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2014年12月15日技術ブログ

[第33回]ゲーミフィケーション活用による「学び」の実践~「教授」から体験型の「学び」へ~

ゲーミフィケーションというフレーズを元に、短絡的に教育にゲームを取り入れたとしても、受講者の「注意をひく」だけでは不十分であり、その有用性は望めない。本稿では、インストラクショナルデザインの観点から、効果的な「学び」の形を考える。

1.ゲーミフィケーションは、動機づけモデル

数年前より、「ゲーミフィケーション」という言葉を目にする機会が増えてきた。通勤電車の中では、男女を問わずスマートフォンのゲームに熱中している光景をよく見かけるが、このゲームのもたらす「熱中する」仕組みを、ゲーム以外の他分野(オペレーション業務、マーケティング、教育等)に応用した取り組みが「ゲーミフィケーション」である。「ゲーミフィケーション」の主な特徴として、「シンプルなルール(目標)」「ランキング(競争)」「バッジ(報酬)」等があるが、どれもがプレーヤーの動機づけを高めるための手段である。すなわち、「ゲーミフィケーション」とは、動機づけを高めることを目的としている。

2.受講者の動機づけを高めるARCSモデル

動機づけといえば、インストラクショナルデザインの手法の中にも受講者の動機づけを高めるための「ARCSモデル」がある。これは、米国の教育工学者であるJohn M. Kellerにより提唱されたもので、学習意欲を高める手立てを4つの側面により定義している。4つの側面には、「Attention(注意:面白そうだ)」「Relevance(関連性:やりがいがありそうだ)」「Confidence(自信:やればできそうだ)」「Satisfaction(満足:やってよかった)」があり、これらを満たすことで、魅力的な内容として受講者の学習意欲を高めることができる。

ARCSモデルの「A」の側面は、受講者の注意を引くことであるが、教育にゲームを取り入れて、「あー、楽しかった♪」だけで終了しては意味がない。受講者の業務と教育内容の関連性「R」を明確にして、教育を通じて受講者に自信「C」をつけさせることで、受講者の満足度「S」を得ることができる。

また、研修受講後の修了アンケートは、終了直後に回答することが多いが、アンケートは終了直後だけではなく、一定期間(半年~1年)を経た後にも再回答することが望ましい。研修受講後、実務にどれだけ役立てることができたのか、「A」だけではなく「R」や「C」の有効性も評価することで、本来の満足度「S」も含めて測定することができる。

図1:ARCSモデル(4つの要因)

図2:キット類

3.ゲーミフィケーション活用による学びの実践

さて、当社では、「ゲーミフィケーション」を活用したワークショップ形式の研修サービスを提供している(前述のARCSモデルも考慮に入れて作成したもので、ITSM、PM、BCM等の各分野のコースあり)。ゲームを通じて「失敗」と「成功」を体験することがコンセプトであるが、これは「教授」というより、体験型の「学び」に近い。特に、自らの失敗から得る気づきは、教科書に書いてあること以上に有用である。なお、本ワークショップでは、講師は知識を伝える役目(教授)だけではなく、ファシリテーターとして振る舞い、場面ごとの必要性に応じて「学び」の場を促進(ファシリテート)している。

今後も、「学び」の形を検証し、受講者からのフィードバックも組み込みながら、これらの研修サービスを展開していく予定である。

参考文献

  • 学習意欲をデザインする(ARCSモデルによるインストラクショナルデザイン)

    John M. Keller著 鈴木 克明監訳, 北大路書房, 2010, P47

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