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2011年6月8日技術ブログ

[第9回]ITを活用した持続可能な未来社会~そのグランドデザインと新たな取り組み~

持続可能な未来社会を実現するためには、CO2排出量の増加や都市への人口集中などの社会的な課題が山積みになっています。その打開のためにITで何ができるのか?NTTデータグループが考えるITを活用した持続可能な未来社会への取り組みを、NTTデータの吉岡功二が紹介します。

1.持続的な成長に向けた社会課題

地球規模でのエネルギー消費拡大により、CO2排出量が増大しています。また、経済発展を続ける新興国では都市への人口集中が加速する一方で、先進国で進む少子高齢化の傾向は、やがて中国やインドなどアジア諸国でも進展するとされています。さらには、気候変動などに起因する自然災害の増加も予想されており、持続可能な成長に向けた地球規模の社会的課題が噴出しているのが世界の現状です。

それらの社会的課題への対応策・打開策として、各国で社会インフラへの投資や施策が始まっています。例えば、アメリカではオバマ大統領が、地球温暖化対策への投資により雇用や経済成長を生み出そうとする「グリーンニューディール政策」を打ち出し、それをきっかけに、電力の需給を最適化する次世代送電網「スマートグリッド」が注目を浴びるようになりました。また現在、新興国を中心として新たな都市開発をする際に、その「スマート」技術を用いた省エネルギーで効率的な街を作ろうということで、「スマートシティ」「スマートコミュニティ」などの構築が計画・実行されています。日本でも、政府の新成長戦略の中で「環境未来都市」構想が打ち出され、それに伴って関連省庁や各自治体で「スマートコミュニティ」に関するさまざまな実証実験が行われています。

【図】

図:政策動向

2.NTTデータグループの考えるスマートコミュニティとは

「スマート○○」と「IoT」

「スマート○○」のさきがけとなった「スマートグリッド」は、もともと電力流通の最適化を実現するという電力主体のコンセプトでしたが、そこから「スマートシティ」や「スマートコミュニティ」へと変遷していく過程で、上下水道や廃棄物処理、さらにはコミュニティバスなどの交通インフラも含めた都市基盤全体に広がりを見せています。
それを実現する技術的側面として重要になるのが、"Internet of Things"、略して「IoT」という概念です。現実社会にあるさまざまなモノがインターネットでつながる、つまり「モノのインターネット化」を言います。電力や自動車、産業機械や自動販売機などいろいろなモノにセンサーや制御デバイスを付けてインターネットに接続して連動させます。つまり「スマートシティ」や「スマートコミュニティ」といったものは、技術面から見れば「IoT」の世界なのです。
なお、「IoT」と似たような意味で使われる言葉に「M2M(Machine to Machine)」があります。これは、ネットワークに接続された機械の相互通信の事を指します。意味は若干異なりますが、現在こうした「IoT」や「M2M」といった世界がどんどん広がりつつあります。

【図】

図:スマート○○に関する最近の動向

なぜNTTデータが考えるのか?

NTTデータグループでは今、そうした「スマートコミュニティ」などの社会インフラ構築に取り組もうとしています。
「なぜNTTデータが?」と思われるかもしれません。NTTデータという会社は、システム構築を請け負うシステムインテグレータですが、その中で数々の社会情報インフラを構築してきた実績を持ち、エネルギーに関する仕事にも携わってきました。例えば「LONWORKS」というビル制御ネットワーク技術を使って、首都圏・近畿圏や中国上海など数多くのビルでインテリジェントサービスを提供してきました。環境負荷の少ない「グリーンデータセンタ」を運用し、2009年にはグリーンITアワード経済産業大臣賞を受賞しました。さらに昨年、環境負荷低減が期待できる次世代クラウドサービス「BizXaaS」の提供を開始しました。つまり「エネルギーに強いITエキスパート集団」として、関連する技術やノウハウを持っている。だからこそ私たちにできることがあると思っています。
NTTデータグループが考える「スマートコミュニティ」とはどんなものかご紹介します。それは、"ネットワークによって「個」がシステムにつながる社会"です。ここで「個」というのは、住宅・自動車・家電機器・自販機など都市を構成するさまざまなモノを指します。これまでインターネットにつながっていたのはパソコンや携帯電話など通信機器にとどまっていましたが、さらに一歩先へネットワークが伸びることによって、システム全体としてさらに進化・発展が可能になると考えています。そうして誕生する新たな社会情報インフラを通じて、さまざまな付加価値の提供が可能となります。地域の活性化、ライフスタイルの変革、さまざまな業界や官民連携のクロスインダストリなどが実現する...それが私たちの考える「スマートコミュニティ」の姿であり、NTTデータグループだからこそ実現できるものであると考えています。

【図】

図:NTTデータグループが考えるスマートコミュニティとは

3.NTTデータグループの取り組み

「スマートコミュニティ」実現に向けたITサービスとして、NTTデータグループが先行的に取り組んでいる例をご紹介します。

クラウドサービスによるワークスタイルイノベーション

NTTデータグループでは、「BizXaaS」というクラウドサービスを提供しています。このクラウドサービスを活用し、オフィスのサーバをすべてクラウドに移行すると、

  1. 1.ビジネスフローのペーパレス化
  2. 2.オフィスビルの省エネとコスト削減
  3. 3.テレワークやテレビ会議による環境負荷低減

このような新しいワークスタイルを作る事が出来ます。そうしたクラウドサービスを核としたワークスタイルイノベーションにより、「スマートコミュニティ」の一端を担っていけるのではないかと考えています。

【図】

図:クラウドサービスによるワークスタイルイノベーション

「M2Mプラットフォームサービス」の提供

NTTデータグループでは、「スマートコミュニティ」を構成するさまざまなサービスの共通部分を担う「M2Mプラットフォームサービス」の提供を検討しています。オフィスや家庭にセンサーを設置して電力を見える化し制御するシステムや、家電をスマート制御する「ホームICT」システムなど、「スマートコミュニティ」を実現するためのサービス・機能は多種多様ですが、システムの基盤や運用には共通化できる部分は数多くあります。そうした部分をプラットフォーム化していきます。中でもNTTデータグループでは、データ解析や集計、認証・課金などの「システム基盤」、機器の保守やコールセンターなどの「運用」、末端のほうの無線や各種デバイスなど「センサーネットワーク」、そうした全体に乗る「アプリケーション/サービス」といった各レイヤーについて、回線事業者とも連携しながらお手伝いしたいと考えています。
そのプラットフォームには、気象・地震・電力・人感センサー・販売在庫など、多くの情報が集まってきます。セキュリティに配慮しながら、個別に収集された複数の情報を相関させることで、新たなサービス、付加価値づけができないかとも考えています。例えば、電気やガス・水道などの使用状況をもとに高齢者の健康状態を遠隔で把握するという、エネルギーインフラと福祉のコラボレーション。また緊急地震速報を受けて調理器具や冷暖房器具の動作を停止させるという、家電デバイスと防災の連携。そのような、異業種の複数のデータから新たな付加価値を見いだすサービスが、これから登場してくるのではないかと想定しています。

【図】

図:M2Mプラットフォームサービスの提供

【図】

図:データの高度活用による新たな社会サービスの創出

「電気自動車充電スタンドインフラシステム」の提供

「スマートコミュニティ」においてキーデバイスの1つとなるのが電気自動車です。その充電スタンドのインフラ構築にもNTTデータグループは取り組んでいます。各充電ネットワーク事業者向けに、認証や充電スタンドの故障検知といったインフラからヘルプデスクなどのサポートまで、商用サービスとしてすでに提供しています。
今後、充電スタンドはコンビニや自治体施設、駐車場などさまざまな場所に設置されていくでしょう。しかし、多くの充電ネットワーク事業者が参入した場合、それぞれの認証方式が異なるなどエンドユーザにとって利便性に欠ける仕組みになりかねません。そこで私たちは、共通のプラットフォームとして利用できるインフラシステムを提供し、ある部分では共通化・効率化を図りながら、その他の部分で事業者が独自性を出していくビジネスモデルの実現を目指します。電気自動車の利便性を高めて普及促進を図るだけでなく、他のさまざまな自動車関連サービスとの連携も可能になるものと期待しています。

【図】

図:電気自動車充電スタンドインフラシステムの提供

以上、いくつかの取り組みをご紹介してきましたが、こうしたビジネスはNTTデータグループだけでは実現できません。私たちの得意分野であるIT技術、オールNTTの通信技術、それ以外のさまざまな業種の企業のノウハウを連携させる必要があります。他社との連携を積極的に進め、お互いにWin-Winでビジネスを大きくしながら、付加価値の高い「スマートコミュニティ」を実現していきたいと思っています。

4.持続可能な未来社会の実現に向けて

「スマートコミュニティ」に向けたさまざまなビジネスに挑戦していく中で、NTTデータグループは何を目指しているのでしょうか。それは、「あらゆるモノがネットワークに接続できるようになることで、ビジネスに地球的視野でのイノベーションをもたらすとともに、社会全体の最適化による新たな成長を促す」という事です。具体的には、次の3つを目指しています。

グローバル展開における顧客満足度の向上

1つ目は、「グローバル展開における顧客満足度の向上」です。先進国はこれまで何十年もかけて多種多様なインフラを整備し、経済的・社会的に発展してきました。今、同じような道のりを新興国がたどろうとしています。その際、先進国は自らがしてきた失敗や試行錯誤の上に立つ成功のノウハウを、きちんと伝えていく責任があるのではないでしょうか。私たちは、ITを活用することで、より失敗が少なく、より効率的に世界が発展していくためのサポートを、グローバル市場において提供したいと考えています。

【図】

図:グローバル展開における顧客満足の向上

未来社会を見据えた新規ビジネスの創出

今ある産業界の構造は、「スマートコミュニティ」の実現によって大きく変化するでしょう。例えば自動車メーカーは自動車を売るだけではなく、カーシェアリングを提供するとともに、ナビゲーションサービスから、駐車場・電気自動車充電スタンドの案内や近隣店舗の紹介まで、自動車にかかわるトータルなサービスや付加価値を提供する会社になるのではないでしょうか。異業種連携によるデータ活用の高度化によって、サービスも高度化するでしょう。NTTデータグループでは、ITの力で「製品の売り切り」から「サービス提供」へのビジネスモデルの転換をサポートするなど、「未来社会を見据えた新規ビジネスの創出」を目指しています。

【図】

図:未来社会を見据えた新規ビジネスの創出

地球的視野での環境負荷低減

グローバルな事業活動においては、クラウドコンピューティングやグリーンデータセンタの活用により、「地球的視野での環境負荷低減」を図ることが可能となります。寒冷地の外気空調などによるデータセンタの省エネ化、テレワークやテレビ会議・リモートメンテナンスを活用した人の移動の削減、電子化によるモノの移動の削減など、ITの力で地球環境にやさしい付加価値の創造が可能になるのではないかと思っています。

私たちが考える「スマートコミュニティ」というのは、社会を形成する「個」がネットワークによってシステムにつながる新たな社会情報インフラです。NTTデータグループは、クラウドサービスやM2Mプラットフォームサービスなど「スマートコミュニティ」を支えるインフラを構築することで、持続可能な社会に向けた取り組みを推進し、ITの活用による新規ビジネスの創出や、地球的視野での環境負荷低減に貢献していきたいと考えています。
そうした取り組みに一層注力するため、NTTデータでは、スマートコミュニティや次世代社会インフラに関するビジネスの戦略策定・企画推進を行う「スマートビジネス推進室」を2011年2月に設置。今後は同推進室を司令塔として、NTTデータグループが考える新しいスマート関連ビジネスを強力に推進していきます。

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