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2018年8月8日技術ブログ

金融機関におけるデジタルマーケティング-カギはUXデザイン

金融機関でも取り組みが進むデジタルマーケティングだが、そのやり方に悩む声も多く聞かれる。そこで本稿では、先行する他業界の取り組みから、デジタルマーケティングにおけるUXデザインのアプローチについてご紹介する。

1 「外部データ活用」「UXデザイン」に注目

デジタルマーケティングとは、デジタルで得られるあらゆるデータ・チャネルを活用するマーケティングであり、金融機関でも既に取り組みが進んでいます。しかし、金融機関における従来のデジタルマーケティングは社内データのみの活用に留まるケースが多く、把握できる顧客ニーズも限られていました。一方、他業界に目を向けると、社外データも活用してのデジタルマーケティングが進められています。
とはいえ、データ活用のみで捉えることのできる顧客ニーズは限られています。いくら多くのデータをかき集めても、目の前の数字がすべてだと思ってしまい、例えばサイトの閲覧数=満足度と考えてしまうと、本来やるべき施策が見えなくなってしまいます。他業界では、顧客の潜在ニーズを引き出すにあたり、データ活用と並行して、UX(=ユーザーに満足してもらえる体験を提供すること)デザインのアプローチが採られています。(図1)

顧客の潜在ニーズを引き出すことが必要

図1:顧客の潜在ニーズを引き出すことが必要

2 デジタルマーケティングにおけるUXデザインとは

単純な顧客データだけではなく、顧客の感情・経験、嗜好、環境といった要素を踏まえて、この人はどういうときにどういう情報があると嬉しいのか?と考えるのがデジタルマーケティングにおけるUXデザインのアプローチです。例えば「家を持たない30代既婚女性」というデータだけを根拠に住宅ローンを紹介しても、それが本当に顧客の欲しい情報である可能性は低く、多くは無駄打ちになってしまいます。マイホームを持つことをぼんやりと考え始める時から、実際に様々な手続きを進め入居するまでの行動プロセスを精緻化することで、各フェーズにおける顧客の理想と現実のギャップを感情・行動から洗い出し、満足度の高い顧客体験とは何かを考えます。そのうえで、具体的なアプローチ方法を検討します(例えば、契約の際の煩雑な書類手続きを自動化する…、など)。この時、「住宅ローンを売る」という販売思考で取り組むのではなく、顧客の真の目的は何かを把握し、自らのビジョンに基づいた付加価値を提供するスタンスが必要です。顧客の目的は快適な住まいで生活を営むことであり、住宅ローンを契約することではありません。

3 UXデザインは対面営業にも不可欠な要素に

金融商品は「たまにしか購入しないが差別化要素が少なく複雑でわかりにくい」という消費財とは異なった特徴を持つため、そういったイメージを払拭する顧客体験が必要となります。これに対し、これまで多くの金融機関は、対面営業を軸としたアプローチで商品内容を説明し、強みをアピールしてきました。しかし、昨今顧客の情報収集チャネルがオンラインに移ったことにより、金融商品知識が豊富というだけで顧客を満足させることは難しくなっています。
デジタルマーケティングを通して顧客の潜在ニーズを非対面で察知し、適切なタイミングでアプローチすることが、対面営業における顧客満足度向上には欠かせません。一方で、優れた営業職員が把握している顧客の感情や実情をマーケティング活動に還元することも有効です。

4 成功のカギは地道な顧客体験改善の取り組み

デジタル化の進展により、他業種による金融サービスの提供が珍しくなくなった現在、データ量の面でもUXデザインの面でも優位に立つメガプレーヤー(Google、Amazon等)が金融機関にとっても大きな脅威となっていることは事実です。一方、金融商品は消費サイクルが長く、顧客との長期的関係を築きやすいという特徴があります。一つひとつの顧客体験を地道に改善していく取り組みを通して、メガプレーヤーにはない信頼関係を築くことが、長期的なビジネス成長のカギとなります。

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