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2016年10月12日INSIGHT

泥んこ祭り! 開催レポート

インターネット回線を利用すれば、 どんなに離れた場所にいても一緒に遊べます。 東京大手町の「3×3Lab Future(さんさんラボ フューチャー)」と 宮崎県小林市の田んぼをつないだ、泥遊びのイベントを開催しました。

地方と都会をITでつなぐ
泥んこ遊びコミュニケーション

宮崎と東京が、ITでつながる

ITで地方と東京をどう結びつけるのか───。

昨年から、NTTデータと三菱地所が推進するエコッツェリア協会(一般社団法人大丸有環境共生型まちづくり推進協会)は、宮崎県西諸県郡(小林市、えびの市、高原町)と連携し、空間共有をテーマに、アイデアソンやハッカソンなどに一緒に取り組んできました。

2016年3月24日には、その1回目となった「宮崎と東京をつなぐハッカソン」の実証実験でアイデアコンペ審査を実施。その最優秀賞に輝いた案を実現したのが、8月21日に催した「ITでつながる!宮崎の子どもたちと泥んこ祭り」です。

宮崎県小林市の田んぼと東京・大手町の特設プール、2つの会場をネットを使ってリアルタイム中継でつなぎ、お互いに交流しながら、それぞれが同時に泥んこ遊びを楽しみます。東京の泥んこ会場には小学校1~3年の児童らが集まり、遠くの場所とつながれるITの力と泥遊びの楽しさを体感しました。

この日は、前半の小林市の紹介やITの解説をする座学、後半の泥を使った体験イベントの2本立て。座学のスペースと、泥遊びのための特設プール両方に中継用のカメラ・マイクが設置され、東京と宮崎県小林市の様子を4元中継する映像も映しだされました。

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上の2つは宮崎県の中継映像。下の2つが東京会場。

冒頭の小林市の紹介では、37年間、地理の教師を勤め上げ、現在は3つの法人顧問などをやりながら、「地理バッ地理」塾(※1)を主宰している澤内隆先生が登場。「小林市、バッ地理―!」の掛け声とともに小林市の場所や地理的特性などを分かりやすく解説しました。

その後は、本イベントの仕掛け人であるNTTデータ・イノベーション推進部部長の吉田淳一が、ドラえもんの“ひみつ道具”「どこでもドア」などを例に挙げながら、ITが拓く新しい関係性の可能性と未来について話しました。

「小林市、バッ地理—!」と呼びかける澤内隆先生。

「小林市、バッ地理—!」と呼びかける澤内隆先生。

小林市で農家民泊を推進する「北きりしま田舎物語」のメンバーに、東京にいる子どもたちが小林市で採れる野菜の種類を質問する場面も。野菜はお米を含めてスーパーに並んでいるものは一通り採れるし、牛もおいしいとの回答に、子どもたちも田舎の凄さを実感している様子でした。

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「泥んこ遊び」は遊びの原点だ

後半は、子どもたちが分かりやすく遊びやすいように、ゲーム仕立ての体験イベントを用意しました。

最初のゲームは「じゃんけんフェイスペインティング」。東京の泥んこ会場と小林市の田んぼにいる子どもたちがじゃんけんをして、負けたチームが泥で顔に絵を描きます。

2番目は「がちゃがちゃ玉でペアリング」。泥んこの中に隠れたガチャ玉を探しだし、中に入った宛名入りのメッセージや質問を使って小林市・東京間でコミュニケーションします。

最後は「泥文字かき対決」。お題に出た文字をひとつずつ泥玉で描いて並べ替え、キーワードを当てるゲームです。

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室内から泥んこ会場に移った子どもたちは、ゲームを始める前から軽く興奮気味。とはいえ、いかにも田んぼから持ってきたような黒々とした泥を、おそるおそる遠巻きに見ています。

1番目のじゃんけんゲームでは、3チームに分かれた東京の子どもたちが連敗し、顔に泥でヒゲやハートマークを描かれることに。最初は泥を嫌がっていた子どもたちでしたが、手が泥まみれになり、服が汚れるに従って泥に馴染んでいき、どんどん楽しさが増していく様子でした。

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次のゲームでは、待ちかねたように一斉にプールに突撃、真っ黒な手と顔で泥の中を一心にガチャ玉を探します。

「ぎゃー」「気持ちワルイ!」「でも気持ちいい!」。次々に上がる歓声は、すっかり小林市の子どもたちと変わらないものになっていきました。泥んこ遊びに地方も東京もありません。遊びの原点ともいうべき泥遊びで、子どもたちの心もひとつになったかのようです。

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最後は「泥文字」。東京と小林の子どもたちがどろを並べて文字を一斉につくりました。つくった文字は「どろんこのなつやすみ」。まさに文字通り体も顔も泥だらけになった子どもたちの夏休みの思い出になりました。

※1「地理バッ地理」塾

元地理教師で現在は帝国書院地図普及アドバイザー、クラブツーリズムまち歩きUXデザイナー、港区観光協会総務企画委員を勤める澤内隆先生が主催する大学生や社会人向に地理を教えるイベントの名称。時には地理から派生し「観光」「まち歩き」「地域イベント」まで実施することも。

未来を育むプラットフォームとして
ITに期待がかかる

大切なのは「心がつながる」こと

東京の泥んこ会場と小林市の田んぼをつないだ中継では、若干音声のタイムラグが出たものの、モニターに映る自分自身の姿の面白さもあって、熱心にコミュニケーションを取る子どもたちの姿が見られました。

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(左)小林市まで出向き、田んぼで開催された泥んこバレーを楽しむ、東京メンバー。(右)東京会場の子どもたちは映像を通して、小林市にいる東京メンバーと言葉を交わした。

吉田は「小林市と東京を中継で結んで何が生まれるのか、これはひとつの実験」と話していましたが、遠隔地をITでつなぐ試みに対して、宮崎県側からも大きな期待が寄せられているようです。

イベントの最後には、小林市の肥後市長や、えびの市の村岡市長とともに、宮崎県の河野俊嗣知事も登場し、「東京と宮崎が、こんなふうにつながって話せるなんてすばらしい」とコメント。

先日閉会したリオオリンピックのメダリストや関係者に宮崎県出身者が多いことから「みなさんも宮崎県の牛やお米を食べて、オリンピックを目指してください」と子どもたちに呼びかけました。

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東京と地方の新しい関係へ

吉田は「(小林市の)田んぼに通信設備を持ち出すのに苦労があった。もう少し通信環境を整えられれば、やりとりもスムーズになったのでは」と振り返りつつ、「ノウハウは蓄積できている。子どもたちの笑顔はやっぱり最高、ぜひまた開催したい」と、ITで地方と東京をつなぐ活動をさらに加速させていきたい考えです。

教育、地方創生、観光業、農業等々、さまざまな課題にまたがるプラットフォームとして、ITが果たすべき役割はますます大きくなることでしょう。

文/土屋季之、神田主税

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