SNSやオープンデータの普及、M2Mデータ解析サービスなど、ビッグデータはビジネスの主役になりつつある。ビッグデータを利して勝ち組になるためには、IT組織は大きく変わらなければならないだろう。

1.ビッグデータは万能か

ビッグデータの活用事例が続々と出てくるにつれ、「今まで出来なかったことが出来る、あるいは見えなかったことが見える」など、ビックデータがまるで万能ツールや千里眼のように言われることが多くなってきた。しかし、これらは必ずしも正しい見解ではない。データという「材料」はあっても、企業の意思決定に役立つインテリジェンスが生み出されているとは限らないからだ。

2.IT部門に潜む弱点

現在のIT組織を機能で分類すると、ビジネスロジックをシステムロジックに変換する「開発・運用組織」と、アウトソースした開発・運用の予算や品質の管理を主体とした「管理組織」に大別される。いずれも「データそのものやデータから生み出される情報の価値」に着眼した組織ではない。ITで生成された情報は、企画部門や営業部門が自らの知識や経験をベースとした解釈を加えてインテリジェンス化している。このため、IT組織はインテリジェンスが発揮されるべき社内業務プロセスや競合企業の製品やサービス、あるいは顧客に疎くても問題にはならないのが多くの企業の原状だ。

3.変わるIT組織の役割と人材像

これはビッグデータの活用においては大きな障壁となる。ビッグデータとは大量・多種・高頻度発生のデータという定義であり、企画部門や営業部門がそのままインプットするとデータの海に沈んでしまう。IT組織がテクノロジーを使ってデータを整理・集約して企業活動にとって意味のある情報を作り出さなければならないのだ。社内業務に必要な限られた量・種類のデータを処理してきたIT組織にとっては新たな役割が求められることになる。

こうなるとIT人材に求められる知識やスキルはシステムのみにとどまらず、自社バリューチェーンやサプライチェーン、顧客の製品・サービス利用シーンに至るまで、大変幅広いものとなる。製品・サービスや業務プロセスの改善に有益な情報をビッグデータから収集・分析し、更にこれら分析結果からユーザーエクスペリエンスをデザインしたり、わかり易いユーザーインターフェースをデザインすることも求められる。データの処理だけでなく、顧客にどのようにインテリジェンスを伝えるかというセンスも必要になるのだ。ビッグデータを活用した製品・サービス改善のPDCAサイクルを実現するには、IT組織が中心となった新たな価値創造の為の組織とプロセス変革が求められる。

ややもすると内向きだったIT組織は外向きになる必要があるのだ。

4.問われるCIOの力量

ここまで書いてきたIT組織や人材に求められる役割や能力の獲得は一朝一夕に実現できるものではない。企画部門、営業部門、IT部門の相互キャリアパス制度やビジネスパートナー、SIerとの人材・技術交流などの取り組みが必要となる。ビッグデータの海に沈むことなく、ビジネスの新大陸を発見するには旧来のIT組織の枠にとらわれない組織デザインが必要だ。CIOの思い切った舵取りが望まれる。

著者プロフィール

株式会社NTTデータ経営研究所 金融システム研究所 金融コンサルティング本部 シニアマネージャー 河原 陽一

国内大手損保にて営業、システム開発・運用業務に従事した後現職。ITを活用したBPOや統制環境構築、バックキャスティング手法によるマーケティングプロジェクトを得意としている。

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