ITの進歩と社会の発展が緊密に連携している現在、その進歩を予見することは、企業の競争力を高め、社会やビジネスを変革する大きな力となります。NTTデータが提示する先進テクノロジーの羅針盤「NTT DATA Technology Foresight」について、技術開発本部 木谷 強が解説します。

1.ITの進歩を予見することが、社会やビジネスを変革する力になる

2012年のロンドン五輪は、ソーシャルメディアが世界的に普及してから初開催の"ソーシャル五輪"といわれ、Twitterを通じて大会に臨む選手の心境を知ることができたり、テレビ中継を見ながら大勢で感動を共有したりと、新たな楽しみ方をもたらしました。五輪関連のツイートは全世界で1億5,000万ツイートに及んだといいます。さらに、テレビ中継が行われない競技についてもインターネット経由でストリーミング配信され、リアルタイムな観戦が実現。ITの活用は私たちと五輪の距離を大きく縮め、さらなる可能性を予感させる格好の機会となりました。

こうしたインターネットの世界を支えてきたのが、CPU、ストレージ、ネットワークという三大要素技術の発展です。人類がコンピュータを手に入れたのは1946年、たった70年ほど前のことであり、インターネットの一般利用に至ってはわずか20年足らずの歴史しかないにもかかわらず、私たちの暮らしやビジネスに欠かすことのできない社会インフラとなっています。それぞれの進歩の速度も驚異的であり、例えばコンピュータのCPUに関して、1969年に人類を初めて月面に到達させたアポロ11号に搭載されたコンピュータのCPUは、現在のパソコンではごく普通に手に入るスペックといえます。デジタルデータを保存するストレージについても同様で、紙の書籍で積み上げれば東京スカイツリーの高さにも及ぶ膨大なページ数の文字データも、ハードディスク1台に保存できます。NTTの研究所が開発を進めている伝送容量1Pbpsの光ネットワークでは、これまで数十年にわたって放送されたNHK大河ドラマの全作品の映像データを送信するのに1秒もかからないといいます。

こうしたITの急速な進歩によって、私たちの暮らしやビジネスは確実に、より豊かで便利なものになりました。今後も社会が発展を遂げるためには、ITの進歩が重要なカギを握ることはいうまでもありません。もし、これからのITの動向や進歩を、少しでも早く知ることができれば、より先進的で魅力的な商品やサービスを他に先駆けて市場に投入できるなど、社会やビジネスに大きなインパクトを与えることができます。

そこでNTTデータでは、今後のビジネス戦略の立案などに役立つ、先進テクノロジーの「羅針盤」というべきものを作成しました。それが、「NTT DATA Technology Foresight」です。

2.2012年、4つの情報社会トレンドがビジネスに革新をもたらす

「NTT DATA Technology Foresight」は、これまで先進ITを駆使して、世の中に広く貢献してきたNTTデータが、世界36カ国の国・地域で培った豊富な実績やノウハウをもとに、ニュートラルな立場からこれからの社会や技術の変化を予見するものです。もちろん、これは机上の空論ではありません。私たち自身にとっても今後のビジネスに全力で取り組むための指針となるものであり、変化する技術や環境に合わせて、これから毎年新たな指針として提示していく予定です。

今年度提示した「NTT DATA Technology Foresight 2012」では、以下の4つの情報社会トレンドを、来るべき未来に向けた指針として打ち出しました。

  1. 1.多様なユーザー要求をリアルタイムに満たすことが求められていく

    市場競争の激化や多様化する顧客のニーズを背景に、企業のビジネスサイクルは短くなり、決断までに許容される時間も短くなる一方です。ユーザーを真の意味で満足させるためには、センサー技術等により多種多様なニーズをリアルタイムに把握し、そうして集約されたビッグデータをリアルタイムに解析する技術を駆使する事で、その時々に合った最適なサービスを提供することが欠かせません。

  2. 2.企業競争力の源泉は、知識やノウハウへシフトする

    企業の競争力は、優れた商品やサービスから生み出されます。消費サイクルが短い現在において大事なことは、魅力的な商品やサービスを提供し続けること。そのためには、商品開発力を高めつつ、市場にあふれる膨大な情報の中から、自社のビジネスに真に必要となる情報を見抜き、それらを有効活用していくことが重要となります。すなわち企業競争力の源泉は、膨大なデータを分析する知識やノウハウへとシフトしつつあるのです。

  3. 3.マス重視から個重視の社会へ

    SNSやスマートフォンの普及により、特定の顧客に対してサービスをリアルタイムに提供できる環境が整ってきました。それを実現しているのは、GPS機能など個人の位置を特定する技術や、生体センサーや名寄せといった個人自体を特定できる技術、ビッグデータを高速に分析できるHadoop技術などです。こうした技術を活用することで、企業は消費者をマスではなく個としてとらえ、必要なときに必要なサービスを的確に提供することができるようになると期待されます。もちろん、個人を特定するこうした技術が急速に発展する一方で、プライバシーをガードする技術もまた同時に開発を進めなければならないことはいうまでもありません。

  4. 4.誰でも活用できるITが普及する

    これまでのコンピュータは、キーボードやマウスなどの操作が必要でした。しかしこれからは人間が本来持つ動作、すなわち「しゃべる」「見る」「指さす」といった直感的な動作と連動したナチュラルユーザーインタフェース(NUI)でコンピュータを操作できるようになります。こうして誰もが活用できるITが普及することで、例えば、高齢者も手軽にパソコンやスマートフォンを操作できるようになり、より広範囲な年齢層を対象とした情報サービスの実現に期待が集まります。

3.ITを活用するすべての企業に向けて、未来予想を毎年新たに発表

こうした情報社会を実現するに当たっては、アプリケーションレイヤーから基盤技術まで、幅広い技術を開発・活用していく必要があります。直接的に重要なアプリケーションレイヤー技術として「ビッグデータを活用したビジネスアナリティクス」「コミュニケーションの高度化」を、さらにそれらを下支えするためのIT基盤レイヤーの技術として「システム開発の自動化」「クラウド活用の拡大」を、重要な4つの技術トレンドとして考えています。

2012年、NTTデータは、「NTT DATA Technology Foresight 2012」で掲げた4つの情報社会トレンドを視野に入れたビジネスをグローバルに展開するとともに、それらを支える技術トレンドの要素技術についても積極的に開発を推進し、世の中に革新をもたらすような先進ソリューションの提供を目指してきました。

そうした取り組みを通じて得られた知見をもとに、2013年の初めには新たな未来予想を提示したいと考えています。さらには、ITを活用するすべての企業にとっての「羅針盤」となるべきこの未来予想を、今後、毎年新たに発表していきます。

「NTT DATA Technology Foresight 2013」は、2013年1月の「NTTデータ イノベーションカンファレンス」において発表する予定です。私たちの未来予想にご注目ください。

著者プロフィール

技術開発本部 本部長 木谷 強

1999年~2002年に激動のアメリカ・シリコンバレーでベンチャー企業と交流。帰国後はソフトウェア開発の技術革新プロジェクトに携わり、現在は技術開発部門全体をマネジメントしている。

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