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2012年3月30日技術ブログ

[第11回]進化するビジネス・インテリジェンス&ビジネス・アナリティクス(前編)~グローバル展開とビッグデータ活用~

グローバル競争が激化する中、業務データの「見える化」を通じて、お客様自身の事業変革を支援する「グローバルBI」について、NTTデータの浦野大が解説します。

1.企業の海外進出が加速、「グローバルBI」導入が急務に

昨今の円高の影響や国内市場の閉塞感を受け、生産拠点の海外移転や海外市場への販路拡大等、多くの企業がグローバル競争を勝ち抜くための対応をしています。しかしながら、海外拠点の拡大やM&Aといった事業のグローバル化のスピードに対し、情報システム(IT)側の整備や統合が追いついておらず、世界中で起きている需要変動や在庫をリアルタイムで把握できている企業は残念ながら多いとは言えません。各国の業務データの意味定義がバラバラであったり、収集する仕組みが無かったり等、経営やマネジメントレベルの意思決定に必要な情報が、適切なタイミングで収集できずにいるといった課題を抱えています。

このようなお客様の課題を解決し、正しい情報を必要な粒度で必要な時にグローバルレベルで提供するために期待されているのが「グローバルBI」です。世界中の業務システムに蓄積されている情報を収集・分析・加工し企業の経営意思決定に活用するBI(ビジネス・インテリジェンス)やBA(ビジネス・アナリティクス)は、既存の基幹系業務システムに手を加えるのではなく、格納されている情報を収集し横串で見えるように加工するものであるため、分散した基幹系業務システムを統合するのに比べ、情報の統合が比較的容易に行え、コストや時間をかけずに見える化の仕組みを導入できるのが特徴です。一般的に情報システム部門が管理可能な国内のBI導入に対して、グローバルBIは事業連結する海外法人を対象とするなど適用範囲を世界規模で捉え、世界各地に点在する情報を統一された軸で見える化し意思決定に活用するものです。業務の範囲、対象となるユーザ、データ範囲のいずれもがグローバル規模となるため、業務・ユーザ・データそれぞれの観点から、適切な管理を行う必要があります。

【図】

図:通常のBIとグローバルBIの違い

2.業務・ユーザ・データの管理が、グローバルBI成功の鍵

ビッグデータ分析に対して、実現手段としての各種ITツールは既に広く出揃っており、特定のBI/DWHや分析手法を導入すれば、競合他社に対して競争優位を発揮できるという事ではありません。各種経営管理指標の定義やITツールの利用に際して、全てをベンダー任せにするのではなく、企業自らが主体性となって導入・運用し、情報活用の仕方を工夫することで、他社との「違い」を明確に打ち出して取り組むことがグローバル市場で勝ち抜くためには不可欠といえます。
ここで、BIの導入目的について改めて考えてみましょう。事業課題の解決に向けて、必要なデータの「見える化」を行い、日々の業務で活用していくことが、BIの基本的な導入目的ですが、その前提として、そもそも何が事業課題(=導入目的)なのかを明確にしておく必要があります。その上で、解決すべき課題について具体的に何をどう変えていくのかといった明確な基本構想に基づいた業務改善策の実現手段としてBI/DWH等の見える化ツールを導入する必要があります。さらに、業務改善の情報基盤となる、グローバルマスタや業務データの標準化といった「データ・マネジメント」の実施、情報を活用する側の意識改革を促す「チェンジ・マネジメント」なども合わせて実施する必要があります。NTTデータグループでは、グローバル規模の導入実績をもとに、基本構想(業務)の策定、データ・マネジメント、チェンジ・マネジメントが重要であると考え、それら3つの観点からアプローチすることで、これまで数多くのグローバルBI導入プロジェクトを成功に導いています。

【図】

図:BI導入から活用へ

【図】

図:BI導入の目的

【図】

図:情報活用を実現するための3つのアプローチ

3.情報活用に向けて、重要となる3つのアプローチ

グローバルBIの導入に際して重要となる、基本構想(業務)の策定、データ・マネジメント、チェンジ・マネジメントという3つのアプローチについて解説しましょう。

業務のあるべき姿と実現可能な直近目標の策定

私たちがグローバルBI導入プロジェクトを手がけている企業の中でも、導入目的が不明確のままBIツールの導入が進んでいる場合が見受けられます。重要なのは、業務のあるべき姿を関係者と合意形成し、実現可能な直近目標を設定して確実に成功を積み重ねていくことです。例えば、経営情報を「見える化」したいといった漠然とした要望に対して、それがサプライチェーンの改善なのか、会計データや顧客データの可視化なのか不明瞭だったとします。ここで当面の目標が販売の事業計画の到達であれば、販売や在庫情報の「見える化」をまず最優先とし、生産や購入計画の見直しは次の段階、顧客情報の分析はさらに次の段階というように優先順位をつけて取り組み、情報の活用度を徐々に高めていくことが、グローバルBI導入を成功へと導く近道といえます。

【図】

図:基本構想の重要性(目標設定)

BIの本質は、"正しいデータ"のマネジメント

次に、データ・マネジメントの重要性についてお話します。これは従来から言われていることですが、BIが定着しない大きな要因として、データの精度や粒度、鮮度といったデータを提供する土台がしっかりしていないことが挙げられます。例えば、データの意味や数値が正しくない、更新頻度が遅い、業務で活用できる形式に加工されていないといった状況では、数値データに対する利用ユーザからの信用は得られず、日々の業務で活用されることはありません。データの精度や粒度、鮮度を保つこと、それらを維持する管理運用体制やプロセスを確立することが不可欠であり、BIの本質は"正しいデータ"のマネジメントにあります。

【図】

図:データ・マネジメントの重要性

情報を主体的に"使おう"というマインドの醸成

「チェンジ・マネジメント」は、導入したBIツールを実際に利用するユーザがどのように有効活用していくかの施策となります。情報活用が上手く行かない要因としては、提供されたデータをどのように使ってよいか分からない、使わなくても業務に支障がない、経営にコミットメントしていないといったことが挙げられます。BIツール導入に際しては、構想策定から要件定義、開発と工程が進むにつれ、利用ユーザとの接点が少なくなります。そこで、ブロジェクト計画の承認から業務標準化ミッション、新業務の説明会の実施というように、経営・ミドル・実務の各層の関連を考慮した施策を初期段階から着実に実施していくことで、ユーザ自身が情報を主体的に"使おう"というマインドの醸成が可能になります。

【図】

図:チェンジ・マネジメントの具体例

4.グローバル規模での見える化と新しい競争優位性の獲得

NTTデータでは、北米や欧州、アジアに開発拠点などを有しており、グローバルBI導入で数多くのプロジェクト実績があります。一例として、北米や欧州など世界5カ国に拠点を持つ大手日系企業様に対して、生産・販売・在庫の可視化レポートやグローバル需給調整に関する業務体制を整備について支援いたしました。製品・顧客コードに共通属性を設定し、標準インタフェースに基づく、グローバル横串での見える化を実現しています。販売・在庫管理のワンオペレーションにより、グローバルPSIの最適化や重要顧客への優先供給、在庫適正化が可能となっています。その他、多くの実績に基づく豊富なノウハウを元に、主に日系グローバル製造業様向けのグローバルBI導入に取り組んでいます。NTTデータグループではOne NTT Data として世界各国のグループ会社で横断的に「BI Global One Team 」を立上げ、グローバルBIと次世代BI/BAをビジネスの両輪としてBIサービスの高度化と提供体制の確立に取り組んでいます。今回は「グローバルBIとは何か」について解説しましたが、後編となる次回は、ビッグデータの活用など、グローバルBIのテクノロジーについて紹介します。

【図】

図:NTTデータのグローバルBI主要実績

【図】

図:「BI GLOBAL ONE TEAM」で目指す次世代BI/BA

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