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VR(仮想現実)による遠隔会議が現実を超える

株式会社NTTデータ 技術革新統括本部 技術開発本部EVITセンター サイバーフィジカル技術担当

シニアスペシャリスト 山田 達司

人とコンピュータをつなぐインタフェースとしてAR(拡張現実)*1、VR(仮想現実)*2などを用いた「超融合インタフェース」*3 が注目を集めている。NTTデータは超融合インタフェースを利用した遠隔会議システムを構築し、テレワーク*4推進に活用する。

超融合インタフェースとしてのVR

人とコンピュータの間をつなぐインタフェースとして、画面、キーボード、マウス、タッチ可能なスクリーンなどが長らく使われてきました。近年、人とIT機器のやりとりを人間が生来持つ自然な行動と知覚で実現する「超融合インタフェース」が注目されています。具体的には音声によるAIスピーカへの指示と応答、ジェスチャーによるゲーム機の操作などです。その中でもVRはエンターテイメント*5やシミュレーション、トレーニング*6など高い臨場感を必要とする領域を中心に普及が進んでいます。

VRを用いたコミュニケーション

VRの新たな活用方法として、仮想空間でコミュニケーションを行うサービスが登場してきています。Cluster(https://cluster.mu/(外部リンク))を利用すると、VR空間内で多数の利用者が集まり、講演会などのイベントを開催することができます。VRChat(https://www.vrchat.net/(外部リンク) )では自らの分身であるアバターや仮想世界を自由に構築、開発することができるため、様々な仮想空間が生まれています。ゲームをしたり、音楽を演奏したり、ダンスをしたり、多様な楽しみ方が利用者自身により生み出されています。Oculus Homeはスタンドアローン型VR機器であるOculus Goに付属するアプリケーションであり、Facebookの友達と一緒に仮想空間内でトランプなどのゲームを遊び、会話をしながら映画を見ることができます。

いずれのサービスも仮想的な空間内にアバターと呼ばれる自分の分身として参加し、音声、テキストなどによるコミュニケーションが可能です。VRが持つ高い臨場感により、本当にそこに人がいる感覚を再現しています。

働き方改革のツールであるテレワーク

NTTデータは2005年に「ワークスタイルイノベーション宣言」をおこない、2006年にはテレワークトライアルを開始し、制度の拡大、ツールの導入により、徐々にテレワークの範囲を広げてきました。

テレワークは調査、資料作成など個人で実施可能な業務に向いている一方、会議、打合せ、商談など人とのコミュニケーションが中心となる業務には向いておらず、それらの予定がある日にテレワークを実施するのは困難であるという制約があります。テレワーク時に人とのコミュニケーションをより容易にすることは、テレワークを推進する上で大きな課題となっています。

NTTデータの取り組み:VRによる遠隔会議システム

NTTデータはVRによる超融合インタフェースを遠隔会議に活用することで、対面での打合せを超える会議の実現を目指しています。2017年度には筑波大学との共同研究によりVRを用いた遠隔会議システムの試作を行ない、2018年度はAIを活用した音声認識や翻訳など多様な機能拡張を行ったうえで、社内での試行評価を進めています。これまでに開発したシステムの主な機能は以下の5点です。

  • ・実際に隣に人がいるかのような高臨場な会議空間を実現 (図1)
  • ・会話内容を発話者の上部およびチャット形式で表示 (図1)
  • ・会議内容を文字等によりWEBへ自動で中継 (図2)
  • ・発話者の言語設定に応じて会話を自動的に翻訳
  • ・PC、スマートフォンおよびモバイルVR専用機など多彩な環境で利用可能
VRによる遠隔会議の模様

図1: VRによる遠隔会議の模様

Web画面へ会議の模様を中継

図2: Web画面へ会議の模様を中継

NTTデータは2018/7/23から27にかけて開催されるテレワーク・デイズに参加しており、本システムを活用した遠隔会議のトライアルに挑戦します*7。その後もシステムの拡張と導入を進め、NTTデータの本社オフィスがある豊洲駅がオリンピック観光客であふれる2020年までに本格的な導入を目指します。

ビジネスにおけるVRの活用

従来VR機器およびそれを利用したサービスはエンターテイメント分野を中心に普及が進むと見られていました。NTTデータは企業におけるビジネスを推進する技術としてもVR、ARは非常に有望であると考えており、遠隔会議を含め、様々な活用方法を提案してまいります。

  1. *1 AR:Augmented Reality、拡張現実。現実に対して仮想情報を重ね合わせる。
  2. *2 VR:Virtual Reality、仮想現実。仮想的に作られた世界に利用者が入る。
  3. *3 超融合インタフェース: NTT DATA Technology Foresight(NTTデータが毎年策定する社会/技術トレンドhttp://www.nttdata.com/jp/ja/insights/foresight/sp_2018/index.html)の1つで、人とIT機器のやりとりを人間が生来持つ自然な行動と知覚で実現するインタフェースを意味する。ジェスチャー、音声による指示、入力のほか、AR/VRなどのディスプレイが含まれる。
  4. *4 テレワーク:ICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のこと。外出中に業務を行うモバイルワーク、自宅で業務を行う在宅勤務、シェアオフィス、サテライトオフィスなどの形態がある。
  5. *5 新宿にはVRによるエンターテイメント施設であるVRZoneがある。(https://vrzone-pic.com/
  6. *6 VRスポーツトレーニング:NTTデータが楽天球団に提供する野球のトレーニングシステム。(http://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2016/090500.html
  7. *7 「テレワーク・デイズ」に5日間で延べ約33,000名が参画~VR(仮想現実)による会議システムを用いて、働き方変革の社内トライアルも同時実施~」 http://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2018/070602.html

Profile

山田 達司
株式会社NTTデータ 技術革新統括本部 技術開発本部EVITセンター サイバーフィジカル技術担当
シニアスペシャリスト 山田 達司

セキュリティとモバイルコンピューティングによるワークスタイルイノベーションをライフワークとする。現在はAR/VRに関するR&Dに従事。モバイルデバイスPalmの日本における普及に尽力し「Palmの神様」、「神降臨の元祖」といわれる。名古屋大学、東京大学非常勤講師。