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「事業成功のためのデザイン」とは

テレコムユーティリティ事業本部 モバイルビジネス事業部 第二統括部 デジタルHQ

課長代理 宮島 雄一

現代の事業創出においてデザインの重要性が急速に高まっている。しかし、デザインという言葉は多様な意味で用いられるため、正確な定義が難しい。本記事では「事業成功のためのデザイン」という側面から、デザインがどのように事業創出に寄与するかを説明する。

「事業成功のためのデザイン」とは

企業の事業推進において、デザインの重要性が急激に高まっています。
McKinsey&Company社のレポート(※1)では、S&P500(※2)の算出元企業500社のうち、デザインを重視する企業は、その他の企業に比べて2倍の成長(時価総額ベースで219%)を遂げていると報告されています。

さて、「デザイン」という言葉は何を指しているのでしょうか。「デザイン」という言葉は便利な言葉であり、多様な文脈で用いられます。「デザイン」と聞くと、見た目のビジュアルデザインを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

本記事では「事業成功のためのデザイン」という文脈での「デザイン」についてご説明します。事業成功のためにデザインを活用する場合に最も重要なのが、サービス、ビジネス、テクノロジーの3要素について優れたデザインを行うことです。

「事業成功のためのデザイン」の定義

図1:「事業成功のためのデザイン」の定義

表現の仕方は異なりますが、この3要素(サービス、ビジネス、テクノロジー)の重要性は、リーンスタートアップやデザイン思考などの主要な事業検討手法でも提唱されています。

デザイン思考、リーンスタートアップにおける表現

図2:デザイン思考、リーンスタートアップにおける表現

サービス、ビジネス、テクノロジーのデザインでは具体的に以下のような活動を行います。

  • ・サービスデザイン:ユーザが価値を感じてくれる事業仮説の整理と検証。
  • ・ビジネスデザイン:事業主体者と関係者が継続的に儲かる事業仮説の整理と検証。
  • ・テクノロジーデザイン:最適な技術を用いた模倣の難しい事業仮説の整理と検証。

ここで重要なのが、図3に示すように、サービス、ビジネス、テクノロジーの3要素のうち一部のみが優れていても成功する事業を創ることはできないという点です。

デザインを通じて事業を成功させるためのポイント

図3:デザインを通じて事業を成功させるためのポイント

そのため、サービス、ビジネス、テクノロジーの3要素全てについて、優れたデザインを実現することが成功事業をつくるために非常に重要となります。

デザインを用いた事業創出の検討プロセス例

では、デザインを用いた事業創出は具体的にどのように実施すべきなのでしょうか。
現在様々な手法が提唱されていますが、Gartner社が提唱しているデザイン思考、リーンスタートアップ、アジャイル開発を組合せた事業検討プロセス(※3)を例に、ご説明します。

デザインを用いた事業検討プロセス例

図4:デザインを用いた事業検討プロセス例

この事業創出プロセスでは、まずデザイン思考(※4)を駆使して事業の基礎となるアイデアを練り上げていきます。アイデアが初期事業仮説としてまとまった段階で、リーンスタートアップ(※5)を駆使して素早く事業仮説を検証/見直ししながら事業を拡大していきます。その際、アジャイル開発は事業検証するためのMVP(Minimum Viable Product:事業仮説を検証するための必要最低限の成果物)をすばやく実現するために用います。MVPは検討初期では非常に小さく(事業価値を紙に1行で書く、など)設計します。その後、検証を行いながら徐々にMVPサイズを大きくすることで、段階的に事業リスクを解消していきます。

ここでも、重要なのは一連の事業検討フェーズにおいて、サービス、ビジネス、テクノロジーの3要素をバランスよく検討できているかという点です。一般的にはリーンスタートアップやデザイン思考を用いて事業検証する場合は、サービスを最優先で素早く検討しながら、中長期のビジネスやテクノロジーの検討量を徐々に増やしていくとよいでしょう。

しかしながら、3要素の検討順序や検討タイミングに一義的な正解はありません。ここでは紙面の都合で具体的な個別企業の事例は取り上げませんが、自社の文化、事業承認プロセス、プロジェクト特性を考慮し、3要素の検討順序、粒度、タイミングを適切に設計することが、成功事業の創出確率を高めてくれるでしょう。

デザイン事業についての当社取組み

当社でも国内外にてデザインを通じた取り組みを多く推進しています。私が所属するデジタルHQでも、欧州デザインスタジオと連携し、デザインを通じた事業創出/検討支援サービスを提供しています。部分的なコンサルティングからアイデア創出支援、事業検証支援、事業化支援まで、デザインを通じた事業創出全般でご支援が可能です。
なにかご相談がある方はお気軽にご連絡下さい。(問合せ先:dhq@kits.nttdata.co.jp

簡易サービス内容紹介(濃青:主サービス、薄青:補助サービス)

図5:簡易サービス内容紹介(濃青:主サービス、薄青:補助サービス)

本記事のまとめ

  • ・事業成功にはサービス、ビジネス、テクノロジーを適切にデザインすることが重要。
  • ・3要素の検討順序、検討粒度は企業文化に合わせて最適に設計、運用する必要がある。
  • ・リーンスタートアップやデザイン思考で事業検証する場合はサービスを最優先で素早く仮説検証しつつ、中長期のビジネスやテクノロジーの仮説検証量を増やしていくと良い。
  1. (※1)The midlife of design:https://www.mckinsey.com/business-functions/mckinsey-design/our-insights/five-fifty-midlife-of-design(外部リンク)
  2. (※2)S&P 500:https://ja.wikipedia.org/wiki/S%26P_500(外部リンク)
  3. (※3)Combine Design Thinking, Lean Startup and Agile:https://www.gartner.com/binaries/content/assets/events/keywords/enterprise-architecture/epaeu17/enterprise_architecture_and__tech-innovation.pdf(外部リンク)
  4. (※4)Design Thinking:https://en.wikipedia.org/wiki/Design_thinking(外部リンク)
  5. (※5)LeanStartup:https://en.wikipedia.org/wiki/Lean_startup(外部リンク)

Profile

宮島 雄一
テレコムユーティリティ事業本部 モバイルビジネス事業部 第二統括部 デジタルHQ
課長代理 宮島 雄一

デザインを通じた顧客の事業推進支援が専門領域。国内外の顧客に対して様々なプロジェクトで事業推進支援を実施。欧州デザインセンタと連携し、デザインを通じた成功事業のつくり方を追求中。当社RB(Relation Builder)。発信テーマは「デザインを通じた成功事業のつくり方」。