2021.3.3事例&対談

連載:企業のDX推進アプローチ(1)
~各社のDX状況~

デジタルトランスフォーメーション(以降DX)の取り組みを実施している企業も増えており、DXは根付きつつあるといえるが、成果を出せている企業は2~3割前後にとどまっている。DX推進の成功方法について、計3回の連載記事で紹介する。

この10年、ITの位置づけが大きく変わっている。人手による既存業務の合理化・効率化の手段から、新たなサービス・商品・ビジネスモデルの創造、更なる自動化・効率化の手段へと変化している。この傾向はここ数年のデジタル技術の登場により、さらに加速している。こうした変化を受け、各社DXに取り組んでいる。
連載1回目の本稿では、DXを推進・加速するにあたっての課題や解決の方向性について、DX支援に従事するNTTデータ・クニエ・NTTデータ経営研究所に所属する5名で考えていきたい。

DXの状況

Q:言葉としては一般化した「DX」。実際の状況は。

菊山ここ数年、スマホが浸透し消費者の生活は大きく変わりました。さらに、AI、IoT、5G、AR/VR、Roboticsなど、さまざまなデジタル技術のキーワードがあふれています。企業は消費者の動向や技術動向を追い、自社の事業にいかに適用できるか、さまざまな取り組みを模索しながら進めています。
ただ、企業の本質はより良いモノ・サービスを、低コストで、ニーズに合わせて顧客に届けることで顧客の課題を解決すること。これは変わることはありません。
既存事業にデジタル技術を適用し、広げていくことも重要です。しかし、いまこそ企業の本質に立ち返り、顧客の課題を解決するために自社のデジタルトランスフォーメーションをいかに進めていくべきか、再考することが求められているのではないでしょうか。

菊山 直也

NTTデータ 製造ITイノベーション事業本部
コンサルティング&マーケティング事業部 菊山 直也

IT戦略から業務改革、新規サービスの立ち上げ、DX推進まで数多くのコンサルティング実績を有する。最近は、デザインとデータ活用でDX実現を目指すアプローチ:Design and Data driven Business Transformationに力を入れており、とくに業際領域のDXに注目している。

小川デジタル技術の進化が、今後の社会・企業変革の深化を決めていきます。
DXを言い換えると、「生活や企業活動などあらゆる分野の質を向上させる取り組み」といってよいでしょう。

船木忘れてならないのは、立場によってDXという言葉の捉え方は異なるということ。経営者であれば、DXを株主価値の向上や組織縦割りの解消につなげる取り組みと捉えています。ビジネス部門では新規サービスの創出につなげる取り組みでしょうし、IT部門ではデータ利活用が容易なシステムを整備する取り組みと捉えていると思います。

小川DXの要点は、一人の卓越したメンバーがデジタル化をリードし物事を解決するのではなく、参加するメンバー全員が、デジタル化を進める意味や、ビジネスモデルをイノベートする意味を理解し、さまざまな人財で多様性を発揮し、意見を出してものごとを決めていくことです。そうすることでデジタル化に対する適応力が高まり、うまくいくのではないかと考えています。
一方でDXは、顧客・得意先との関係性、業務プロセスの抜本的な見直しなどの変革を伴います。そのため、リーダーシップの発揮が必要な側面もあります。
DXの流れに乗り遅れると、企業競争力の低下だけでなく、人財確保を困難にし、他企業から取り残される懸念につながります。デジタル競争の敗者は多くの技術的負債を抱え、業務基盤そのものの維持・継承が困難になるといっても過言ではありません。

小川 敬造

クニエ CS事業本部 CDO 小川 敬造
製造業(プロセス、組み立て)などを中心に、デジタルトランスフォーメーションを軸としたCX、バリューチェーンイノベーション、ビジネスイノベーションに関するコンサルティングに従事。日本の誇れるものづくり力を再興し、将来にわたりグローバルで戦える企業・産業立国をめざしている。

船木多くの企業がデジタル技術を活用して「顧客への提供価値(顧客体験)」「ビジネスモデル」「バリューチェーン」を変革し、事業の貢献価値を高めていこうとしています。
ただ、期待した成果を出している企業は、全体でまだ2~3割前後に留まり(※)、難しい状況が見て取れます。
DX部門を設置そして積極的に推進する取り組みも見られますが、PoC(実践に向けたトライアル)から次の一歩に進めないなど、実際のビジネス変革につながらないという声も聞きます。

(※) 出典

企業IT動向調査2020[JUAS]

船木 春重

NTTデータ経営研究所 情報戦略事業本部
デジタルイノベーションコンサルティングユニット 船木 春重

デジタル戦略・IT戦略立案のコンサルティングに従事。
最近は経済産業省デジタルガバナンス・コードの策定を支援し、経営とデジタルが一体となった形のDX推進支援に取り組んでいる。

Q:DXの課題、どのように対応すべきか?

鈴木船木の話にあった「PoCから次の一歩に進めない」ことは、「PoC疲れ」と呼ばれ、よくあるDXの失敗話としてよく聞きます。
「デジタル技術で何ができるか」という観点で進めてしまうために、結果的には費用対効果で先に進めない、技術検証で止まってしまうという形です。
実際にDXに取り組んでいる企業は、その他にもさまざまな課題に直面しています。従来の一般的なIT部門が体験してきた課題とは異なり、DX推進ならではの困難を感じているようです。

鈴木 潤

NTTデータ 製造ITイノベーション事業本部
コンサルティング&マーケティング事業部 鈴木 潤

大手製造業を中心に、DX組織の立ち上げ支援からデジタル技術導入の個別PoC支援まで、DXに関する幅広いコンサルティングに従事。最近では、製造業に対するDX支援の経験を活かして、公共分野のDX支援にも取り組んでいる。

三好NTTデータでは、過去十数年に渡ってテクノロジードリブンでデジタル変革を支援してきたノウハウを、「デジタルサクセス®プログラム」として整備しました。このプログラムでは、「ビジネス」「IT・Tech」「データ・アナリティクス」「人財・組織」の4つの構成要素で考えていきます。

図:デジタルサクセス®プログラム

NTTデータはさまざまな企業のDX推進をコンサルティング支援しています。その中で4つの要素ごとに乗り越えていくべき壁(課題)があると考えています。DXではビジネスモデルや業務の変革を行うため、特に「人財・組織」では、危機意識の醸成、縦割り組織の解消といった企業文化まで踏み込んだ変革が必要です。

最近、DXの活動に取り組んだ企業からは、どのような取り組みをすればよいかわからないという声をよく聞きます。デジタルサクセスプログラムの4つの観点で「できているところ、できていないところ」を見定め、対応の足掛かりになると考えています。

三好 寛

NTTデータ 製造ITイノベーション事業本部
コンサルティング&マーケティング事業部 三好 寛

製造業/小売業/公共分野の幅広い領域で、DXグランドデザインやDX組織の立ち上げなどに関するコンサルティングに従事。単なるIT改善に留まらない活動にするために、組織変革/人財強化などのDX支援にも注力している。

次回の連載記事(第2回)では、これら4つの観点を基に、DXの活動で直面しがちな代表的な課題について議論する。

参考:DX成熟度クイック診断サービスのご紹介

NTTデータグループでは「デジタルサクセス®プログラム」において、「DX成熟度クイック診断」サービスを提供している。全社のDXを取りまとめるDX推進組織などに対して、NTTデータのコンサルタントによるインタビューや、過去のDXコンサルティング実績と照合し、改善ポイントを提言している。DX推進における課題解決の一手としてこうしたサービスも活用いただきたい。

図:DX成熟度クイック診断サービスの概要

図:DX成熟度クイック診断サービスの概要

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