公的機関が保有するデータを公開し、民間で利活用する「オープンデータ」が注目されている。オープンデータは欧米諸国では以前から取り組まれており、日本ではまだ始まったばかりである。本稿では、オープンデータの現在の状況と今後の課題を紹介したい。

1.オープンデータとは

公的機関が収集・管理するデータは、統計データから各種センサーデータ、調査データなど多岐にわたる。これらの公的なデータのうち、個人情報に該当しないものについて一般公開し、民間での利活用を推進するものがオープンデータである。特に、マシン・リーダブル形式(ソフトウェアで読み込み、編集加工できる形式)で公開され、かつ自由に編集・改変・利活用できる利用規約が設定されているものを指す。

オープンデータは政府の透明性向上や公的サービス向上に資するだけでなく、データを活用したビジネスによる経済効果も見込まれている。米国や英国では2009年頃から政府のデータを公開する専用サイトを設け、利活用を進めてきた。欧州では、こうしたオープンデータから生み出されるイノベーションにより、市場規模280億~320億ユーロ、経済波及効果も含めれば1,400億ユーロがもたらされると推計している。日本に単純に置き換えれば、市場規模約1兆円~1.5兆円、経済効果5兆円程度と見られている。

2.官民共創によるイノベーション

オープンデータは、政府がデータを提供し、民間がそれを活用したサービスを提供するというモデルであり、官民が異なるリソースを出し合って成立する。そのため、両者の協力体制が欠かせない。特に初期段階では公開されているデータも限られており、どのようなデータが利用可能か、どのようなデータに利活用可能性があるか、情報交換が必要である。欧米では、これまでハッカソン(エンジニア等が一堂に会してデータ活用サービスを考案・作成するイベント)やアプリケーションのコンテストが積極的に開催されてきた。また、英国では成長が見込めるビジネスに対して、「Open Data Institute」という政府組織が事業化に向けた支援を行っている。

3.日本の取り組み

我が国では、鯖江市、横浜市など自治体でオープンデータへの取り組みが進みつつある。また、世界的NPOである「Open Knowledge Foundation」が主催する世界的ハッカソンのイベントにも、日本国内で8都市にて約300人が参加するなど、民間がデータを利活用する機運も高まりつつある。一方、国は平成26年度からデータ公開用ポータルサイトの運営を計画している。全体としては、オープンデータに対する認識や土壌は広がりつつあるものの、公的機関からの本格的なデータ公開はこれからという状況である。

一方で、データの公開・利活用が進んでいけば、政府部門を含めて、社会全体のより効率的・効果的な情報管理のあり方も見えてくるだろう。こうした点も、オープンデータの波及効果として期待している。

著者プロフィール

企画調整室IT政策推進グループ 課長代理 高木 聡一郎

これまでに慶應義塾大学SFC研究所訪問研究員、ハーバード大学ケネディスクール行政大学院フェロー等を務める。ITを活用した市民参加、オープンガバメントなど、ITによる社会の変容に関する研究に取り組んでいる。

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