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2018年2月6日技術ブログ

デジタルが加速する「個」の時代に求められる脳科学とAIの融合

脳科学の知見がAI(人工知能)の研究開発に活用され、AIを活用したデータサイエンティフィックなアプローチが脳科学研究を進化させている。この脳科学とAIの融合は、デジタルによって、ビジネスにおける「マス」から「個」への流れを加速している。

18世紀に起きた産業革命以来、同じものを同じように消費する、いわゆる大量生産大量消費型ビジネスが成長してきました。しかし、プロダクトアウト型のマスプロダクションは大量の売れ残りや廃棄物の増大という形で企業経営を圧迫する原因となり、また環境問題という形で大きな社会問題になりました。
そのような中、トレンドは消費者のニーズに合ったものを提供するマーケットイン型のモノづくり、サービス提供こそ重要であるという流れに変わってきました。とはいうものの、その実態はニーズを十把一絡げにしたマスマーケティングの発想であり、マスプロダクションから脱却できていたわけではありません。
しかし、今、AI、IoT、AR/VR、さらには3Dプリンターなど、デジタルによる「マスパーソナライゼーション」という動きが急加速し始め、デジタルは、マスをどのようにどこまでパーソナル、すなわち「個」に近づけるかを我々に問うています。
自分にフィットし、それゆえ快適感を与えてくれるオーダーメードは、かつて高級品でありお金持ちの象徴でしたが、今ではデジタルによって、安価に素早く個人にフィットし快適感を提供してくれるものの代名詞となりつつあります。まさに「デジタルオーダーメード」時代の到来です。

マスパーソナライゼーション時代の到来

それでは、「個」を知るためにはどうしたらいいのでしょうか。ヒトは一人ひとり生まれも生い立ちも異なります。遺伝的、文化的、社会的に同じ特性を持っている集団はいますが、その中でも一人ひとりは異なる経験、学習をしているのです。この遺伝的、文化的、社会的に同じ特性と、経験、学習など個人ごとに異なる特性に関する情報は、全て脳に蓄えられています。
そして、ニーズがどこから生まれるかといえば、間違いなく脳からです。脳が渇望しているのです。さらに、そのニーズが満たされる時に感じる満足感、快適感も脳が感じているのです。それゆえ、マーケティングという観点からは、消費者やお客様の「脳を知り、脳に聞き、脳を満足させる」ことがたいへん重要です。
それだけではありません。会社という組織において働いている社員がより高い能力を発揮し、社員によりよい仕事をしてもらうためにも、社員の「脳を知り、脳に聞き、脳を満足させる」ことは重要なのです。
脳科学、心理学の進歩により、ヒトの心に関するさまざまな知見が得られています。そして、これらの知見をビジネスで活用し、消費者、お客様、そして社員の「脳を知り、脳に聞き、脳を満足させる」ことが可能になってきています。
さらに、脳科学の知見や脳計測データを基に脳のモデル化を行ない、脳の機能を模倣したAIを活用してシミュレーションをすれば、脳の情報処理を予測することも可能です。例えば、昨年12月に行われたゲッティイメージズジャパン株式会社様との共同プロジェクト“ニューロ(脳科学)×AIプロジェクト”において、AIが選んだ「今年の1枚」は以下の写真でした。

ゲッティイメージズ「Year in Focus 2017」でAIが選んだ“今年の1枚”Chris McGrath / Getty Images

ゲッティイメージズ「Year in Focus 2017」でAIが選んだ“今年の1枚”
Chris McGrath / Getty Images

これは、人が写真を見た時に生じる脳活動パターンから、その写真に対し人がどのような印象を持つのかを、AIが予測し選出しました。ゲッティイメージズの写真集「Year in Focus 2017」に掲載された多くの写真の中から、「素晴らしい」、「やさしい」などのポジティブワードと、「苦しい」、「悲しい」などのネガティブワードの両方を強くイメージするとAIが予測した「イタリアの沖合で500人以上の難民を乗せた船が転覆し、漂着難民救護所の船に向かって泳いでいる様子」を撮影したこの写真を、最も見た人の印象に残る「今年の1枚」として選択したのです。
このように、脳科学とAIを融合することによって、外部から五感を通して脳に入ってくる情報に対する脳の反応をAIで推測することが可能になります。一人ひとり、「個」の脳をモデル化すれば、「個」が満足する、快に感じることを製品やサービス、そして仕事に取り込むことができるようになるのです。
脳科学とAIの融合は「個」の理解に必須のツールを提供し、市場において、そして組織においてマスパーソナライゼーションのイノベーションを引き起こす「鍵」となるでしょう。

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