NTT DATA

DATA INSIGHT

NTTデータの「知見」と「先見」を社会へ届けるメディア

絞り込み検索
キーワードで探す
カテゴリで探す
サービスで探す
業種で探す
トピックで探す
キーワードで探す
カテゴリで探す
サービスで探す
業種で探す
トピックで探す
background-image-careers
2017年4月14日技術ブログ

[第61回]"Connected Car"の増大とAutomotive Grade Linuxの活用

近年、ネットワークに繋がる車

1."Connected Car"の現状

技術の進化により、"Connected Car"の割合が増加しています。現在、販売されている車のうち、約30%は"Connected Car"が占めており、10年後には50%を超えると予想されています。

では、"Connected Car"とは何か、代表的なユースケースを以下に示します。

【図】
  • 「Telematics Service」(例:Intelligent Transport System(ITS)など)

    渋滞情報や安全運転支援などの情報を提供する。

  • 「Smartphone Link」(例:Android Auto/CarPlay/Miracastなど)

    ナビなどの車載機とスマートフォンを連携して、マップや音楽再生など、Infotainment(※1)を提供する。

  • 「ECU Information」

    センサーから情報を収集して、エンジンやブレーキ、バッテリーなどの状態を分析し、結果をドライバーに提供する。

    これらはコネクティビティ技術とも呼ばれ、クルマの走行支援、車両診断、渋滞緩和や交通管理、危険予知や交通事故削減、保険サービスなどのサービスに活用されており、今後も進化を続け、自動運転車(Autonomous Car)の実現に必要な要素となっています。

  1. ※1 参考1 Infotainment
    Infotainmentとは、「情報(Information)」と「エンターテインメント(Entertainment)」を提供するシステム。従来のナビ機能やオーディオ機能だけではなく、ネットワークなどで得られた情報を活用し、新しい機能をドライバーや搭乗者に提供します。

2."Connected Car"の普及とAutomotive Grade Linuxの活用

急速に普及する"Connected Car"ですが、現在の車載機開発では、ナビやマルチメディアなど、共通的な機能があるにも関わらず、各メーカーが独自に開発しているため、開発量やコストの増大、開発期間の長期化などの課題が出てきています。

これらの課題を解決するため、Linux Foundation(※2)が中心となり、自動車メーカーやソフトウェアベンダ、チップベンダなど91社(2017年3月現在)が参加し、共通のプラットフォームを構築するプロジェクト『Automotive Grade Linux(AGL)』(※3)が結成されました。

  1. ※2 参考2 Linux Foundation
    Linux Foundationは、オープンテクノロジの開発や商用展開を加速するエコシステム構築のための非営利のコンソーシアム
    https://www.linuxfoundation.org/(外部リンク)
  2. ※3 参考3 Automotive Grade Linux(AGL)
    Automotive Grade Linuxは、Linux Foundation協業プロジェクトで、コネクテッド カー向けフル オープン ソフトウエア スタックの開発導入を促進するオープンソース共同開発プロジェクトです。
    https://www.automotivelinux.org/(外部リンク)
【図】

AGLは、"Connected Car"向けフル オープン ソフトウエア スタックですが、ナビやマルチメディア、メーターの機能もパッケージされています。そのため多くの機能は、AGLから提供されるため、これらの開発にかかっていたコストが削減でき、開発期間の短縮も期待できます。また、独自機能の開発にリソースを注力することも可能となり、他社との差異化が図られ、魅力的な製品の開発に繋がります。

3.AGLを活用したNTTデータMMSEの取り組み

NTTデータMSEでは、AGLの初期バージョンから活動を開始し、コネクティビティ技術をAGLに実装することを目的とした研究開発を行っています。

第一弾として、スマートフォンやタブレットをWi-Fiで車載機に接続し、スマートフォンやタブレットに表示された画面を車載ディスプレイに転送する『Miracast(※4)』を実装しました。既に国内外の展示会でデモを実施し、高い評価を得ています。

  1. ※4 参考4 Miracast
    Wi-Fi Allianceによって策定された、1対1の無線通信によるディスプレイ伝送技術です。
【図】

また、実装の際に発生した課題と解決方法については、AGLのイベント内で講演し、参考情報として公開しています。この情報を元に、さまざまなベンダーがAGLアプリケーションを提供すれば、AGLの発展に繋がると考えています。さらに今後は、実装したソースコードをAGLに提供することにより、誰でもコネクティビティ技術を実装できるようにしたいと考えています。

現在、新たな取り組みとして、『SmartDeviceLink(SDL) (※5)』を実装中です。今後もAGLをベースにして、新しい技術の実装に挑戦していきます。

  1. ※5 参考5 SmartDeviceLink (SDL)
    Fordの車載機向けアプリケーション開発基盤「AppLink」をベースにした、スマートフォンと車載器を連携するためのオープンソースです。
お問い合わせ