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2021年4月20日技術ブログ

ブロックチェーンが新たな社会インフラに。
~Beyond Blockchain~

ビットコインなどの暗号資産や、商品の製造、流通、販売過程を把握するトレーサビリティ。これらを支える技術として有望視されているのがブロックチェーンだ。ここでは、ブロックチェーンが社会インフラを支えていくためのカギとなる“インターオペラビリティ技術”を紹介する。

バラバラなブロックチェーンシステムをつなぐインターオペラビリティ(相互運用性)

世界でのブロックチェーンの市場規模は年々拡大傾向にあり、ブロックチェーンは単なる目新しい技術ではなくなりました。特性が正しく理解され、適用できるサービスとそうでないサービスが整理された結果、適性を活かした新しいサービスが提供される段階に入っています(※1)
NTTデータでは、2015年からブロックチェーンの技術検証を始めました。2017年にはBolckchain CoE(Center of Excellence)を立ち上げ、世界中のブロックチェーン技術者と連携して知見を集約し、実用化に向け一丸となって取り組んでいます。

ブロックチェーン技術はDX(デジタルトランスフォーメーション)での活用も期待されています。「ブロックチェーン上で電子化された証券がビットコインなどの暗号資産で購入できる」のもその一例です。しかし実際は、電子証券を管理するブロックチェーンと、暗号資産を管理するブロックチェーンは別々に実装されているため、異なるブロックチェーン基盤上に存在するデータは簡単には連携できません。この課題を解消できるのが、インターオペラビリティー(相互運用性)です。

ITの文脈では、インターオペラビリティとはシステムが連携できる相互運用性のことを指します。システム同士が連携できるようになると、ユーザー側からはシステム特性に依存しないシームレスな取引や処理が実行され、不必要な手間や不自由さのない世界が実現可能となります。
これまでのブロックチェーンを活用したシステムは、目的に応じて個別最適で作られてきました。これら個々のシステムをつなげることで、ブロックチェーンはDXでの活用のみならず、新たな社会インフラ技術になる可能性も持っています。そこでブロックチェーン間を接続するインターオペラビリティ技術の重要性が増してきます。

(※1)「日本における未来志向型インフラ・テクノロジ のハイプ・サイクル:2020年」

https://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20200910

インターオペラビリティ実現の壁と、解決に向けた実証実験

実サービスにおいてシームレスに異なるブロックチェーン基盤のデータ連携を実現するためには、下記(1)から(3)の3つを「同時に」実現・実行する必要があります。しかし、異なるブロックチェーン基盤でデータ連携をする際に、クライアント(サービス利用者)が秘密鍵を持っている場合は、それぞれのサービスでの処理タイミングで必ずクライアントが実行アクションを起こす必要があります。またその一方で、同じブロックチェーン基盤であれば秘密鍵をクライアントが管理しているため自動実行することはできますが、異なるブロックチェーン基盤ではそれが実現できませんでした。
前述のとおり、実社会ではさまざまなブロックチェーン基盤で実装されています。下図のような3つの条件を同時に実行するようなことは、技術的には極めて難しい課題であり、トリレンマと呼ばれています。

(1)複数のブロックチェーンが連携できること
(2)権利と価値の移転に必要な秘密鍵を各ブロックチェーンの運営者に預けなくともよいこと
(3)双方のブロックチェーンでの処理が同時に自動実行できること

そこでNTTデータでは、ブロックチェーンの連携の通信プロトコルであるIBC(※2)に着目し、Datachain社の協力を得て、取引を仲介する第三者に依存しないRelay方式(※3)を用いることで課題解決に向けた実証実験を実施しました。

本実証実験では、貿易プラットフォームと決済プラットフォームの二つの異なるプラットフォームをRelay方式でつなぎ、貿易文書と資金の移転(支払い)を同時に自動で実行することができました。これにより、トリレンマ解消の道筋を立てることができたといえます。

Datachain社はブロックチェーン間を同時につなぐ高い技術力を保有しており、将来的にはハブを介して、どのようなブロックチェーン基盤でもつながる技術の確立をめざしています。本実証実験では同社協力のもと、貿易プラットフォームで利用されているHyperledger Fabric と、決済プラットフォームで利用されているCosmosという二つの代表的なブロックチェーンをつなぐことに成功しました。

Datachain、NTTデータとブロックチェーン間のインターオペラビリティ実現に向け技術連携

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000055051.html

今後は本実証実験結果を活かし、貿易、セキュリティートークン、保険や電力といった、「権利(モノやサービス)の移転」と「価値(暗号資産など)の移転」を連携することが予想される分野でも、インターオペラビリティ実現が期待されます。

(※2)IBC

Inter-Blockchain Communicationの略、複数のブロックチェーンを相互に接続するネットワーク

(※3)Relay方式

お互いのブロックチェーンを相互に検証しあう方式

新たな社会インフラ創出に向けて

NTTデータでは、長年にわたり多くの社会インフラを構築してきました。また、ブロックチェーン分野における世界的なリーディングカンパニーとしてAvasant(※4)やEverest(※5)などで高い評価を得ています。
一方NTTデータでは、「豊洲の港から」(※6)をはじめとするオープンイノベーションにも取り組んでおり、さまざまなベンチャー企業と技術連携した新たなサービスモデルの創出に積極的に挑戦しています。

新しく提供されるサービス同士をつなげていくことで更なる可能性を広げるブロックチェーンのインターオペラビリティ技術は、私たちの考える“新しい社会インフラ”を作り上げるための重要な技術の一つです。NTTデータがもつ社会インフラ構築の実績と、ベンチャー企業がもつ新しい技術を組み合わせることで、生活者に新しい価値を提供する社会インフラの実現に貢献していきます。

(※4)Blockchain Starting to Show Business Value

https://avasant.com/report/blockchain-starting-to-show-business-value/

(※5)Blockchain Services PEAK Matrix™ Assessment

https://www.ibm.com/downloads/cas/YMB2E3KV

(※6)豊洲の港から:NTTデータが提供しているプログラム。ベンチャー企業、NTTデータのお客さまである大企業、そしてNTTデータがwin-win-winとなるような革新的なイノベーション創発を実現するためのオープンイノベーションプログラム。

https://oi.nttdata.com

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