データの品質管理に不可欠な「データマネジメント」を、成功させるための秘訣や具体的な取り組みについて、株式会社リアライズの大西浩史が解説します。

1.「データマネジメント」で行われる4段階の作業の流れ

データを適切に管理し、信頼性・整合性を確保する「データマネジメント」。実施するためには、さまざまな取り組みや手順が必要となりますが、集約すると、以下の4段階のステップに分類することができます。

  • ステップ1:データの現状を定量的・具体的に把握する
  • ステップ2:必要なデータのあるべき状態を定義する
  • ステップ3:今あるデータをきれいな状態にする
  • ステップ4:きれいなデータ状態になるよう入力を管理する

既存のデータに対して、ただ漠然と整理の必要性を説くのでなく、定量的かつ具体的に把握することがまずは大切です(ステップ1)。その上で、必要なデータに関して、あるべき状態を決める必要があります(ステップ2)。データ活用の目的によっては、既存のままでもよいと判断する場合もあります。次に、対象となるデータに対して整理を行い、紙の伝票との突き合わせや情報の精査といったデータクレンジング作業を実施(ステップ3)。そうした作業が完了した後も引き続き、データの整理された状態が持続するよう、データ入力の管理・確認体制を整備する必要があります(ステップ4)。

こうした4つのステップにのっとって実施されるのが「データマネジメント」ですが、大量にたまったデータや複雑な組織形態を前にして、企業自ら段階的に取り組んでいくことは、時間や費用のコストがかかります。そのためにも、実施すべき範囲を明確にし、効率的な作業を実施する必要があるといえます。

【図】

図:「データマネジメント」の4つのステップ

2.「データマネジメント」を成功させる秘訣とは?

膨大なデータを整理し、活用するための「データマネジメント」。それを前述した4つのステップに沿って実行し、確実な成功を収めるためには、以下の3つのポイントを踏まえることが大切になります。

[ポイントその1] 何から始めるのか明確にすること

「データマネジメント」の実施に際して、無駄な作業を省くためにも、現状のデータを正しく把握することが何よりも重要です。情報システムの更改や統合に際して、プロジェクトがうまく進行しない理由の3割近くが、「データ移行に問題があるため」だと言われています。大事なことは、情報システムのデータモデル(枠)だけでなく、実際のデータベースに格納されているデータの中身の状態を正しく把握すること。「データマネジメント」を実施する際は、データの状態を正確に把握することから、すべてが始まるといえます。

[ポイントその2] 統合・更改などの好機を生かすこと

規制や制度対応などを受けてシステムの統合や更改を行う場合があります。そうした作業の一環としてデータを新システムへ移行する際に「データマネジメント」を実施するのが、最適なタイミングです。データそのものに着目することが重要といっても、データの中身だけを見直そうとしても、受け入れる枠となるシステム側でも対応をしなければ、データを整理することは困難です。「業務」「システム」「データ」のすべての見直しを同時に実施できるデータ移行に合わせて「データマネジメント」を実施するのが、作業効率や精度などさまざまな面でベストであるといえます。

[ポイントその3] 目的に応じたゴールを設定すること

「データマネジメント」における実際の作業であるデータクレンジングを実施するには、その規模や内容によっては膨大なコストがかかります。折角の機会だから、あれもやりたい、これもやりたいというのではなく、コストに見合う最大の効果を得るためにも、「情報活用の目的」と「実現にかかるコスト」との比較を行い、実現可能なゴール設定とロードマップ作りを行った上で実施することが重要です。

【図】

図:「データマネジメント」成功のためのゴール設定 紙資料7

3.リアライズ「基本構想からのデータ移行ガイドライン(WBS)」

「データマネジメント」の重要性にいち早く着目し、その普及・促進を目的にNTTデータの社内ベンチャーを母体として、2001年に設立された株式会社リアライズでは、設立以来、約450案件におよぶ実績に基づいて、「データマネジメント」に関する独自の方法論を展開してきました。経験豊かなスタッフの協力体制により、迅速かつ綿密に現状データの調査や問題データの把握・原因調査を行い、クレンジング作業を効率的に実施、データを本来あるべき姿へと導きます。
ここで、NTTデータの開発標準「TERASOLUNA」をベースに体系化された、リアライズ独自のノウハウを反映したNTTデータグループの、「基本構想からのデータ移行ガイドライン(WBS)」についてご紹介しましょう。システム統合や更改に伴うデータ移行に際して、通常は、情報の流れの整理といったシステムのフレーム側にばかり注目してしまいがちです。しかしデータの移行に当たっては、データのクレンジング作業を重点的に実施することも忘れてはなりません。実際、データクレンジングなどについてのナレッジが蓄積されていないために、システム開発の最終段階、実データとアプリケーションが結合される段階になって、実データの不備が明らかとなり課題が噴出してしまうケースが多々あります。そうした事態を防ぐためのガイドラインが、WBSです。従来ではユーザ側に任せきりだった実データの管理・整備についても確実に定義しつつ、データ移行に際して、そのボリューム感を見極め、適切なデータクレンジング作業やその後の運用管理を明確にした上で、データのフレーム側と実データの適切な結合を行います。こうしたガイドラインに基づいてデータ移行を実施することにより、適切な「データマネジメント」が行われ、データの品質が向上するとともに、信頼性・整合性を確保することができます。

【図】

図:上流シフトによる段階的なリスク軽減のイメージ

情報システムを経営に生かす--その根源となるのはデータの品質です。クラウドコンピューティングやSOA(サービス指向アーキテクチャ)など、技術革新の激しいITの世界ですが、データ品質の維持管理の視点が欠けていては、その恩恵を享受することはできません。「活用されるシステム」を具現化するための「データマネジメント」について、その導入を真剣に検討すべき時期はすでに来ているといえます。

著者プロフィール

(株)リアライズ代表取締役社長 データマネジメント・エヴァンジェリスト
大西 浩史

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