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2015年11月19日技術ブログ

拡がる宇宙ビジネス

NTT DATA Technology Foresight の策定にあたり、NTTデータでは専門チームが継続的に技術調査を実施しています。今回は最近の調査結果から、特に宇宙関連ビジネスの拡大に焦点を当ててお届けします。

宇宙関連ビジネスは拡大傾向

宇宙関連ビジネスには、衛星やロケットの製造に代表される「宇宙機器産業」と、衛星通信やGPSなどに代表される「宇宙利用産業」があります。2015年1月に策定された「宇宙基本計画」参考1では、「宇宙機器産業」を今後10年で5兆円規模に拡大させる目標を掲げており、人工衛星/探査機の打ち上げ加速や、民間企業の宇宙関連ビジネス参入を支援する法案の制定などが計画されています。日本以外でも、アメリカ、ヨーロッパ、ロシアなどの宇宙関連予算は増加傾向にあり、宇宙関連ビジネス市場は世界的に拡大していく見込みです。

宇宙関連ビジネスの種類

宇宙関連ビジネスとして具体的にどのような種類があるのか、簡単に分類しました。(図1)

【図】

図1:宇宙関連ビジネスの分類例

輸送/観光

「宇宙旅客機」のビジネスが始まろうとしています参考2。無重力を体験して地球を眺める観光の他、現在の飛行機よりも高速で移動する手段として使われることも想定されます。海外では、打ち上げや着陸のための大掛かりな設備についても徐々に整備が進められています。

通信

人工衛星を通じて通信を行うビジネスは現在の宇宙関連ビジネスの大半を占めており、特に気象や測位の情報通信は実生活に浸透している状況です。今後、準天頂衛星参考3の配備に伴い測位精度が更に向上するため、ビジネス活用の幅が広まります。例えば、準天頂衛星測位と自動運転技術を組み合わせ、誤差数センチメートルの精度で自動的に農耕作業を実施する自律走行トラクター参考4が登場しています。また、GoogleやFacebookでは気球や人工衛星を通じて全世界でインターネットアクセスを可能にしようという動き参考5も始めています。

宇宙機器

衛星やロケットの製造において、小型軽量化・低コスト化のダウンサイジングが進んでいます。巨大な衛星を長期間運用するのが従来の発想でしたが、近年では単純・短命な小型低コストの衛星を多数打ち上げる選択肢が出て来ています。1辺が30cm以下の超小型衛星参考6も登場しました。

調査

地球外の資源探査や未知領域の調査などを目的とした調査ビジネスでは、厳しい環境条件に耐えながら機械だけで調査活動を実施できる必要があり、センシングや画像分析やロボット技術などの先端テクノロジーが使われています。近年では、オープンイノベーションプロジェクト「HAKUTO」の月面探査ローバー参考7が有名です。自動運転やエネルギーや人工知能などの技術革新と共に今後大きく進化していく分野と考えられます。

生活支援

宇宙服や宇宙食、惑星移住など、宇宙での生活を支えるビジネスもあります。環境に合わせた機能素材の開発・加工といった材料分野が中心になります。例えば最近はNASAが宇宙ステーションの外壁用に「壊れても瞬時に自己再生する素材」を開発していました。こうした素材は宇宙関連だけでなく地球での日常生活を便利にできる物が多数登場しており、多方面でのビジネス応用が期待できます。レトルト食品の包装、低反発まくらなど、既に我々の身の回りにあるさまざまな商品にも宇宙向けに開発された技術が使われています。

スペースデブリの除去

上記分野の他、スペースデブリの除去がホットな話題になってきています。スペースデブリは地球のまわりを飛び回る宇宙ゴミの総称ですが、宇宙では地表に比べて物体が極めて速い速度で移動しているため、10センチ以下の小さなゴミでも人工衛星などに衝突すれば大きな被害を及ぼします。宇宙開発の大きな障害になることが懸念されており、除去のための技術開発や除去自体のビジネス化が進んでいます。除去の技術はさまざまで、例えば以下のような方法が考えられています。

  • デブリにレーザーを照射し、発生するプラズマの斥力で減速・墜落させる参考8
  • 小型衛星がデブリを捕獲して大気圏に突入することで燃やす参考9
  • 金属製のひも付着させ、ローレンツ力で少しずつ軌道を変えて墜落させる参考10

既に飛び回っているデブリを除去するアプローチの他、人工衛星などが新たなデブリにならないよう、運用終了後に自動的に落下させるような仕組みも検討されています。

その他

少し変わった物としては、精神を安定させるプログラムやバーチャルリアリティで宇宙飛行士の視点を楽しむなどの事例も登場してきています。宇宙関連ビジネスにはさまざまな可能性、そして夢と希望が拡がっています。

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