先見日記

先見日記とは 先見リメ[ス

2003 Nov 3
遠藤諭
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片岡義男


私の耳栓の一部。ご覧のように左右がバーで繋がったものや持つとこの付いたものなんてのもある。サイコーの耳栓は、上から8段目の左から3列目の奴(見えないですね)。箱の横を見ると周波数帯ごとにどれくらいの遮音性があるか表になっていて、グラフにすると双子山になるようだ。













耳栓マニア
高円寺Yonchome Cafeにて

 よく米国のコメディなんかで、耳栓をしていてまわりの大騒ぎに気が付かないというネタがある。
 私は、子供の頃にテレビでやっていた『三馬鹿大将』とか『ちびっこギャング』とかで、そういうネタが出てくると「いくらなんでも大袈裟な!」と思ったものだ。
 当時の日本の小学生にとっては、耳栓といえば水泳用のゴムかプラスチック製のアレしか身近じゃなかった。

 そんな私が、耳栓を探しはじめたのは、いまの仕事(雑誌編集)をするようになってからである。
 筆者から送られてくる原稿を待ったり、印刷所から上がってくる青校・色校というものを待っているときに、自分の机や梱包用のプチプチ(空気入りの山のある透明なビニールシート=エアーキャップとかエアークッションとかエアーパッキンとかいうのですね)にくるまって眠たりするのに、耳栓があると具合がよかった。
 よく考えると、プログラマの時代にもコンピュータが吐き出す連続出力用紙(両側に紙送り用の穴の開いたA3判くらいの大きな紙である)をほどよい高さに並べて、その上でよく眠っていたものだが……。

 自分にあう服や万年筆を求めるように、私の耳栓を求める旅が始まった。
 いまから十年ほど前のことである。

 米国に出張で出かけたときにドラッグストアとスーパーに寄ってみた。
 すると思っていたよりずっとたくさんの耳栓を売っている! スポンジ製のもの、ゴムあるいはプラスチックのもの、そして、あの粘土耳栓もちゃんとあった(これら一般的な耳栓が“earplugs”、射撃なんかで使うレシーバー型は“earmuffs”と呼びます)。やっぱり、耳栓というのはとってもデリケートなもので、これくらいバリエーションがないとねぇと、我が意を得たりの気分だった。
 それからも、海外旅行に行く人には「お土産は耳栓ねっ!」とお願い(ヘンな奴である)。当時はめずらしかった海外通販で耳栓を取り寄せてもらったりした(詳しい人に)。そうして、気が付くと100種類ほどの耳栓(earplugs)が、私の耳栓箱(段ボール)にたまっていた。
 こうやって集めてみると、耳栓って結構かわいい(私はコレクターにはなれない性分で、いつどこで買ったかなどのデータが残ってないのだが)。

 ケラサンパサランのようなフワフワした綿に包まれたパラフィン質のもの(フランス製)やミントキャンディのようなブルーの半透明の粘土もの(イスラエル製)、乳白色でほとんど液体一歩手前の海軍御用達品(米国製)、ゴム製で空気の入った“小さな赤い枕”のような逸品(フランス製)なんてのもある。
 ちなみに、米国製のシリコン粘土系耳栓には『三馬鹿大将』や『ちびっこギャング』の例のネタ(まわりで何が起きても気付かない)のパターンもありかも(?)というくらいの遮音性のものもあった……。

 さて、そんな私の耳栓探しの旅で見つかったサイコーの耳栓というのは、耳栓大手Aearo Company社の“EAR EZ-Fit 312-1208”である(残念ながらいまだに日本では輸入されていないようだ)。
 どうサイコーなのかというと、スポンジの素材が非常に柔らかい。表面は滑らかで、形は、小さな何かの花みたいに広がった円錐形。コヨリのように細くして、反対側の手で耳を上に引っ張りながら挿入するのだが、一度付けたらほとんど装着感がないほどのソフトさ! それでいて、まずまずの遮音性である。
 私は、紐なし派だが左右を綿の紐で繋いだタイプもある。

 ところで、数年前、私は耳栓を集めているという話を記事で書いたことがある。
 そうしたら、編集部宛に1通の手紙が届いたのだった。“音が大きく聴こえ過ぎる”という症状のお子さんを持つ方からのもので、記事で紹介していた耳栓の買い方を教えてほしいという。さいわい有楽町のアメリカンファーマシーで取り扱っている商品と分かったのでそれをお伝えした。しばらくして、丁寧な御礼の手紙をいただいたのだった。

 さて、サイコーの耳栓だが、200個入りの箱が空になりました。

End


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