Twitter Facebook Google+ はてなブックマーク LinkedIn

次世代のデータ活用、Augmented Analyticsとは

NTTデータ コンサルティング&マーケティング事業部
部長 新田 龍

2017.10. 26 Update !

人工知能が人間の能力を拡張し、社会のあらゆるプロセスを変えようとしています。ビジネスにおけるデータ活用においても、機械学習により人間の作業や判断を支援する「Augmented Analytics(拡張分析)」が注目され始めています。

背景と概要

ビジネスにおけるデータ活用は、数年前まではIT部門がBIツールを導入し業務部門に提供することが主流でしたが、近年は業務部門が自ら導入し、ビジュアル中心で直感的に分析できる「データディスカバリ」型BIツールが主流となってきています。(※1) しかしながら、分析には依然としてデータの事前加工や、仮説を立ててドラッグ&ドロップによるグラフ作成を試行錯誤するマニュアル作業が必要です。ここで、近年進化する機械学習の手法を活用し、煩雑・定型的なデータ加工作業や、データの組み合わせからのパターン抽出を自動化したり、自然言語による探索や表現を提供することで、人間の作業・判断を支援する(能力を拡張する)Augmented Analyticsという概念が提唱されています。 (※2)

  1. ※1 「進化するビジネスインテリジェンス&アナリティクス~ディスカバリBI~」
    http://www.nttdata.com/jp/ja/insights/trend_keyword/2015031901.html(外部リンク)
  2. ※2 "Just Buying Into Modern BI and Analytics? Get Ready for Augmented Analytics, the Next Wave of Market Disruption"
    http://blogs.gartner.com/rita-sallam/2017/07/31/just-buying-into-modern-bi-and-analytics-get-ready-for-augmented-analytics-the-next-wave-of-market-disruption/(外部リンク)

データ活用のプロセス

Augmented Analyticsの対象となるデータ活用のプロセスは、下表に示すように大きく分けてデータ準備、データ探索・発見、統計解析・機械学習の3つがあります。 表1 Augmented Analyticsの対象プロセス

表1 Augmented Analyticsの対象プロセス

Augmented Analyticsは、これらの各プロセスを機械学習などを用いて自動化・高度化します。その幾つかの例を下表に示します。 表2 Augmented Analyticsによるプロセス自動化・高度化の例

表2 Augmented Analyticsによるプロセス自動化・高度化の例

Augmented Analyticsを実現するツール

Augmented Analyticsの考え方は、市場に存在する多様なデータ活用のツールにおいて、機能として実現されつつあります。その幾つかの例を以下に示します。

  • ● Trifacta(※3) (Data Preparation)
    従来データ準備に使われていたETLツール等をさらに高度化し、ユーザはデータそのものを見ながら、機械学習によるデータ編集内容の予測・提案の提示を受け、直感的にデータを編集・加工することが可能になります。

  • ●Tableau (Data Discovery)
    TableauはデータディスカバリBIツールとして最高の市場評価を得ていますが(※4) 、機械学習を活用して分析すべきデータの組合せを提案する機能などを組み込んでいます。(※5) また、自然言語の専業ベンダを買収して、製品への組み込みを進めています。(※6)

  • ●DataRobot(※7) (Data Science and Machine Learning)
    トップレベルのデータサイエンティストの知見にもとづき分析アルゴリズムの選択や分析モデルの作成や更新、モデルにもとづく予測・判別のプロセスを自動化し、分析作業を効率化します。
以上に挙げたデータ分析ツールやBIツールなどの他にも、ERPやSFAなどの業務アプリケーションなど様々な製品においてAugmented Analyticsに沿った機能が組み込まれつつあります。

  1. ※3 Trifacta
    https://www.trifacta.com/(外部リンク)
  2. ※4 「ガートナー社による分析のマジック・クアドラントにおいて 5 年連続でリーダーとなった Tableau」
    https://www.tableau.com/ja-jp/about/blog/2017/2/tableau-five-years-leader-gartners-magic-quadrant-analytics-66133(外部リンク)
  3. ※5 Tableauの「Recommended data sources」機能
    https://www.tableau.com/about/blog/2017/7/certification-and-data-source-recommendations-boost-data-discovery-and-governance(外部リンク)
  4. ※6 TableauがClearGraphを買収、自然言語を使ってデータ分析が行えるようになる
    http://jp.techcrunch.com/2017/08/10/20170809tableau-acquires-cleargraph-a-startup-that-lets-you-analyze-your-data-using-natural-language/(外部リンク)
  5. ※7 機械学習プラットフォーム「DataRobot」の提供を開始
    http://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2017/070401.html(外部リンク)

Augmented Analyticsがもたらす変化

Augmented Analyticsは、一部の高度なスキルを持つデータサイエンティストが行っていた分析を、より一般のビジネスパーソンに開放します。 また今後は、データ活用のプロセス自然言語による対話型で行えるようにテクノロジーは進化していくと考えています。

図1 Augmented Analyticsが進化した未来(イメージ)

図1 Augmented Analyticsが進化した未来(イメージ)

まとめ

米バブソン大学教授のトマス・H・ダベンポートは著書「AI時代の勝者と敗者」の中で、テクノロジーの進化がプラスとなる可能性は「人間と機械それぞれの能力の「拡張」」にあると述べています。 データ活用の領域においても、テクノロジーによって人間の能力を拡張し、人間にしかできない重要な判断・意思決定により多くのエネルギーを集中できるように、プロセスを自動化・高度化し、生産性を上げていくことが重要になって来ています。

Profile

新田 龍
NTTデータ コンサルティング&マーケティング事業部
部長 新田 龍

2000年にNTTデータに入社し、2007年には北米拠点に赴任し現地企業へのBI導入に従事。その後一貫して、グローバル企業のBI・データウェアハウス導入の構想策定・導入・定着化コンサルティングを担当。2016年より現職。