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「ニューロAI」がマーケティングを変える

巨大なニューロンネットワークである人の脳──。

その機能・特性を研究する脳科学の進歩によって、人は技術と道具(ツール)を用いながら環境の変化に適応し、進化を遂げてきたことが解き明かされました。

そして人は今、脳科学、AI(人工知能)、IoT/センサーなどの融合によって、環境変化への察知能力を飛躍的に高めるとともに、AIに脳の記憶機能・注意機能・認知機能を取り込み、さまざまなツールの身体化、あるいは身体機能の拡張を図ろうとしています。

【 近未来の展望と可能性 】多分野での世界が期待される脳科学とAIの融合

脳科学とAIの融合は、これまでにもさまざまな成果を上げてきました。

例えば、脳の学習機能を手本にしたAIの開発は、トッププロ棋士に勝利した「AlphaGo(アルファ碁)」の高度な学習アルゴリズムを生み出しました。また、人の言語処理に近い自然言語処理技術によって、膨大な言語データを分類・分析したり、音声認識によって自動応答を行ったりするサービスが登場しています。

さらに最近では、脳の処理を再現して視覚認知や記憶・情動の変化をシミュレートするコンピュータビジョンの開発が進められ、“場の空気を読む”ロボットが出現しようとしています。一方で、高速・省電力の脳型コンピュータ「ニューロモーフィックチップ」の開発も進められており、将来的には家電やIoTデバイスに搭載されると予想されます。

そんな脳科学とAIの融合の中でも、特に実用化の歩を早めているのが「ニューロAI」です。これは、脳活動・人間情報と現実世界の商品・サービスの統合的な解析にAIを応用したものです。その実用化が進んでいる背景には、人の身体活動・行動にひもづく脳活動のデータをセンシングする技術と、画像・動画・言語などの特徴を定量化・抽出するAI技術の発達があります。

このニューロAIは、マーケティングをはじめ、さまざまな分野への応用が見込めます。

例えば、自動車の価値の一つである「運転操作の楽しさ」といった抽象的要素を脳科学の観点から可視化・指標化・分析し、定量評価を実現するとともに、自動車の設計に反映させるといった応用が考えられます。これが実現されれば、運転者が意識できなかったことを知らせたり、制御にフィードバックしたりすることが可能になり、安全性向上にも役立つことでしょう。


脳科学とAIの融合が実現する世界

【 NTTデータグループの取り組み 】ヒューマンデータ統合型ソリューションの開発を目指して

NTTデータグループでは、ニューロAIを利用したさまざまな取り組みに着手しています。その中で、昨年より提供しているのが、動画広告の解析や評価を行うNTTデータのマーケティング支援サービス「NeuroAI® D-Planner」です。



TV CMなどの動画広告は、製作費・媒体費に莫大な投資が必要であるにもかかわらず定量的な評価が困難という課題がありましたが、このサービスにより科学的にクリエイティブを評価し、改善につなげることが可能になります。

NeuroAI® D-Plannerには、情報通信研究機構 脳情報通信融合研究センター(NICT CiNet)が開発した「自然動画視聴中の脳活動から、人が何を見ているのか」を解読する基盤技術が応用されています。この技術は、動画視聴者の脳の活動パターンをfMRI(機能的磁気共鳴画像診断装置)によって計測した結果を機械学習によって、無数の単語の辞書空間内での座標を推定する仕組みで実現しています。広告クリエイティブへの反応を評価するという難易度の高い課題を、脳活動情報を介した定量化によって実現することで、これまで踏み込めなかった広告質についての効果最大化に役立てることができます。

また、NeuroAI® D-Plannerのクイックサービスでは、fMRIを使用せず、これまで撮りためたデータから、独自の脳活動予測モデル(エンコードモデル)を活用、企画・絵コンテの段階で広告への脳反応を予測し、短期間での最適案の選定と、企画の最適化を支援することにチャレンジしています。

こうしたNeuroAI® D-PlannerのTVCM調査への活用だけでなく、さらなる応用事例の一つとして、2億点以上のデジタルコンテンツを世界100カ国以上に提供するゲッティイメージズの主催イベントで行われた「ニューロAI審査によるフォト評価」が挙げられます。このケースでは、作品を見た被験者の脳活動から得られた情報を基に、ゲッティイメージズの「未来に語り継ぎたい」というイベントメッセージに合致する写真を選定しています。

目指すはヒューマンデータ統合型ソリューションの開発

ニューロAIのように脳科学をビジネスに取り入れるには、人の情報(ヒューマンデータ)を取得・活用することによる「価値」のグランドデザインを描くことが最初のステップになります。そしてゴールを設定し、そこから戻るという横断的視点で研究開発を進めることが、望ましい姿と言えます。

NTTデータグループでは、ニューロAIの技術をさらに発展させて「ヒューマンデータ統合型ソリューション」の開発を目指しています(図2)。ニューロAIを活用することにより、意識したり言葉にしたりすることが難しい脳の情報を引き出し、AIと組み合わせることでマーケティングを変革する──。それが私たちの志向する未来の一つです。


ヒューマンデータ統合型ソリューションの概念

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