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技術トレンド「協調志向オートメーション」 NTT DATA Technology Foresight 2018シリーズ~Vol.4

株式会社NTTデータ 技術革新統括本部 技術開発本部 企画部 VISTECH推進室
シニアエキスパート 関本 佳之

NTTデータが導出した2018年の情報社会や技術のトレンド「NTT DATA Technology Foresight(※1)」を全10回で紹介。第4回は技術トレンド「協調志向オートメーション」。

ITによる自動化

ITはロボットの自動化を支え、工場に導入されたロボットは事前にプログラムされた動作を24時間365日休むことなく繰り返し、一定の品質で成果を出し続けます。億を超える商品を扱うECサイトの倉庫はITが制御するロボットなくしては成り立ちません。そこには棚に並ぶ商品を探し回る人はいません。商品を格納した1000に及ぶ棚は、ロボットが持ち上げて作業者の前まで運び、作業者はそこから必要な商品を取り出すだけです。ロボットは対象の商品が納められた棚を次々に作業者の前に運び、スピーディな作業を実現します。その作業効率は、人手で商品を探す場合の4倍から5倍に及びます。

自動化拡大の課題

ECサイト運営会社は、更なる効率化を求めて、いまだ作業者が実施している商品の出し入れもロボットに任せられないかトライアルを続けています。しかし、その実現は大変困難です。モノを持ち運ぶという、人にとっては単純な作業は実は事前にプログラムすることが非常に困難です。人であれば、商品を見ただけで持ち上げ方を判断できます。商品のどの部分をどんな強さで掴むべきか、どの程度の力で持ち上げるべきか予測し、実際に掴んで重さや堅さが想定と異なれば、瞬時に力の加減を変えることもできます。一方で事前にすべてを想定できない、目の前の状況に適切に対応し柔軟に対応する作業、すなわち非定型作業はこれまでのITには対応出来ないとされてきました。

AIによる自動化

このような中、自動化の拡大の切り札としてAI、機械学習を用いる研究が長年続いています。ECサイト運営会社が主催するコンテストでは、バラバラに積みあげられた商品を様々なAI技術を用いて認識し、持ち上げ、運び、整理します。現状ロボットの作業は人に比べゆっくりしたものですが、未来を期待出来る進化が続いています。

さらに複雑な自動化といえる自動運転でもAIの活用が模索されています。刻々と変わる道路状況に加えて、他の車や歩行者まで登場する現実世界での運転をAIに任せようというのです。しかしAIを用いた自動運転の実現には、一説に100億kmを超える運転経験が必要だといわれます。それだけの距離を自動運転車に実際に走らせる、まして天候や時間など複雑な条件を網羅的に経験させるのは非現実的です。そこでAIに学習させるためにさらにAIが用いられます。自動運転AIは、極めて現実に近い仮想空間を生み出すAIがつくりだした世界で走りまわり運転技術を学習しています。

協調作業の必然性

自動化を拡大する取組が様々に進む中で、人と機械の協調作業は重要な課題です。どこまでを自動化しどこからは人に委ねるのか、適切な協調範囲の調整、作業の再整理が必要です。ある自動運転車では想定外の事態を考慮して、人が常にハンドルに手を添えて備えるよう求められています。別の自動車メーカーは、緊急事態が想定される場所ではこれまで通り人に運転を任せる一方で、自動運転で対応できると判断した区間ではハンドルがダッシュボードに収納され、車にすべてを委ねるように促すインターフェースを提供しました。こうした協調作業のデザインには自動化される作業に対する深い理解が必然です。何気なく人がこなしてきた作業を分解し、人と機械の最大限効率的な協調に組み替えるのは、深いレベルでの作業とその成果の理解だけでなく、人という存在が持つ特性の深い理解なのでしょう。

技術トレンド「人工頭脳の浸透」

図1:技術トレンド「協調志向オートメーション」

  1. ※1 「NTT DATA Technology Foresight」特設サイト
    http://www.nttdata.com/jp/ja/insights/foresight/sp/index.html

Profile

関本 佳之
株式会社NTTデータ 技術革新統括本部 技術開発本部 企画部 VISTECH推進室
シニアエキスパート 関本 佳之

大規模金融系システムの開発を担当後、基盤系アーキテクトとして初期提案から開発運用まで大小さまざまなプロジェクトを支援。2016年よりNTT DATA Technology Foresightに参画。