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2019.10.7特集

「レジ無し店舗」を体験! ~「レジ無し」は想像以上に便利だった~

昼休み、今日の昼食はコンビニで手軽にしておこう、と思いながら店に入るも待ち構えているのはレジまでの長蛇の列。こんな経験ありますよね。ところが、もうレジに並ぶ必要はありません。QRコードをゲートにかざして入店した後は、手に取った商品をそのまま持ち帰るだけ。こんな夢のような話が実際に体験できると聞いて早速、仕組みと使い勝手などを確かめるため実験店舗へ。NTTデータが提供を開始した「デジタル店舗出店サービス」のある、東京・六本木のNTTデータのデザインスタジオ「AQUAIR」に向かった。(DATA INSIGHT編集部)

期待を胸に店舗へ突入

入退ゲート

オフィスビル内に突如現われる「AQUAIR」。この一角に目的の実験店舗がある。そこには、弁当類、お菓子、飲み物、雑貨などが棚に並ぶコンビニが出来上がっていた。まず目につくのが実験店舗の出入り口に置かれたゲート。駅の改札とほぼ同じ。堂々とした威厳に安心感があるもののなんだかゴツい。
まだ、実験段階なので今後の改良に期待しようと思うが、どうやればゲートが開くのかわからずそこで仁王立ち。すると後ろから「何かお困りですか?」と声がかかる。振り返るとそこにあったのは、大型サイネージ(電子看板)に映し出されたアバター(化身)の案内係。「どうすればコンビニに入れるの」と聞くと「決済手段を指定したQRコードをスマホに表示してゲートの認証画面に読み込ませてください」とのこと、図もつけてくれるので分かりやすかった。

アバターサイネージとオペレーター

リアルなAIが登場してきたなと感心していると、デジタルエクスペリエンス担当の主任 西郷拓海さんが現れ「ここにオペレーターがいて、カメラで顧客を見ながら声がけしています」とネタばらし。今回の実験の主役ではないが、オペレーターは在宅勤務できて働き方変革にもつながるし、一人のオペレーターが複数店舗を担当することも可能。切り替えれば外国語対応だって簡単なはず。これは多くの分野で使えると感心。

おにぎり1個も簡単ゲット!

QRコードとゲート入場模様

アバター案内係の目新しさもあって、入店前からすっかり気分が盛り上がった編集部員。まずは教えてもらった通りスマホアプリのQRコードをかざしてゲートを通過。この時、天井に取り付けられた複数のカメラが入店した人物の追跡を開始するとともに、読み込んだQRコードから決済手段をその人物と関連付けるとのこと。店舗は約30平方メートルと小さく、通常のオフィスに作っただけに天井が低く圧迫感ある。が、あくまで実験としての店舗なんだからこれは本質的な問題ではない。「ここでは天井に全体を見るドーム型を含め40台程度のカメラを設置しました。実店舗では同規模なら半数程度で大丈夫です」と西郷さん。カメラといっても良く見る監視カメラの形をしたものは数個だけ。ほかのカメラはただの黒い四角い箱に見えて威圧感はない。これなら監視されている雰囲気がかなり解消されるはず。

店舗天井(カメラ)

このほか重要な役割を果たすのが棚に付いている重量センサーだ。商品を取るとセンサーからの情報とカメラが連動し、誰がどの商品を取ったかを把握するそうだ。試しに複数の商品を手にした後、一つだけ元の棚に戻して実験店舗を出てみた。
西郷さんによると、店を出てからしばらくするとスマホ画面に電子レシートが表示されるとのこと。はたして自分が購入した商品と金額をちゃんと把握してくれているのか期待しながら数分待つとスマホ画面に動きが。持ち出した商品の画像と金額がきちんと表示されているのを見たときには思わず感動。

商品と決済画面

その後、商品を手にしたあと小脇に抱えてみたり、一気に2つ取ってみたり、いろいろとやってみたけど、それでもやはり店を出るときに持っていた商品をきちんと認識している。これには素直に感心した。
混んでいる時間帯に、おにぎり一つだけ購入するのに長時間レジ待ちするのは嫌になるし周囲の目も気になるが、これなら問題なし。何より買い物時間が早い。
西郷さんによると、店舗への導入のハードルはそれほど高くないらしい。カメラ、センサー、サーバー、入退ゲートとあとはNTTデータが提供するシステムだけ。一つひとつの技術はものすごく高度というわけではなくても、それを組み合わせて使うことで今までに無いサービスが実現できているのがすごい。街中だけじゃなく、オフィスのフロアとかちょっとした所にデジタル店舗が増えていけば、昼食を買うストレスも減って貴重な昼休みを有効に使えるはずと夢がふくらむ。きっと午後の作業効率も向上するはずだ。

買い物風景

課題解消し新市場を創出

日本フランチャイズチェーン協会によると全国のコンビニ店舗数は、8月末現在で55,724店舗と出店の勢いは衰えていない。店舗が増えることで生活の利便性は向上するが、経営する店舗側は、人手不足の深刻化による長時間労働やそれに伴うコスト増などが喫緊の課題となっている。

こうした状況下でNTTデータが始めたレジ決済なしで商品購入ができる「デジタル店舗出店サービス」は、店舗運営の課題解消に大きく寄与することは間違いない。消費者にとってもストレスなく商品購入ができ利便性はさらに高まる。双方にメリットがあるが、それだけではない可能性を秘めているサービスでもある。
これまでリアル店舗では、顧客が購入した結果でしか購買データを把握できないが、デジタル店舗なら顧客が手にするすべての商品がわかり、ネット店舗と同じデータ収集力をもつことが可能。つまり消費者のし好分析に役立つ。また、個人ごとに優遇キャンペーンなどができ集客アップへの多彩な展開も自在に行える。
活用するカメラ、サーバーなどの機材類は既存の製品を活用しており、今回はカメラ、重量センサーからのデータ取得を得意とする中国のクラウドピック社との業務提携でサービス提供を実現したという。同社との提携は、NTTデータが主催するオープンイノベーション活動「豊洲の港から®」がきっかけだった。
「世界各国のベンチャー技術を検証している中で、「豊洲の港から」に参加したクラウドピック社と出会い協業を決めた。彼らと組むことでスピード感をもって取り組むことができた」とサービスデザイン統括部の部長 風間昭男はいう。
今後は、実験店舗を通しオペレーションや動作確認を経て、本格的な出店支援へとつなげていく方針だ。まずは2022年までにコンビニをはじめとするさまざまな業態において1000店舗への導入が目標だという。通常店舗をレジ無し店舗に変えてしまうというよりは、両者の併用やオフィス内での新規出店などが中心になると思える。IT技術を高度に組み合わせて、新しい市場を創り出す。これからのITが担うべき役割の一端を、レジ無し店舗は見せてくれている。

インタビュー
新発想で拓く市場の先駆者に
~SDDX事業部 部長 風間昭男~

――デジタル店舗出店サービスは、NTTデータの事業イメージを変える展開に見えます。背景を教えてください。
「顧客ニーズを把握し最適なシステムを創り上げるSIerと異なるアプローチが今回のサービスの特徴といえるでしょう。個々に要件を定義してシステムを開発するのではなく、既存の技術を高度に組み合わせた仕組みを自ら企画し、個々の店舗に提供していきます。とはいえ導入先の条件は多様でしょうから、店舗の企画設計のコンサルティングから始め、収益増を実現するまでの全ての工程をお客さまと一緒に考えていきます。このようなビジネスクリエーターを目指すため昨年、SDDX事業部が設立され、そのミッションに沿って誕生したのが今回の事業なのです。」

――既存の技術活用は、他社も追随しやすく競争激化になるのでは?
「競合社が増えるのは想定内です。大事なのは他社よりも半年先を行くことで、私たちが常にトップランナーであり続けることだと考えています。実は今回の「レジ無し店舗」が生み出す価値というのは、消費者への新たな購買体験の提供だけではなく、小売業界においてこれまで実現出来ていなかった、リアル店舗における消費者の行動をデータ化して蓄積できる点にあります。デジタルの本質はデータの蓄積と活用にあり、その意味でも、他社より半年先を進み続けることが重要です。従来とは異なるアプローチと柔軟な発想で新たな市場を開拓することを目指します」

――今後も新たな取り組みを行う考えですね。
「今回は小売業者を主な対象にしていますが、同時に提供するデジタルサイネージや他の仕組みは拡張性が高く、多くの分野での活用が考えられます。まずはデジタル店舗出店サービスの普及に全力投球し、その過程で得られるデータを活用しながら他業界での新サービスを提案していく方針です」

風間昭男(かざま・あきお)

風間昭男(かざま・あきお)
ITサービス・ペイメント事業本部SDDX事業部
サービスデザイン統括部
デジタルエクスペリエンス担当部長 エクゼクティブコンサルタント

今回取材協力してくれた皆さん 左からITサービス・ペイメント事業本部SDDX事業部 風間昭男部長 伊藤愛理主任 西郷拓海主任

今回取材協力してくれた皆さん 左からITサービス・ペイメント事業本部SDDX事業部 部長 風間昭男、主任 伊藤愛理、主任 西郷拓海

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