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2017年3月2日技術ブログ

NTT DATA Technology Foresight 2017シリーズ~Vol.3技術トレンド「人工頭脳の浸透」

NTTデータが導出した2017年の情報社会や技術のトレンドを全10回で紹介。第3回目は技術トレンド「人工頭脳の浸透」です。

深層学習の普及

生物の脳神経細胞を模倣したディープラーニング(深層学習)と呼ばれる技術の活用が広がりを見せています。医療分野では診断や創薬に、金融分野では株取引や与信判断に、小売分野ではマーケティングや接客等、既に多くのビジネスシーンで活用されています。

深層学習は、従来のAI技術に比べて高い精度が期待できるだけでなく、学習に必要となる特徴抽出の自動化が可能となり、専門家以外でも扱えるようになってきたことが普及の要因と言えます。また、TensorFlowやDSSTNE、Chainerといった深層学習を実行するためのフレームワークやクラウド環境が整備されてきたことにより、深層学習に取り組む敷居が下がってきていることも普及の要因でしょう。画像認識に限定した用途では、プログラミングなしにマウス操作だけで深層学習を行い予測まで実行できるウェブサービスも登場しています(※1)。

このように深層学習のコモディティ化が進んでいくと、現在AIによる効果を実感しているサービスも、数年後には当たり前の存在となり、AIと意識しなくなっているかもしれません。このように、AIはあらゆる領域に自然な形で浸透していくと考えられます。

  1. ※1 Labellio
    https://www.labell.io/ja/(外部リンク)

さらなるAI技術の進化

画像認識や音声認識を中心に急速な発展を続けるAIは、さらなる進化を遂げようとしています。一つには、意味理解の実現に向けた進展です。

画像に写っている内容をテキストで説明するだけでなく、近年は、テキストから画像を生成する研究も活発に行われており、テキストの”意味”に近い画像を生成できるようになってきています。言葉と画像間の双方向の変換が可能になるということは、意味理解の実現に近づいていると言えるでしょう。

もう一つは、学習に大量の教師データが必要となる問題に対する進展です。人間は明示的に正解を与えられなくても起きている出来事から自然と学ぶことや、1度教えられただけで物体を判別することが可能です。この能力の実現に向けて、次に取るべき行動や、あるべき状態を経験から自律的に学習する強化学習に深層学習を組み合わせた深層強化学習と呼ばれる技術が注目されています。

この技術は、機械学習に必要な教師データを事前に与える必要がなく、目標とする行動や状態を設定するだけで、自ら試行錯誤を繰り返して学習します。2016年にプロ棋士に勝利し世の中を驚かせた囲碁AIの「AlphaGo」や、データセンタ内の冷却設備設定の最適化等に既に活用され始めています。

強化学習が適用できないタスクにおいては、少ない教師データでの学習を実現しようとする取り組みが活発化しています。データを限定した画像分類のタスクでは、未学習のカテゴリの画像を1枚学習させるだけで、大量のデータを学習させた場合とほぼ同等の精度で分類できるようになってきています。

AIがこの1度見ただけで識別できる汎用的な能力を手に入れる日も遠くないでしょう。実現されれば、世の中のモノや出来事を劇的なスピードで学習可能となり、AI活用は飛躍的に拡大することが予想されます。

図1:進化するAI技術

図1:進化するAI技術

AIの今後

深層学習が実現している高い精度は、計算機の処理能力の向上により、非常に複雑な演算が可能になったことが一つの要因です。一方で、答えに到るまでの過程も複雑となり、出力理由を人に説明することが難しくなってきています。

人間も象の画像を見たとき、象と認識できますが、論理的に理由を考えながら判断はしていないでしょう。しかし、象と判断した理由を聞かれたら、鼻が長くて耳が大きい等、後から理由付けすることはできます。このように後から説明付けする、もしくはAIならば内部に保持された処理結果を解析することで、判断に到った過程を正確に説明可能になるかもしれません。

出力結果の根拠を説明できるようにするためのプロジェクトも立ち上がっており(※2)、今後、AIが判断理由を説明する力を手に入れることができれば、精度の改善は容易になり、自動運転等の人の命に関わるようなケースにも適用し易くなることが期待されます。

  1. ※2 Explainable Artificial Intelligence
    http://www.darpa.mil/program/explainable-artificial-intelligence(外部リンク)

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