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2015年4月8日技術ブログ

[第36回]ITシステムの利用時の価値を向上させる「サービスのためのCMMI」

ITシステムは開発して納品したら終わりではない。利用を開始してからが本番であり、利用時に顧客が受け取るITサービスの品質を向上させることが、顧客の満足と、継続的なビジネスのチャンスを生み出す。サービスの改善に着目したモデル「サービスのためのCMMI参考1」について紹介する。

1.ITは所有から利用へ、とよく言われるのはなぜ?

ITサービス普及状況を10-20年前と比較してみると、すでにほとんどの主要業務はIT化されており、既存の業務システムを改良もしくは更改しながら使い続けることが主流となっている。業務のITへの依存度が高まるにつれて、ITベンダーの顧客が実際に買っているのは物理的なITシステムではなく、ITシステムが利用時に提供する価値、つまりサービスであるという認識も強まっている。そこでサービスの改善が着目されるようになる。

2.ITサービスの改善の真価とは?

ITサービスの改善というと、決められたことを確実に実施し、その作業効率を高めるという、保守運用業務をイメージするかもしれないが、それはほんの一部である。

システム利用中には顧客からさまざまな要望が寄せられる。要望に迅速に応えつつ、既存のシステムが時代の変化について行けるように修正し、次の更改時には顧客の要望を先取りしたシステムを提案することが望まれる。

ITサービスの改善とは顧客視点に立った非常にクリエイティブな仕事なのである。

3.目下急上昇「サービスのためのCMMI」

ITサービスの改善で参考にされる知識体系としてはITILが有名であるが、ここ3年ほどの傾向として、カーネギーメロン大学が開発した「サービスのためのCMMI」(以下CMMI-SVC)の適用実績が伸びており、注目されている。

CMMI-SVCはすでにシステム開発ではデファクトスタンダードになっている「開発のためのCMMI」(以下CMMI-DEV)と共通のフレームワークで作成されている。サービスを提供する組織に対して5段階の成熟度レベルを定義している。レベルに順番に取り組むことによって、改善の道筋が立てやすくなる。CMMI-SVCをCMMI-DEVとともに使うことで、開発からサービス、サービスから開発の大きな改善サイクルが描けるようになる。

4.「サービスのためのCMMI」の普及状況と課題

2014年のCMMIの年間レベル達成件数をみると全体(1626件)の約1割をCMMI-SVCが占めており、前年比で約20%増加している。

NTTデータグループにおいても、インドのNTT DATA Global Delivery Servicesと、ヨーロッパ、南米を中心としたeverisがCMMI-SVCのレベルを達成している参考2。BPO、AMOサービスのビジネスが伸びており当該分野の改善に活用されている。

日本のNTTデータは、まだレベル達成実績はない。CMMI-SVCに公式日本語訳がないという事情もあるが、本当の理由は、我々がまだ、ITサービスの価値、およびそれを最適化していくことの意義をお客様に十分訴求できていないということではないだろうか。

開発だけでなく、サービスにもっと目を向ける意識改革が必要で、当社では現在ITサービスマネジメントに携わる専門家コミュニティの活性化に取り組んでいる。今後のITサービスの改善に弾みをつけたい。

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