2014年3月13日

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予見力

NTT DATA Technology Foresight 2014特集。第6回目は技術トレンド「ラピッドデザイン技術」です。

技術開発本部 松下 正樹

ラピッドデザイン技術

市場やビジネス環境が急速に変化する時代において競争優位性を保持するには、常に新しいイノベーションを起こし、持続的な成長を続けていく必要があります。従来より遙かに迅速な開発を可能とする「ラピッドデザイン技術」を用いた高速開発と反復改善により、製品やサービスを変化に追随させることが必要不可欠になるでしょう。ラピッドデザイン技術は、3Dプリンターや開発自動化に代表される「デリバリー期間を短縮するもの」と、アジャイル開発に代表される「反復改善により価値を高めるもの」の大きく2系統で整理できます。

デリバリー期間の短縮

スーパーコンピューターを用いたシミュレーションで製品開発を高速化している事例があります。IT創薬参考1と呼ばれる取り組みでは、数百億パターンにも及ぶたんぱく質と化合物の反応をシミュレーションすることで有望なパターンを絞り込み、新薬の開発期間を数カ月や数年の単位で短縮しています。ITシステムにおけるソフトウェア開発の自動化も進んでいます。COBOLなどのレガシーソースコードを自動解析して設計情報を復元することや、設計情報からJavaなどのソースコードを生成することができる他、開発用のPC環境をクラウド上に用意し、初期設定無しで大人数が同期を取って開発を開始できるなど、運用面での改善も進みました。また、製造業の分野では3Dプリンターが登場しています。Webで3Dデータを購入して自宅で製造を行うなど、即座にデリバリーが可能なパスが開拓されました。自宅での製造の前段階として、近所のコンビニや配送センターで製造して自宅に配送することも想定できます。工場での製造現場も、品物によっては3Dプリンターによる製造に置き換わる可能性があります。この場合、大量生産品ではなく、さまざまな色と形状をバリエーションで選べるような多品種適量生産品がターゲットとなるでしょう。3Dプリンターは既にプラスチックだけでなく金属や繊維素材での製造も可能となっており参考2、精密さも徐々に向上しています。大きなものでは建築物、小さなものでは電子回路、変わったものでは薬や人工血管の出力なども試みがあり、今後さまざまな分野でイノベーションを起こす可能性を秘めています。

反復改善による価値の向上

ユーザーからのフィードバック反映を繰り返し実行することで製品やサービスの価値を高めていく「フィードバックループ」の取り組みが顕著になってきました。フィードバックループを実現するための方法論や概念として、リーンスタートアップ参考3、アジャイル、デザイン思考などが普及し始めています。高速にフィードバックループを実践している企業として代表的なのはAmazonでしょう。Amazonでは、改善やバグ修正などを含め、11秒ごとに新しいモジュールが商用環境に適用されているそうです。また、A/Bテストと呼ばれる手法も近年活発に行われるようになってきました。A/Bテストとは、Webサイトのパターンを何種類か用意し、どちらの方が効果的であったかを実際に対象者を決めて試してみながら、結果の良かった方を採用するという手法です。画面のレイアウトやキャッチコピー、画像やアクション導線などを変えながら、クリック率を高めて離脱を減らすのが一般的です。アメリカの大統領選挙戦におけるキャンペーンページでも使われた実績があります。ユーザー要求の変化や市場の変化へ迅速に対応していくために、ラピッドデザイン技術はますます重要になっていくでしょう。

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図:ラピッドデザイン技術

著者プロフィール

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技術開発本部 松下 正樹

技術の社内流通と事業活用に関するエキスパート。発注者ビューガイドライン製作など、他社と連携した業界活動に実績がある。「イマ旬!」の企画仕掛け人でもある。

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