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2016.1.7技術ブログ

実用化段階に入り、現実への染み出しも注目されるVR

NTT DATA Technology Foresightの策定を毎年支援し、先端IT活用推進コンソーシアム(AITC)で最新技術を調査研究している著者から、実用化段階に入りつつあるVRの現状と今後の可能性についてお届けします。

改めて、VRとは

VRは"Virtual Reality"の略語で、3DCG(三次元コンピューターグラフィックス)や立体音響、さらにはウエアラブル等の入力デバイス等から構成された人工の空間を、あたかも実際の空間であるかのように知覚させる技術の総称参考1です。日本語では、「人工現実」「仮想現実」と訳されます。

急成長が期待されるVR市場

VR技術そのものは1960年代から存在していましたが、近年のコンピューティングパワーの劇的な進化に伴い、VRデバイスや3D関連ソフトウエアがコンシューマーでも入手しやすい価格となってきたことから、ここ数年でさまざまな関連ビジネスが立ち上がり、市場が急激に活性化しています。VR市場の規模については、ドイツ銀行は2020年までに70億ドル(約8,400億円)参考2、市場調査会社TrendForce社は2016年に67億ドル(約8,040億円)、2020年には700億ドル(約8兆4,000億円)参考3に達すると、それぞれ予測を公表しています。

VRを構成する技術

図1は、VRを取り巻く技術の分類および具体例です。

【図】

図1:VRの全体像

1.情報提示(フィードバック)

VR技術の中で一番注目される領域です。その中でも、近年のVR関連ビジネスの火付け役といえるがヘッドマウントディスプレイ(HMD)で、とりわけ従来の製品と比べて画期的な低価格で登場したOculus Rift参考4が代表例となります。このようなHMDやプロジェクションマッピングを用いたシミュレーションは、製造業で用いられている参考5他、座席が動いたり、風、水しぶき、香り、煙等が体験できたりするといった、次世代劇場上映システム参考6も数年前から稼働しています。

2.情報入力(センシング)

Oculus Riftと並んで現在のVRを牽引するのが、マイクロソフト社のモーションセンシングデバイスKinect参考7です。Kinectは当初はビデオゲーム用に開発・販売されましたが、その後SDKが登場し、エンターテインメント用途以外の領域でも広く使われつつあります参考8。今後は、ウエアラブルデバイスを用いたモーションセンシングが実用化されていくと予測されます。

3.情報処理(モデリング)

元々、エンジニアが製品、建造物等を設計する際に用いていた3次元CAD(3DCAD)ですが、3DCADデータの変換や規格共通化等による流通の円滑化、対応ソフトウエアの価格低下により、最近では一般の利用者向けのVRシミュレーションにも活用されるようになっています参考9。一方、リアルな3DCGが用いられるビデオゲームの開発エンジンを無料で利用可能なUnityの普及もあり、エンターテインメント以外の産業にも転用されつつあります参考10

物理空間への染み出し~MRとAR

VRとセットで語られることが多い概念が、MR(Mixed Reality:複合現実〔感〕)やAR(Augmented Reality:拡張現実〔感〕)です。これらについて、図2で「物理空間(Physical)との関係性」といった観点から違いを整理しました。

【図】

図2:VR/MR/ARの関係

MR、ARと行くにつれ、Virtualすなわち人工・仮想空間から、Physicalすなわち物理空間に、より染み出していくといったイメージですが、用いる要素技術は先述した3つの分類から構成される「人間の感覚を操作するテクノロジー」であることは共通しています。MRは近年テーマパーク等でプロジェクションマッピングが活用されつつある等、少しずつ身近なものになりつつあります。ARについては徹底活用すると『アイアンマン』、さらには『ハリー・ポッター』のような世界も理論的には構築できるのですが、そこまでに行き着くにはまだ時間がかかりそうです。

その他

VRの活用が期待される領域として、現時点ではビデオゲームや映画を初めとするコンテンツ・エンターテインメント産業、そして高度なシミュレーションが求められる製造業の2つが取り上げられることが多いです。しかし、MRやARまで視野を広げると、一般的なオフィス空間でも画期的なサービスが生み出される余地があり、さらなるビジネスチャンス創出に留まらず、私たちの日常生活、ひいては人生の質を高めてくれるポテンシャルを秘めているといえるでしょう。

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