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2014年9月25日技術ブログ

OSSによる共創関係(エコシステム)の進展

普段は競合関係にある企業がOSSを軸にタッグを組み共創関係を構築しています。なぜOSSはそのような力を持ち得るのか?またOSSの力の源泉を自社ビジネスに取り込むにはどうすれば良いのか紹介します。

集合知の力

これまでOSS(オープンソースソフトウエア)は商用製品の対抗軸として成長してきましたが、最近では商用ベンダーが、OSSの持つ俊敏性や先進性を取り込む動きが活発化しています参考1。なぜOSSはこのような力を持つ事ができるのでしょうか?それは、各企業がOSSコミュニティに貢献しつつ、互いの強みをうまく集結させた共創関係(エコシステム)を構築する事で、集合知を活用した開発が行われているからです。例えば大規模データ処理基盤のOSS「Hadoop」や、IaaSをプライベートで構築できるOSS「OpenStack」においては、業界の枠を超えた数百もの企業が手を組み、ユーザー企業も含む合意形成が図られた上で、数カ月ごとにバージョンアップを繰り返しています。特に「OpenStack」は、最新技術を取り込み、豊富な開発リソースを利用する事でAWS、VMwareに続く第3のプラットフォームとして進化しています参考2

【図】

OSS活用のメリット

それでは、OSS活用によって具体的には何が起こるのでしょうか?ユーザー部門にとっての一番の魅力は、選択の自由が広がり、どこでも誰でも動かせるITシステムを手に入れられる事です。オープンスタンダードなアーキテクチャーを採用する事で、脱ベンダーロックが図れ、クラウドへの移行や、複数プラットフォームの連携/統合、ITアウトソーシングなどが容易になります。あらかじめユーザー企業の意向が多く取り入れられたOSSを目利きして活用すれば、ユーザーにとって必要な機能をイチから開発する必要もありません。

また、開発部門にとっては、システム開発時の原価構造が変わる事も魅力の一つです。例えばRDBMSなどで商用製品を使う場合、それら原価はライセンス費用として外部に流出しますが、もし自社技術者を使ってPostgreSQLで構築/維持ができれば、ライセンス費用が人件費に換わります。つまり技術者の維持が可能になり、数年もたてばOSS有識者として育っていきます参考3

OSSに関する不安と対処

OSSは基本的に自己責任の世界であり、企業利用を前提とした情報システムで安心して使えるのか、自社の技術者で構築/運用ができるのか、不安の声が多く聞かれます。また、自身の要件がOSSで満たせるか、不足機能をどうするか、技術的な検証も必要です。そこで、あらかじめ高機能なOSSを組み合わせたソリューション参考4を利用したり、OSSの知見を持つ適切なパートナーを選定するなど、外部リソースを有効活用する事をお勧めします。以下にパートナー選定時に重要だと考える観点を挙げます。

  • [計画]:企業利用を前提とした実績あるOSSリファレンスモデルを持っているか。

    企業のITインフラを考える際に、HA構成やバックアップ、監視や障害対応、他システム連携など考えるべき要件は多くあります。企業利用で求められるITインフラの要件を把握し、適切なOSSを目利きしたリファレンスモデルや、パートナーによるエコシステムを持っているかが重要です参考5

  • [構築]:ノウハウ移転を受けられるか。

    導入を通じてパートナーからノウハウ移転を受けられ、結果的に自社の技術者が育ち、当事者意識が醸成されることも重要です。

  • [サポート]:サポートを長期間受けられるか。

    OSSコミュニティは活発でバージョンアップも頻繁ですが、企業のIT投資は年度単位や5年単位で計画されるのが普通です。初期導入した稼働バージョンで、長期間に渡りサポートを受けられることは重要です参考6

最後に

今後、オープン化の流れはOSSに留まらず、ネットワークや、ハードウエア、データセンタなど拡がりを見せ、しかも従来のようなITベンダー主導ではなくユーザー企業が中心となって、さらに拡大・発展していくと思われます。このような流れを踏まえて、まずは自社ビジネスが必要とするシステム要件を適切に把握し、OSSに代表されるオープンテクノロジーで満たせるかを確認、場合によっては外部リソースを活用していく。これにより、OSS等が持つ俊敏性や先進性、集合知を自社のビジネスに上手く取り組む事ができると考えています。

参考文献

  • 参考1例えばMicrosoftは、OSSを開発推進する子会社を設立し自社サービスへのOSS組み込みを展開しています。また、AppleはiOSの主要技術をオープン化し外部のOSS技術者を利用する事で自社ソフトの改善や維持コストの低減を図る戦略をとっています。
    最近、この動きが最も顕著にみられるのがSDNの世界です。NTTデータではOpenFlowを活用したSDNソリューションを展開中です。
  • 参考2NTTデータでもOpenStackやHadoopに取り組んでおり、多くの導入事例があります。
  • 参考3例えばPostgreSQLコミッターは日本に3名しか在席しませんが、そのうちの1名がNTTデータに所属しています。NTTデータでは「GresCube」という企業利用を前提としたPostgreSQLソリューションを展開しています。
  • 参考4NTTデータでは、OpenStack/NovaをベースにOSSを組み合わせた、フルOSSのIaaS基盤を提供しています。
  • 参考5例えば、OpenStack/Swiftでは、NTTデータの大規模システム開発経験から生まれたクラウドストレージの参照モデルを提供しています。また、統合運用管理ツールHinemosでは、アプライアンス、SAPやAWS連携など多数のパートナーによるソリューションやサービスなどが提供されています。
  • 参考6NTTデータでは、インドのOSSセンタや、NTTグループのOSS技術者を結集したOSSセンタと連携し、稼働バージョンを継続してサポートしていく体制を持っています。

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