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2020年10月21日技術ブログ

デジタルワークスペースから読み解く企業変革のありかた

働き方改革やテレワークの導入が進む中、NTTデータでクラウド基盤BizXaaS Office®を中心に、お客さまにデジタルワークスペースを提供してきた遠藤由則。
数々のお客さまの「働く場」をデジタル化する取り組みに奮闘してきた遠藤が語る、現在、そしてこれからの企業に必要なこととは──。

~「NTT DATA Technology Week 2020」連動企画 ~

※本記事は、「日経xTECH EXPO 2020」の講演内容に関連する記事です。
講演聴講については本記事の最下部をご覧ください。

1章:ひろがるデジタルワークスペースの可能性

デジタルワークスペースにまつわる3つの変化

NTTデータでは、企業等におけるPC環境をクラウド上で提供する「BizXaaS Office(以下:BXO)」を2010年から提供しています。私はBXOのオファリング責任者として、日々お客さまの「働く場」のデジタル化ともいえる、デジタルワークスペースを提供し、働き方改革のお手伝いをしてきました。
ここ数年、テレワークの導入をはじめとするデジタルワークスペースが浸透してきたと感じていますが、特に、昨年から今年にかけては大きな環境の変化がみられます。

まず一つは外部環境の変化です。
昨年の働き方改革関連法施行、そして今年のコロナウイルスの流行で、いままであまりデジタルワークスペースの導入に取り組んでこなかった企業でも、真剣に取り組まざるを得ない状況になってきました。ただ、「まずは始めてみる」という状況においても、どこまでやるのかというゴール、目標を設定し、目指す姿と実態とのギャップ改善に向けた具体的なアクションに繫げていくことが重要で、そういった企業がまだまだ少ないことは課題の一つだと思っています。

二つ目は、IT環境に対するコスト意識の変化です。
例えばBXOでは、デジタルワークスペースにおける代表的サービスとして、お客さまのPC環境に代わる、仮想デスクトップというサービスを月額利用料の形態で提供しています。仮想デスクトップはウイルス対策やOSのアップデートなどすべて自動で行われユーザーはこれを意識する必要はありません。
しかし、数年前までは、ハードウェアとしてのPCの購入費用と、仮想デスクトップの利用料のコスト比較をされるケースが多くありました。
PCの購入費用は「モノ」のコストでしかありません。しかし実際は、ウイルス対策やOSのアップデートといった、それを「使う」ためのコストが継続的に発生するのです。こうしたいわゆるシャドーコストは、これまでユーザーであるお客さまの社員一人ひとりが負っていました。それが昨今、PC紛失による情報漏洩等のリスクが広く認識されるようになったこともあり、PC利用に伴うリスクやシャドーコストを含めた全体的な視点で、仮想デスクトップ利用との比較を考慮するケースが増えてきたと思います。

3つ目は、社員に対し多様な働き方の選択肢を提供するという企業の意識変化です。
以前はテレワークが普及する中でも、「会社に行かないとしっかり働けない」といった風潮がありました。しかし最近は「社員がライフステージにあわせて多様な働き方ができる仕組みを整備しないと、間接的な損失になるのではないか?」という観点でご相談いただくことが増えつつあります。
これまで、デジタルワークスペースといったIT環境の整備は、コスト削減の観点を中心に検討されてきました。しかし昨今、企業が社員にとって高い利便性や働き方の多様性を提供することが、優秀な人材を確保し、企業の競争力を維持するために重要視されるようになり、その手段としてIT環境の整備をするという考え方に変わってきたと言えます。

実際に、特に若い世代は、大学でSlackなどのデジタルツールを使いこなしている人も多いでしょう。入社した途端に古い非効率なツールを使わざるを得ないことが理由で辞めてしまうケースもあると聞きます。

日常生活で多くの先進技術に触れることが出来る今、プライベートだけでなく業務の中にもその技術を迅速に取り入れていくことは、社員の生産性やモチベーション向上にとって必要不可欠といえ、この傾向は今後より加速していくと私たちは考えています。

2章:デジタルワークスペースに求められること

ゼロトラストのセキュリティ環境

デジタルワークスペースの導入を進める企業において必ず懸念材料として挙げられるのが、セキュリティに関する問題です。お客さまからは、「これまで社内のネットワークに閉じた世界でやり取りされていた業務情報が本当に守られるのか」といった声をよく聞きます。
しかし最近では、その社内ネットワークについても、安全であるという前提を捨て、「すべて信頼しない、常に検証する」という「ゼロトラスト」アーキテクチャという新しい考え方が浸透してきています。

デジタルワークスペースの導入は、テレワークをはじめ、場所を選ばずに自由に働くことが出来る環境を生み出します。ただ、自由度が増す代わりにセキュリティ面の課題も増えるといえ、そこで必要となるのがゼロトラストの考え方です。ゼロトラストの考え方に立てば、社員がオフィスで業務することと、テレワークで自宅から業務することにリスクの差はありません。
どのような場所からのアクセスに対してもセキュリティを確保するために、すべてのアクセスを監視し、制御する。ゼロトラストは、デジタルワークスペースにとって今後必要不可欠な要素として求められることは間違いなく、BXOでもゼロトラストアーキテクチャの概念を取り入れたソリューションの提供を進めています。

導入企業にあわせたシステム構築

セキュリティと並んでデジタルワークスペース導入において重要なことは、「その企業の業務をきちんと行うことが出来るのか」という点です。
業務内容や、それを支えるOA環境は企業によってさまざまです。決まったものを提供すればそれで完成といったことはまずありません。私たちは、お客さまごとのOA環境をヒアリングし、デジタルワークスペースへと移行するためのグランドデザイン策定にとどまらず、WANの構成やファイル統合管理、デバイスまで含めた幅広いコンサルティング、パイロット導入を通してボトルネックや効果を確認しながら全社展開に向けた支援など、一気通貫でのサービスを提供しています。

また、デジタルワークスペースの環境というのは、高性能なサーバー上で動作するもので、そのサーバーを他のお客さまと共有するクラウド型と、お客さま専用のサーバーを用いるオンプレミス型の2種類に分かれます。これまでお客さまの多くが情報セキュリティに関する会社の規定上、専用サーバーを用いなくてはいけないといった要件が多く、BXOを利用するお客さまの90%がオンプレミス型を選択していますが、AWSなどパブリッククラウドの認知度の高まりもあり、クラウド型を選択するお客さまも増えてきています。BXOではお客さまの要望に合わせてどちらの形態でもサービス提供できるだけでなく、お客さま専用のオンプレミス型サービス提供においても、すべてを個別に作るのではなく、クラウド型をベースに最適化されたものをオンプレミス型に組み込んで提供することで、コストをおさえ、迅速に提供する体制を整えています。

きめ細やかなアップデート

お客さまは、PCであれば「古くなったら買い替える」ということが出来ますが、デジタルワークスペースだとそうはいきません。サービスを提供している私たちにとって、機能のアップデートは、BXOを選択してくださったお客さまへのいわば責務だという思いで、アップデートを常に繰り返しています。細かい機能追加は半年に1度ペースで進めており、最新の技術を求める、アーリーアダプター層のお客さまにも受け入れてもらえるように改善を続けています。
また、NTTデータでは他の企業に先駆けてテレワーク導入をはじめとする働き方改革の取り組みを進めており、それを支えるシステム基盤として全社でBXOを利用してきました。この経験によって得られた知見を、お客さま向けサービスに反映しています。

自社でのノウハウや最新の技術動向を常に収集し、お客さまの利便性や安心に繋がるものは積極的に取り入れていく。これは、BXOのサービス開始以来、最も大切にしていることの一つです。

3章:今求められる企業変革のあり方

必要なのは社員と会社 両面をふまえた企業変革

新型コロナウイルスの感染拡大は企業の意識変革に大きな影響を与えました。

これを機に、多くの企業が変革の必要性を強く感じています。
日本の企業におけるIT投資の位置づけが、コスト削減の手段からビジネス拡大への手段へと意識が変わる中、社内に向けたIT投資は後回しにされがちです。しかし社内に向けたIT投資は、ビジネスを動かし、そして利益を生み出す社員を支えるために重要な投資です。そのバランスこそが企業の競争力に繋がるのです。

企業の変革にむけては、目の前のコストやリスクを過度に怖れるのではなく、経営層の方が中長期的な視点をもってトップダウンで推進することが必要です。デジタルワークスペースの導入も、企業変革を実現する一つのツールとして、積極的に検討していただけたらと思っています。

デジタルワークスペースの導入効果は一度使ってみてもらえれば、必ず感じていただくことができます。
仕事をする際に、どのデバイスからでも同じデスクトップにアクセスできる。会社でおこなっていた業務を、自宅でそのまま変わらず進めることができる。加えて、スマートフォンを使って決裁などのワークフローを進めることもできる。こういった積み重ねにより、日々の業務が楽になっていくことを、身をもって感じていただけると思います。
2010年から提供を始めたBXOですが、おかげさまで、2019年の国内クライアント仮想化サービス(Desktop as a Service)市場において売上額シェア1位を獲得しました(※)。また、これまでにほぼ解約がないのは、実際に使った方々がその効果を実感してくださっているからだと確信しています。

コロナをきっかけに、働き方や働く上での価値観が変わってきた今、働き方の変革はこれから進んでいく企業の変革の第一歩だと言えます。社員にとって重要なこと、会社にとって重要なこと、今後はその両面を踏まえて全社で変革を推進していくことが不可欠です。私たちは、これからもBXOを進化させていくことで、働き方の変革、ひいてはお客さま企業全体の変革を支援していきたいと思っています。

(※)

IDC Japan 株式会社による「国内クライアント仮想化市場シェア、2019年:ゼロトラストモデルへの融合」(JPJ45142620)より

イベントのお知らせ

日経BP社主催 オンラインイベント

COVID-19による未曽有の危機の中、様々な分野においてデジタル化がさらに加速化しています。これを受け、NTTデータは、当社のコロナ禍におけるDXのあり方や取り組むべき技術情報についてお伝えします。また今年は、NTTデータの技術面を支えるNTTデータ先端技術と合同出展し、基盤、データ活用、働き方、セキュリティなど、よりよい社会の創造に向けた幅広い分野で最新の技術動向と活用事例をご紹介します。

注目キーワード
AI、Analytics、デジタルサクセス™、デジタルワークスペース、データドリブン経営、クラウド、Agile開発、統合運用管理、ゼロトラストセキュリティ

本記事に関する講演情報

2020年10月22日(木)11:45~12:15
「新しい生活様式を支援するデジタルワークスペース」
NTTデータ 遠藤 由則

イベント詳細、お申込みはこちら
https://active.nikkeibp.co.jp/expo/xtech/

NTT DATA Technology Week 2020

日経xTECH EXPO 2020と並行して、2020年10月12日(月)~23日(金)に「NTT DATA Technology Week 2020」を開催します。
日経BP社主催「日経xTECH EXPO 2020」と当社主催「NTTデータ テクノロジーカンファレンス 2020」の2つのオンラインイベントを中心に、よりよい社会の創造に向けてNTTデータが注目する技術情報を多数発信していきます。
このDATA INSIGHTでも、「#TechnologyWeek2020」とタグをつけ、関連する記事の紹介や新規記事の発信を行っていきます。
With/Afterコロナで新しい社会の姿が求められる中、今後の社会変化をリードするデジタルテクノロジーについて皆様と一緒に考える2週間にできればと思います。
ぜひご参加ください。

イベント詳細はこちら
https://www.nttdata.com/jp/ja/event/2020/technologyweek/

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