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2015年12月24日技術ブログ

アナリティクスの進化

情報活用は仮説検証、発見、業務変革などの段階を経てプロアクティブな活用がなされるステージへと到達しつつあります。その中でも最近では、高度な分析手法を活用した情報活用を意味する「アナリティクス」とその進化に注目が集まっています。

アナリティクスとは

情報活用は主に3領域からなります。

  • 「見える化」といった集計分析による確定情報の可視化を指すビジネス・インテリジェンス
  • 高度な分析を駆使して事態を推定、推計しようとするビジネス・アナリティクス
  • KPI管理のようなモニタリング分析を指すパフォーマンスマネジメント

従来はその全体を指して広義のビジネス・インテリジェンスと言われていましたが、最近では本来高度分析を指すワードであったアナリティクスが情報活用全体を指すワードとして使われるようになってきています。

アナリティクスを取り巻く動向

アナリティクスがどのような形で進化を遂げようとしているのか、以下の3つの視点で考えてみたいと思います。

  1. 1.業務の視点
  2. 2.分析技術の視点
  3. 3.市場環境の視点

1.業務の視点

ビジネスプロセスを大まかに「現状把握」「課題抽出」「施策実行(意思決定)」「モニタリング(効果検証)」と分けて捉えてみます。その中で従来、アナリティクスへの期待は、「課題抽出」プロセスにおいて大量のデータの中に隠れた原因・ルールなどを発見することに重点が置かれていました。これはもちろんビジネスにおいて非常に重要な機能なのですが、業務を変革するためにはもう一、二段階の検討を経る必要がありました。最近では、「ユーザーの行動に即したレコメンド機能を組み込む」「交通量予測・制御にシミュレーション機能を組み込む」といった使い方など、「施策実行(意思決定)」プロセスでのアナリティクス適用が増えてきており、発見から意思決定へと、適用領域が拡大してきています。

2.分析技術の視点

分析技術の進化は、対象となるデータと深いかかわりがあります。従来アナリティクスが適用できたのは「量的集約データ」でした。「量的」とは、行列の形で構造化されている、という意味です。また「集約」とはサンプリングもしくはサマライズされていることを指します。可能な計算量に圧倒的な制約がある中で、どれだけ有意な結果を導けるか?という命題の中で、「統計解析」「多変量解析」「線形モデル」といった分析技術が適用されていました。

その後、計算機の発展に伴い計算可能量が増加し、「量的個別データ」や「質的データ」が分析の対象となりました。「個別」とは、全量、明細データという意味です。また「質的」とは、テキスト、画像、映像など、構造化されていないことを指します。この環境になり、「データマイニング」「機械学習」「非線形モデル」「テキストマイニング」といった分析技術が使われるようになりました。これらの技術は分析基盤の処理能力拡大に伴って現在でも更に発展し、「大規模化」が進もうとしています。

そして近年、「複雑な関係注1」や「教師なしデータ注2」といった、解くべき命題との関係性が必ずしも明確でないようなものにまで分析対象データが拡大してきています。その中では大規模計算が必須になるため「並列処理」「集団学習」といった技術が現れました。更に「強化学習」や「人工知能」など、分析の「自動化」を推し進める技術が脚光を浴びています。

3.市場環境の視点

市場環境に目を向けると、従来は自社のために集めたデータを自社のために活用するものであり、集めたデータとそれを分析する技術、機能は競合他社との差異化要素である、という考え方が主流でした。現在でもそれは否定できるものではないと思いますが、市場のビッグデータ活用が進む中、集めたデータや知見をサービスとして提供する事業者が登場してきています。

例えばデジタルマーケティングの領域ではDSP事業者が広告配信業務を代行していますが、こういた事業者では、集めた大量の顧客行動を分析することで顧客理解を深め、精緻なターゲティングサービスを行うようになってきています。これは従来差異化要素であったはずの企業のマーケティング技術・ノウハウが、「外部の専門家から調達した方が効率的である」、というパラダイムシフトを示しています。似たような動きはIoTというキーワードで語られるような製造業界でも起きており、データ・機能・技術を核に、サービス領域を拡大していく動きは、更に広まることが想定されます。

まとめ

アナリティクスの進化のポイントをまとめると、図のようになります。業務については「発見」から「意思決定(業務への組込み)」へ、分析技術は「大規模化」と「自動化」へと進化してきています。市場環境では、ヒト・モノなどさまざまな足跡がデジタル化、蓄積されていくことで、それを活用するサービサーが登場してきています。企業としては、必ずしも「自前で作る」必要がなくなり「取り揃えて活用する」ことが選択肢に入ったことで、自社に十分なデータ・技術・機能がなかったとしてもアナリティクスに取り組み、サービス価値を向上させられる可能性が出てきたと考えられます。

【図】

図:アナリティクスの進化のポイント

NTTデータでは、情報活用の専門家、情報活用ソリューションを軸に、企業の情報活用による新たな価値創出をご支援しています。

参考文献

注釈

  • 注1複雑な関係

    相互に関係し合う複数の要因で全体が構成されているが、全体の挙動を制する構造が明らかでないようなものを指す。
    例:神経細胞、経済、社会、蟻の巣

  • 注2教師なしデータ

    分析モデルの規範となる情報(教師)がないデータのこと。逆に学習すべきものが決まっているものを教師ありデータと呼ぶ。

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