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2016年1月14日技術ブログ

材料設計を支える分子シミュレーション技術

製品設計開発の現場では、より高性能・高機能な材料を適用するために、分子シミュレーション技術の積極的な活用が進んでいます。

概要

地球温暖化問題を踏まえ、産業界ではより環境負荷の少ない製品設計開発が求められています。機能性材料の適用は環境負荷低減に有効な手法の一つですが、複数の材料(物質)から構成される機能性材料の高度な設計には、ナノスケール~ミクロスケールの現象を極めて詳細に分析し、設計に反映させる必要があります。分子シミュレーションはこれら分子レベルでの現象を数値シミュレーションによって解析するための技術であり、「京」コンピューターをはじめとするHPC大規模計算環境参考1の普及との相乗効果もあり、産業界での活用が進んでいます。

分子シミュレーションの必要性

高分子材料の物性発生メカニズムを分析するためには、分子の物性や分子間の相互作用を厳密に表現する必要があります。その空間スケールは?(10-10 m)~μm(10-6 m)にわたるため、単一の物理モデルのみでは現象を正確に表現することは難しく、空間スケール毎に異なる複数の物理モデルを解く必要があります。ここで必要になってくるのが分子シミュレーションです。

株式会社JSOLでは、オープンソースの材料設計プラットフォームソフトウェア「OCTA」をベースに開発した統合GUI環境と解析エンジン"J-OCTA"参考2を販売しており、分子シミュレーションの分野で広く活用いただいています。

【図】

図:J-OCTA概要および事例

分子シミュレーションを用いたものつくり

温室効果ガス排出削減の観点から、自動車をはじめとする輸送機器はより一層の低燃費化が求められており、自動車用タイヤの設計開発においては自動車車両走行抵抗の20%を占めるといわれるタイヤの転がり抵抗の削減が課題となっています。輸送機器用ゴムタイヤは、主にポリマー、シリカ、硫黄、カップリング材等で構成される複合材料であり、ナノスケールにおけるこれらの物質間の相互作用が、ミクロ~マクロスケールにおける挙動に大きく影響します。

住友ゴム工業株式会社様では新材料の開発技術に分子シミュレーションを活用されており参考3、4、5、株式会社JSOL開発の解析エンジンJ-OCTA VSOPを「京」コンピューター上でご利用いただいています。この技術を適用したコンセプトタイヤモデルが2015年の第44回東京モーターショー参考6にて参考出品され、注目を集めました。またこの成果はシミュレーション技術を利用した新しいものつくりとして、我が国のスパコン高度利用観点からも高く評価されており参考7、科学技術計算の将来に大きく寄与しています。

今後について

環境負荷低減はあらゆる設計開発において極めて重要なテーマであり、より高度な設計開発の為に数値シミュレーションはなくてはならない技術です。マクロスケールの挙動を支配するナノ~ミクロの分子挙動を解析する数値シミュレーション技術は今後さらなる適用拡大が見込まれます。

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