庭にスマートメーターを設置し、30分ごとの電気使用量(積算値)を30分ごとに送信・処理を行うというシステムです。このシステムは、領域(1):計器開発、領域(2):通信システム構築、領域(3):MDMSシステム構築の3領域に分け開発を実施しました。

【図】

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業種

環境負荷の低減や エネルギーの効率化に寄与するサービスを展開