2015年11月12日

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Wi-Fiマルチキャスト

Wi-Fiマルチキャスト技術を用いると、Wi-Fiが届くエリア全ての端末に対して動画等のマルチメディアコンテンツを一斉同報配信できます。

技術開発本部 本田 崇智

二つの配信形態

Wi-Fiマルチキャスト技術の配信形態としては、ライブストリーミングによるリアルタイム視聴サービスと、ファイルキャスト配信により端末にファイルを蓄積する2パターンがあります。この二形態をうまく活用することで、いつでもどこでも閲覧可能なシフトタイム視聴サービスが実現できます。

【図】

配信品質確保の工夫

通常Wi-Fi通信ではユニキャストによる1対1の通信で帯域を共有するため、同時に接続できる端末は数10台が限界ですが、マルチキャストによる1対Nの同報配信を行うことで、同時接続数の制約がなく輻輳のないサービスを提供することができます。また、Wi-Fi通信では電波の減衰等によりデータの損失が発生します。マルチキャスト通信の場合は片方向の通信であるため、データの損失が発生すると"再送"等のデータ補完ができず完全なサービスの提供が難しくなります。そのためデータ損失時に端末側でデータを補完する技術が必要となります。

NTTデータではストリーミング配信を実現する国際規格であるMPEG-DASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)参考1とIPデータキャストと呼ばれる技術参考2を組み合わせ、マルチキャスト向けに最適化したシステムを開発しました。このシステムでは、リアルタイム性が求められるライブストリーミング配信において1秒台の低遅延でロスの少ない映像配信が可能となり、ファイルキャスト配信では数GB単位の大容量ファイルを扱うことができるシフトタイムサービスを可能にしております。

具体的なサービスイメージ

競技場やイベント会場のような大勢の人が密集している場所において、コンテンツの一斉同報配信サービスが可能になります。スポーツ競技のマルチアングル視聴や、決定シーンの見逃し視聴、さらには災害時にも輻輳しにくい緊急情報配信を実現します。

放送サービスと比較して、放送専用免許が不要であり設備もエリアをカバーする最小限のWi-Fiアクセスポイントと配信サーバーのみで済むため、低コストでの実現が可能です。またユーザーはWi-Fiを利用することでパケット容量制限を気にしなくてもよく、専用受信機が不要のため、海外からの来訪者でも個人のスマートフォンとアプリでサービスを受けることが可能です。国際的なイベントにも適した技術と言えるでしょう。

NTTデータでは、第144回全英オープン(2015年7月開催)の場でWi-Fiマルチキャスト配信サービスを提供しました。選手のスコア、コース紹介、プレー中継映像の3チャンネルをタブレットとウェアラブルデバイス向けにライブ配信し、リアルと映像の同時視聴というユーザーへの新たな視聴体験を提供しました参考3。また、11月6日(金)の全国地域サッカーリーグ決勝大会では観戦者の方へWi-Fiマルチキャストにおけるセカンドスクリーンサービスを提供しました参考4、5。今後もイベント事業者や自治体等へのサービス提供を予定しております。

【図】

著者プロフィール

【写真】

技術開発本部 本田 崇智

入社より数年間携わっていたネットワーク技術をベースに、現在は次世代配信技術の研究開発に従事。アーキテクチャ設計からサーバー・クライアントサイドプログラミングまで幅広く担当。

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