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2014年5月1日技術ブログ

IT投資効果を向上させるGQM+Strategies

欧米企業と日本企業のIT投資効果の違いが言われていますが、その違いの一つは目的を正確に捉えて取り組むゴール指向にあります。近年、欧米企業ではゴール指向のマネジメントにGQM+Strategiesという手法を活用しています。

残念なシステムを生み出さない"ゴール指向"

日本のシステム構築品質は、欧米企業と比べても高いレベルに達しつつあります。しかしながら、多額な投資をしたシステムが経営や業務の役に立たない「残念なシステム」になってしまうこともあります。原因の一つとして、ゴールを明確にせずにIT投資やIT化プロジェクトを開始してしまうパターンが考えられます。IT部門を含むあらゆる組織が、それぞれ"自分自身"のゴールを明確にして、IT化とIT化の前提となる戦略に取り組むことで「残念なシステム」の防止に繋がります。具体的には、各組織がゴールを明確にし、上位組織のゴールと密接に関連しつつ、矛盾なく数珠つなぎにすることが重要です。最上位のゴールである「企業戦略」とIT化のゴールがリンクすれば、IT化の関係者が理解・納得して取り組むことができます。

このようなゴール指向のITマネジメントに役立つのがGQM+Strategies参考1、2という手法です。GQM+Strategiesは、近年、グローバルに事業展開をしているドイツの企業や公益団体を中心に、戦略の実行計画策定や各組織の戦略の整合性確保、定量データによる組織マネジメント等のさまざまな用途で活用されています。

GQM+Strategiesグリッド

GQM+Strategiesでは、企業のゴール・戦略と、構成する組織のゴール・戦略との整合性を確かめるための手順を提供しています。この手順を用いると、どのような立場の人であっても、ゴールと戦略の結びつきを企業の組織構造に合わせてツリー状に可視化することができます。手順の特徴の一つは、根拠を明確にして物事を考える点です。根拠に関する情報を事実(Context)と仮定(Assumption)の観点で収集・整理し、その根拠をもとに意思決定することで、ゴールと戦略の妥当性を高めることができます。このようにして、上位のゴール達成に向けて、どの組織が、何をゴールとして、そのために何を、いつ実行するのかの道筋を可視化したモデルを「GQM+Strategiesグリッド」と呼びます。このGQM+Strategiesグリッドを業務部門とIT部門でコミュニケーションに利用することで、「ゴールやIT化の根拠が不明瞭なままプロジェクトが進む」ことを防げます。

また、GQM+Strategiesグリッドの他に、「GQM+Strategiesプロジェクト・アライメント・マトリックス」というツールも提供されています。このツールは「複数のIT化プロジェクトに取り組みたいものの、実施に使える予算は限られている。どのIT化プロジェクトを選択して着手したらよいか」といった状況での優先順位付けに効果を発揮します。

【図】

図:GQM+Strategiesグリッド

GQM+Strategiesの活用

つまり、GQM+Strategiesとは、経営層、業務部門、IT部門が三位一体になって、ITを上手に活用し、ビジネスを成功に導くための手法です。KPI(key performance indicator)を明らかにする切り札にもなり得ます。

参考文献

  • 参考1Goal-Question-Metric+Strategies。ドイツのフラウンホーファー研究機構の実験ソフトウエアエンジニアリング研究所(Institute for Experimental Software Engineering:IESE)が開発した手法です。日本においては、2007年10月から独立行政法人情報処理推進機構「ソフトウエア高信頼化センター」(IPA/SEC)がIESEと共同研究を行い、2013年4月から早稲田大学やITコーディネータ協会で適用研究、普及展開を実施しています。
  • 参考2これだけはマスター!情報戦略キーワード GQM+Strategiesとは(外部リンク)
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