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2013年2月15日技術ブログ

[第14回]AMO(アプリケーション・マネジメント・アウトソーシング)の可能性

開発ベンダーでなければ運用・保守を手がけられない...。そんな従来の常識に対し、先進技術を駆使して、ブラックボックス化したシステム環境を改善し、オフショア体制のもとコスト低減や業務の効率化を実現、ビジネスに革新をもたらす「アプリケーション運用のアウトソーシング(AMO)」サービスについて、NTTデータの加藤 雅樹が解説します。

1.アプリケーション運用をアウトソーシングするという発想

近年、ビジネスを取り巻く環境はより多様化かつ高速化しています。これに伴い、ビジネスの遂行に不可欠なシステム(特にアプリケーション)も、複雑になるとともに、環境変化への迅速な対応を求められるようになってきました。その結果、アプリケーションの運用・保守には、従来以上に多大なコストと高度な技術・ノウハウが必要となっています。

この傾向は、これまで企業の競争優位性や他社との差別化を支えてきたカスタム・アプリケーションの分野ではより顕著であり、運用・保守業務は開発ベンダーが担当するのが一般的であり、コストをなかなか削減できずにいるのが現状です。

多くの企業が抱えるアプリケーション運用に関する課題として、「開発ベンダー任せでシステム保守にコストがかかり過ぎている」「ノウハウや技術が引き継がれず、作業者がいない」「ベンダーがIT改善に消極的」といった声が聞かれます。これらを整理すると「運用コストの高止まり」「自社要員のリソース不足」「ビジネスニーズ対応スピードの限界」「ITのブラックボックス化、ノウハウ属人化」「ベンダーによる改善提案不足」に集約できます。

【図】

図:アプリケーション運用で想定される課題

こうしたアプリケーションの運用・保守に関する課題を解決するのが、ITアウトソーシングの活用です。アウトソーシングビジネスには、企業が自社の業務処理やIT関連業務を外部委託する「BPO(Business Process Outsourcing)」や「ITO(Information Technology Outsourcing)」があります。これらはすでに多くの企業が導入し、コスト削減や業務効率化に役立てています。さらに、アプリケーションの運用・保守についても外部のリソースを有効活用しようというのが、「AMO(Application Management Outsourcing)」です。

AMOを活用することで、例えば「運用コストの高止まり」という課題に対しては、企業が長年培ってきたワークフローを見直し、無駄なプロセスやスピード低下につながっているフローがないか精査するなどして業務を効率化、運用コストの削減を図ります。「自社要員のリソース不足」の課題を抱える企業に対しては、そもそも情報システム部門が稼働過多となっている傾向があることから、任せられる部分は外部ベンダーのマネジメントサービスを活用することで、本来業務に専念できる環境を創出します。AMOサービスの活用で得られたコスト削減効果を次のIT投資に役立てることで、企業の競争優位性の確保に貢献します。

2.カスタマイズ化されたアプリケーションの運用・保守を可能に

ここで、NTTデータのAMOサービス「TISAFYS」を例に、アプリケーションの運用・保守のアウトソーシングがどのように実現するのか、説明しましょう。

従来、特に企業の基幹系アプリケーションの場合、スクラッチ開発やアドオンの追加といった業務に特化したカスタマイズが行われているのが一般的です。機能追加を重ね、いわばブラックボックス化されているために、構築を手がけたベンダーでなければ運用・保守は不可能とされてきました。しかし、例えばあるベンダーで構築したシステムを運用・保守する場合も、システム構築を手がけたチームと運用・保守を手がけるチームは必ずしも同一とは限りません。スムーズな体制移管の方法論が整備されていれば、他ベンダーが独自開発したカスタム・アプリケーションであっても、運用・保守を引き継ぐことが可能となります。

【図】

図:AMOサービスを可能にする新たなアプローチ

「TISAFYS」の場合、対象となるアプリケーションの現状調査を徹底して行う「コンサルティングサービス」に始まり、運用・保守を引き継ぐための「トランジションサービス」や、実際に運用・保守を手がける「アプリケーション運用サービス」、さらなる機能強化を実現する「アプリケーション保守・開発サービス」まで、一貫したサービス提供により、コスト削減や業務効率化につながるAMOサービスを実現します。こうしたAMOサービスを提供するためには、豊富な実績や知見に基づく方法論と、アプリケーションの可視化や処理の自動化などを実現するツール、そしてグローバル規模での人材確保が不可欠となります。

【図】

図:「TISAFYS」のサービス構成

3.ブラックボックス化されたアプリケーションを可視化

ここで、アプリケーションの運用・保守のアウトソーシングを実現する、「TISAFYS」の方法論について説明しましょう。

まず、現行体制による保守運用からの切り替えフェーズでは、NTTデータが持つ豊富なノウハウを集大成し、実行プロセスや収集すべき情報を網羅した「TISAFYS メソドロジトランジション編」を基に、運用業務・体制の最適化も含めた切替作業が行われます。ブラックボックス化しているアプリケーションに対しては、先進技術を駆使した分析サービスを通じて可視化や改善を図るなど、短期間で確実な引継作業を実施します。

次に、実際のAMOサービスの提供段階においては、NTTデータの保守運用標準モデルに準拠した「TISAFYS メソドロジサービス提供編」を基に、高品質なAMOサービスを提供します。運用・保守の対応状況を漏れなく記録するインシデント管理ツールや、運用・保守の対応状況を可視化するレポートツールの適用で、PDCA改善サイクルが組み込まれ、属人性を排除した高品質な運用・保守作業が実現します。

このように、TISAFYSでは、既存アプリケーション資産の徹底した見える化や、運用プロセスの最適化、運用体制の移行を最短3カ月で実施。より柔軟で高品質なAMOサービスを提供しつつ、20%~50%の運用・保守コストの削減が実現します。

【図】

図:TISAFYSを支える方法論とツール

アプリケーションの運用・保守のアウトソーシングを実現するためには、まずはブラックボックス化した業務アプリケーションを可視化しなくてはなりません。その上で、ボトルネックなどの問題箇所があれば見つけ出して改善を図ることも、業務の効率化やコスト削減には不可欠といえます。

TISAFYSの場合、業務アプリケーションそのものやソースコード・設計書などのドキュメント、インシデント情報といった手元に残された情報を基に、アプリケーションを可視化していきます。まず、業務アプリケーションの「ソースコード分析」により、アプリケーションの構造を分析。規模や複雑度を解析して運用・保守の実現可能性を明らかにするとともに、未使用プログラムがあれば、運用・保守の対象外とすることで無駄な手間を省きます。さらに「ドキュメント分析」を通じて、設計書やインシデント情報の最新状況を調査するとともに、先進技術に基づく「リバースエンジニアリング」を実施することで、アプリケーションを可視化した設計書を作成したり、その構造をグラフィカルに表示したりすることで、ブラックボックス化を解消していきます。

【図】

図:現行アプリケーションを可視化する仕組み

4.オフショア環境をフル活用して低コストでの運用・保守が実現

これまで述べてきたように、NTTデータが提供するAMOサービス「TISAFYS」は、豊富な実績やノウハウに裏付けられた方法論、ブラックボックス化したアプリケーションを可視化する仕組み、属人性を排して高品質な運用・保守作業を可能にする運用ツールの適用などを通じて、効果的なAMOサービスを提供します。さらには、NTTデータがこれまでオフショア開発などで培ったグローバル規模での人材をフル活用し、低コストなAMOサービスを実現しています。例えばこうしたオフショア環境を活用して、SAPのアドオン開発などに特化したAMOサービスも提供しています。

【図】

図:オフショア運用拠点を活用したサービス提供スキーム

ここで、NTTデータが提供するAMOサービス「TISAFYS」の適用事例について見ていきましょう。

まず、複数ベンダーのアプリケーションを利用して業務システムを運用している某メーカA社様に対して、複数ベンダーからの運用を巻き取り、一元化を図ることで、より戦略的な部署に要員をシフトできる環境を整えました。運用コストの削減のみならず運用品質の改善も実現しています。

次に、既存システムのアプリケーションの仕様がブラックボックス化していて、IT投資が適切に行われているかどうか判断できずにいる某メーカB社様に対して、アプリケーションの可視化を行うことで、IT投資判断力の向上や保守運用コストの25%削減が実現しました。

また、ビジネス部門からのIT開発要求に即応できていないという某金融機関様に対して、オフショア活用による大規模な開発体制を構築、従来に比べて年間の機能追加の150%増を実現しています。

【図】

図:NTTデータが提供するAMOサービスの適用事例

このようにアプリケーションの運用・保守をアウトソーシングすることで、浮いたコストを次のIT投資につなげたり、人的リソースをより有効に活用したりといったことが可能となります。AMOは、アプリケーション運用で想定される課題を解決し、ITによるビジネスへの貢献を最大化する可能性を持ったサービスといえるでしょう。

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