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2020.1.20イベント & レポート

テクノロジーで読み解くSDGsへのアプローチ ~社会課題の解決に向け、私たちには何ができるのか~

~Innovation Conference 2020連動企画。登壇者への聞きどころインタビュー第6回~

国際社会の共通目標として2015年に国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)。日本政府をはじめ、多くの企業や団体が、それぞれの事業内容に照らし中長期の目標として掲げるなど、急速な浸透を見せている。
NTTデータグループでも2019年に策定した中期経営計画において、ESG経営を通じたSDGsの達成への貢献を明記。さらに同年発行したサステナビリティレポートでは、CSR重要課題に則した事業展開の在り方を公表している。NTTデータにおけるSDGsの第一人者である金田、RPAソリューション担当の中川、気象データを扱うハレックスの藤岡の3人が、自らの活動とNTTデータならではのSDGsへの貢献について語り合った。

――皆さんの現在のお仕事、プロフィールを教えてください。

金田 長年にわたって、ESG経営の推進、企業とNPOのパートナーシップに関わる業務に携わっています。エレクトロニクス、証券、製薬、航空業界の日系グローバル企業を経て、NTTデータには2018年8月からSDGsを推進するサステナビリティ担当として着任しました。政府セクターや市民社会セクター、また、メディア業界での勤務経験もあり、SDGsの経営統合という目下の課題にこれらの経験が役立っています。

中川 ロボットによる業務自動化を実現するRPAツール「WinActor」を中心としたソリューションビジネスを主に手がけています。営業を担当する中でNTT研究所発のOCR技術をパッケージソフト化して外販する新規ビジネスを立ち上げ、藤岡さんといっしょに活動していました。

OCRは紙に書かれた文字の入力を自動化するものですが、入力されたデータの編集や、基幹システム投入等の関連業務まで自動化したいと考え、RPAを提供するようになりました。

藤岡 現在はNTTデータグループの1社、民間気象情報会社ハレックスの代表をつとめています。ハレックスは社員40人のうち約半数が気象予報士という専門家集団で、気象、地震、海洋の情報を提供しています。

NTTデータでは医療分野の営業・開発に関わり、その後スタッフ部門、法人担当なども経験しました。パッケージビジネスの推進では中川さんとご一緒しました。

――NTTデータの事業と解決すべき社会課題にはどのような関わりがあるとお考えでしょうか?

金田 今回、中川さん、藤岡さんとご一緒するにあたり、あらためてSDGs、すなわち「誰一人取り残さない」を主要なテーマとした持続可能な社会を実現するための17ゴール/169ターゲットと、2社の事業活動を眺めてみたところ、17のゴールのすべてに貢献が可能であることがわかりました。

一部をご紹介しますと、NTTデータグループの事業活動は、「9:産業と技術革新の基盤をつくろう」「17:パートナーシップで目標を達成しよう」に幅広く関わっていますが、とくに中川さんが取り組むRPAについては、RPAを通じた新しい雇用創出などにより、「8:働きがいも 経済成長も」を中心に、「10:人や国の不平等をなくそう」「5:ジェンダー平等を実現しよう」など、多様な方々の社会参画に可能性を開いています。

また、ハレックスの場合は気象データを人々の生活に役立てるサービスを提供することで、「13:気候変動に具体的な対策を」はもちろんのこと、「11:住み続けられるまちづくりを」「2:飢餓をゼロに」「3:すべての人に健康と福祉を」などでインパクトを創ることができるでしょう。

SDGsは、社会課題を起点としたビジネスの創造を企業に求めています。日本では、まだ、現在のビジネスがSDGsにどのように貢献できるかというベクトルでの議論が多いのですが、国連での採択から5年目となる今年からは「社会課題を解決するために、どのようなビジネスでどれだけインパクトを創り出すのか」という点に注目が集まります。

藤岡 ハレックスはNTTデータグループでもあり、“IT×気象”のリーディングカンパニーをめざしています。

独自開発した気象システム「Halex Dream!」で特許を取得し、1kmメッシュ(1km四方の領域)ごとに天候、気温や降水量などのデータを提供でき、応用したソリューションを展開しています。2018年にはASPICアワードで総務大臣賞を受賞しました。

気象データが貢献できるわかりやすい分野は、災害です。災害時の住民避難指示や事前のハザードマップ作成、また台風、豪雨などの自然災害の予測、企業向けのBCP対策、公共交通機関では運行の可否判断での活用など多様な用途があります。

最近では労働安全対策で建設現場や屋外活動などでの熱中症対策にも役立てられています。

中川 WinActorは我々ベンダーではなく、お客様が主体となって活用されるプロダクトで、業務部門の方々が実際にRPAに触れ、業務を自動化できることが特徴です。動く様子がわかりやすいこともあり、ロボットを見た他部門や他社の方々が、次は自分も業務を自動化してみようと取り組んでくださるので、使われる範囲がどんどん広がっていきました。

たとえば、1日に5万枚も到着する請求書の処理を自動化できた事例があります。請求書は基幹システムの発注データと一致している必要があるため、毎日25人がかりで突合チェック作業を行っていましたが、OCRによる請求書のデータ化と、RPAによる突合チェック作業の自動化により、導入後は6人がイレギュラー処理に対応するだけで済むようになりました。加えて従業員の皆様も、辛い突合チェック作業から解放され、喜んでくださいました。より専門性の高い業務に注力していただくことができ、こういったことが皆さんの働きがいに繋がっていくと考えています。

労働力人口の減少や働き方改革への対応などを背景に個々のいっそうの生産性向上が求められていきます。これからはWordやExcelと同じように、一人一台RPAが入ったマシンを使いこなし、人力だけでは実現できない生産性を発揮するのが当たり前の時代になると思っています。

また、障がいをもつ方々や女性の社会参画についても取り組みを進めています。働く場所等の制約から解放され、遠隔でRPAのシナリオを高度に編集する技術者や、RPAの教育を極め、企業や社員のデジタル変革を支援するプロ研修講師といった、新しいスタイルの仕事の誕生により、人や国、ジェンダーにおける不平等をなくしていくことにも貢献できると思っています。

――ニーズを事業化する際、SDGsはどのような役割を果たすのでしょう?

藤岡 気象で言えば、先ほどの災害、労働安全衛生などはすでに顕在化しているニーズです。

一方で潜在的なニーズもあります。

ハレックスには過去の気象の予報・予測と実況(実績)データが1kmメッシュのデータとして7年間分蓄積されています。これを活用したいという要望が増えています。

たとえば、人の外出動向と気象の関係を分析できないか、マーチャンダイジングのデータと気象データの関係を明らかにできないかなどさまざまです。

こうした、潜在ニーズとそれを解決するためのエコシステムを考えていく時に、SDGsの枠組みを用いて考えを整理していくことはとても大切だと感じています。

――その一方で、ビジネスを通じてSDGsに関わる際、注意すべきポイントはありますか?

金田 SDGsを積極的に活用する企業は、市場メカニズムを使って収益をあげながらポジティブな社会インパクトを創ることをめざしますが、意図せず、ネガティブな社会インパクトを生み出してしまうこともあります。とくに、デジタル技術が生みだす社会インパクトはその両面で大きなものとなるでしょう。そこで、NTTデータでは、ネガティブインパクトの発現を回避する仕組みの一つとして、2019年に「NTTデータグループAI指針」を策定しました。人間とAIが共生するより豊かで調和のとれた社会の実現に貢献するため、AIの開発や活用では人権にしっかりと配慮しながらビジネスを進めていくという方針です。

また、健全なビジネスを進める上で、お客様に提供するサービスが社会にどのようなインパクトをもたらすかを把握することが重要です。先進的なグローバル企業の場合、社会課題の最前線で活動するNGO、NPOを自社のビジネスモデルに対するご意見番や新規事業のアドバイザーとして位置付けています。

――具体的には、NGO,NPOとはどのような協働ができるのでしょうか?

藤岡 ハレックスでは気象予報士を行政機関に派遣し、気象データをひもとき、判断をするための研修を行っています。こうした活動はNGO、NPOといっしょに展開できるのではないかと思っています。

中川 私はSDGsに取り組むNGO、NPOと一緒にオープンイノベーションができるかもしれないと思っています。NTTデータは優れた技術をもつベンチャー企業とオープンイノベーションを行う「豊洲の港から」のような場を作ってきましたが、同じようにSDGsに取り組む優れたNGO、NPOと場をともにする機会を作っていけるとよいのではないでしょうか。

金田 NTTデータでは、NGO、NPOとのパートナーシップを積極的に進めています。具体的には、STO(Social Technology Officer)という新しい職種を創出し、育てていく活動をサポートしています。STOとは企業のCTO(Chief Technology Officer)に相当し、NGO、NPOに対して、経営の観点からIT戦略作りを支援します。日本にはまだ馴染みのない、この新しい職種の確立に向け、日本NPOセンターやCODE for JAPANなどのNPOと協働しています。また、この分野は海外のグループ会社が積極的です。たとえば、スペインのグループ会社であるeveris Groupのeveris foundationはNGOと連携し、子どもたちのIT教育やジェンダーに関わる課題に対して具体的なソリューションを社会に提供しています。

――持続可能な社会の未来を担っていく世代、若い方々とはどんな関係を作っていますか?

藤岡 まだ、解はありませんが、今後、社会課題を解決するために必要となる能力の開発に、若い人たちといっしょに取り組んでいこうとしています。

実は気象データの分析には多くの取り組むべきことがあります。

1つはデータアナリストが少ないので育成しなければなりません。さらに、気象データから意味のある/価値のあるデータを抜き出せるデータエンジニア、AIでいう特徴量選択ができる人材が必要です。

今後、気象データアナリスト、気象データエンジニアという新しいプロフェッショナルが登場してくるのだと思います。そして、こうした専門家は気象だけではなく、広く統計学やマーケティング、その他のデータを扱う分野に興味を持ち、理解できる存在であることも求められます。

中川 社会貢献したいからNTTデータに入社したのになかなかチャンスがないという若いメンバーがいました。私自身もこの志向は重要なことだと考えています。SDGsについてあらためて調べてみると、欧米では、自社ビジネスが結果的に社会に貢献するという間接的な取り組みだけではプラスマイナス0、社会に直接的に貢献できることを明確にし、そのために行動することでようやくプラス評価がもらえるという、高いレベルを求められていることがわかってきました。

以来、私も意識が変わり、社会課題の解決に直接的に貢献できる形でビジネスを作っていく必要性を強く感じ、いろいろと模索しているところです。

金田 SDGsの社内研修などを通じて、より社会に貢献したいと考える社員がたくさんいると感じています。そのような社員一人ひとりが、会社の外にある「3つの現場」を体験できるプログラムがあるといいですね。

1つめは、今まさに問題が発生しているその場所に行って気づきを得る「課題の現場」、2つめは、専門家に直接触れる「人の現場」。

そして、3つめは、社会や環境に関するルールが作られる「ルールメイキングの現場」です。多様な観点からの議論の成果が半年後、1年後に実際にルールとして世に出てくるわけですから、そのルールメイキングの現場に最初の段階から社員が関われていたら、新規ビジネスに関する着想のユニークさ、実現可能性の見極め、開始までのスピード感がまったく変わってくるはずです。

――ルールメイキング・プロセスに関わることは重要ですね。

藤岡 NTTデータは長い間、民間として官に寄り添い、刺激を与える役割をはたしてきています。

ハレックスは今、気象庁とよい関係にあり、気象データを活用した新しいビジネスの創出と活性化をめざす、気象ビジネス推進コンソーシアム(WXBC)という組織の立ち上げと運営に協力しています。事例の共有や人材育成の推進、そして気象データのさらなるオープン化などの提言をし、新しいルールが生まれる後押しをしています。

――NTTデータグループならではという視点で、今後トライしてみたいことがあれば教えてください。

中川 RPAは個人が行っていた業務を自動化するところから始まりましたが、企業や組織を超えた共同利用という新しいアプローチが始まっています。

たとえば、地方自治体はそれぞれ地域ごとに特色があり、他の自治体と同じことは頑張りにくい、という風潮がありました。現在は人材や予算などの課題もあり、自治体同士がお互いに勉強しあい、どうしても別にしなければならない限りは共同化しよう、という機運が高まっています。このようなRPAの共同利用は、金融機関、医療法人などにも広がりはじめました。

共同利用をはじめるためには仲間集めが重要ですし、また運営後にトラブル等があると影響が大変に大きくなります。そのため、共同化のパートナーはRPAシェア1位であり、信頼性の高いNTTデータしかない、と言っていただくことが多く、大変に有難いと思っています。

RPAで培った、お客様と一緒になって新しいものを作り上げていく伴走スタイルで、がんばっていこうと思っています。

藤岡 ハレックスは会社の規模に比べ、とてもたくさんのお客様からの引き合いをいただいています。現在は気象データのみでのお付き合いなのですが、NTTデータグループであることを考えるともっとシナジーをいかしたビジネス展開が考えられるはずです。

せっかく気象データという尖った部分をもつのですから、NTTデータグループ各社と連携して、まったく新しいビジネスを生み出したいと考えています。

金田 中川さんのRPA共同利用のお話はSDGsの文脈での「コレクティブ・インパクト」に通じるものがあります。異なる組織や立場の方々が協働して、より大きなインパクトを作っていきましょうという活動です。

また、藤岡さんは、連携がとても重要だと言われましたが、まったく同感です。NTTデータグループには多様な事業部、グループ会社がありますが、特徴のある技術、ソリューション、サービス、そして人財を抱えています。これらをどのように組み合せれば「コレクティブ・インパクト」を創り出せるか、すなわち、徹底的に新しい「組み合わせ」にこだわって議論するイノベーション創出のための“新結合”プロジェクトなどができれば、SDGsの観点から関わりたいと思います。

――Innovation Conferenceはそれぞれ別のセッションでご登壇いただきます。どんなお話をされるのか、来場者へメッセージをお願いします。

金田 SDGsのメッセージでもっとも大切なものは「誰一人取り残さない」というところです。この「誰一人取り残さない」という切り口で、デジタルは社会課題の解決にどう貢献できるかをお話しします。著名なお二方を迎えたパネルディスカッションでは、デジタルを用いた課題解決の海外での事例、日本の地方創生の話題を取り上げ、聴衆の皆さんにお届けしたいと思います。

藤岡 講演では身近な存在である気象のデータが、日常生活にどうように活かされているのかを事例でご紹介します。また、顕在化している課題の解決方法をご理解いただくとともに、潜在している課題を一緒になって考える時間にしたいと考えています。少しでもハレックスに関心を持っていただき、何か一緒に取り組みができるきっかけになるとよいと思います。

中川 RPAもブームと言われてから約3年が経過しました。華やかな話題が多くのニュースに取り上げられてきましたが、その後はどうなったのか、取り組みは継続しているのか、と思っている皆様の疑問にお応えする場にしたいと思っています。

講演ではつくば市ワークライフバランス推進課の三輪様にご登壇いただきます。つくば市様はそれこそ「誰一人取り残さない」精神で職員の皆様にデジタル技術を活用してもらおうと普及・推進されていらっしゃいます。誰も取り残さず、皆がデジタルを使える状態を目指すとこうなる、という姿をご紹介いただけます。

これは、RPAから始まったデジタルの民主化といえると思います。ムービーなども用意しておりますので、会場でぜひ実感ください。

SDGs、RPA、気象データに関する講演情報

NTT DATA Innovation Conference 2020
Accelerating Digital~ デジタルで創る未来 ~

日時:2020年1月24日(金曜日)10:00~18:30(受付開始 9:30)
会場:ANAインターコンチネンタルホテル東京 地下1階

13:10~14:45
Digital for SDGs
ー社会課題解決に向けたデジタル技術の可能性と課題ー

国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所
駐日代表 近藤 哲生 氏

金沢工業大学 地方創生研究所
SDGs推進センター長
平本 督太郎 氏

NTTデータ
社会基盤ソリューション事業部 ソーシャルイノベーション事業部
大竹 篤史

モデレーター
NTTデータ
総務部 サステナビリティ担当
金田 晃一

14:05~14:45
単なる「自動化」で終わらせない
見えてきたRPAの真の価値、目指すは「横断DX」

つくば市 総務部
ワークライフバランス推進課 業務改善推進係 係長
三輪 修平 氏

NTTデータ
社会基盤ソリューション事業本部 ソーシャルイノベーション事業部
RPAソリューション担当
中川 拓也

15:55~16:35
「IT(情報)」×「気象」で創造する新たな価値と可能性
ハレックス 代表取締役社長
藤岡 浩之

お申し込みはこちら:https://www.nttdata-conf.jp/

参考

ハレックス

https://www.halex.co.jp/

日本NPOセンター

https://www.jnpoc.ne.jp/

CODE for JAPAN STO(Social Technology Officer)特設

https://sto.code4japan.org/

SDGsX:企業経営に変革を促すSDGs

https://www.nttdata.com/jp/ja/data-insight/2019/1224/

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