2021.6.7技術ブログ

コロナ禍でチームメンバーと結束力向上を狙うコツ

新型コロナウイルスの猛威で一変した企業の働き方。テレワーク中心で行うチーム運営や新入社員の受け入れをはじめ、「孤立」や「雑談機会損失」という新たな課題も生じている。ここでは、これら課題に取り組むNTTデータの情報システム部門の例を紹介する。

1. はじめに

テレワークを導入している企業の半数が「社員同士の間でコミュニケーションが取りづらい」という課題を抱えています(※1)。また、テレワーク下における新入社員などの人材育成方法や、社員が自律的に働くことができるようにする管理職のマネジメントの在り方が課題になっています(※2)。 NTTデータでは、社員の力を高めて組織力を最大化することを目的とした、ワークスタイル変革を推進しています。また、成果の増大につながる働き方やベストプラクティスの共有を進めることで、組織全体の働き方変革および社員一人一人のパフォーマンス向上を図り、この活動で得られた実績などをお客様へ提案しています(※3)

ここからは、テレワーク中心のコミュニケーションの在り方、新入社員の人材育成の工夫、そして社会的な課題になっているテレワーク下での「孤立(※4)」「雑談(※5)」にフォーカスを当て、NTTデータ社内のコミュニケーション系サービスを提供しているチーム(以降、本チーム)の取り組み事例を紹介します。

(※1) 厚生労働省「テレワークの労務管理等に関する実態調査(速報版)」

https://www.mhlw.go.jp/content/11911500/000694957.pdf

(※2) 厚生労働省「これからのテレワークでの働き方に関する検討会 報告書」

https://www.mhlw.go.jp/content/11911500/000711687.pdf

(※3) ニュースリリース/NTTデータ(2020年6月10日)
「NTTデータとマイクロソフト、新たなデジタルソリューションの実現に向けた協業を開始」

https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2020/061001/

(※4) パーソナル総合研究所「テレワークにおける不安感・孤独感に関する定量調査」

https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/research/activity/data/telework-anxiety.html

(※5) リクルートキャリア「新型コロナウイルス禍における働く個人の意識調査」

https://www.recruit.co.jp/newsroom/recruitcareer/news/20210122_02gis1f.pdf

2. メリットとデメリットの言語化 ~勤務形態の選択

本チームは、2020年4月の「緊急事態宣言」から解除までの約2カ月間、勤務形態を全面的にテレワークに切り替え、KPT法(※6)を使ってこの期間の仕事を振り返りました。
Keep(良かったこと)、Problem(困ったこと)、Try(新たに試したことや対応策)をチーム内で共有し、6月以降は出社可能曜日を設けてメンバー各自が勤務形態を選択できるルールにしました。これには言語化したオンサイトワークとテレワーク時のメリット・デメリット(図1)を体感することで、チームメンバーが2つの形態を意識的に使い分けるようにする意図がありました。

図1:オンサイトワークとテレワークの比較

図1:オンサイトワークとテレワークの比較

(※6) KPT法

取り組んでいる仕事やプロジェクトの改善を「Keep・Problem・Try」よる振り返りによって加速するフレームワーク。

3. テレワーク下の円滑なコミュニケーション ~対象が異なる2つの場

テレワークでは、“円滑なコミュニケーション”が重要なポイントになります。次に本チームが取り組む「チームメンバー間」、そして「上司とメンバー」とのコミュニケーションの場を紹介します。ここで取り上げる施策は、NTTデータがデータ分析に基づいたワークインサイト活用の取り組み(※7)として実施しているものです。

チームメンバー間のコミュニケーション
一定時間オンライン会議をつないだまま(ビデオオン)に設定した「仮想オフィス」があります(図2左)。毎週1時間の仮想オフィスの場では、業務上の話や他愛もない雑談でも、チームメンバー同士が対面に近い雰囲気の中で気軽に会話を交わしています。

上司とメンバーとのコミュニケーション
業務の悩み事やプライベートな話でも自由なテーマで行う「15min-1on1」があります(図2右)。1on1ミーティングというと、主にスケジュールを決めて行う評価や管理のための人事面談などを思い浮かべる人も多いと思いますが、上司と部下の間で本音や不安を話すことは難しいでしょう。 本チームでは、打ち合わせの後で「ちょっといい?」と残ってもらい、メンバーらの議論で温まった場をシームレスに15min-1on1につなげて、アイスブレーク済みの空気の中で会話をしています。

コミュニケーションの場における上司の役割は、場が堅苦しくならないように工夫すること。それは「仮想オフィス」でも「15min-1on1」であっても同じです。参加を強制すると嫌な雰囲気の“イベント事”になってしまう可能性もあるので、メンバーは参加したい人だけにすることです。

図2:テレワーク下のコミュニケーション施策例

図2:テレワーク下のコミュニケーション施策例

図2:テレワーク下のコミュニケーション施策例

(※7) DATA INSIGHT(2020/11/18)「ワークインサイトによるニューノーマルでの働き方改革」

https://www.nttdata.com/jp/ja/data-insight/2020/1118/

4. 新入社員の受け入れ ~OJTのさまざまな工夫

本チームの新入社員の受け入れは、オンサイトワークとテレワークとの両用から始まりました。新入社員とOJT担当社員はタイミングを合わせ、週2日程度の出社可能日を設けてオフィスに出社することにしました。オフィスの座席は隣同士。質問や疑問、問題や不安があった場合には直接会話できるようにしています。週の残りのテレワークにおいても、新入社員とOJT担当社員の間で、密なコミュニケーションが取れるようにさまざまな工夫をしました。ただしこの体系は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止措置などに従い、適宜見直しています。

オンサイトワークの工夫

同じチームメンバーだけではなく、出社日が重なった本チームと同じ案件に取り組む協働者の人たちや、関係部署の人などの顔と名前を覚えてもらえるように配慮しています。新入社員にとっては、会社の雰囲気になじむ大切な機会です。一度対面で会ったことがあるか否かで、テレワーク時も含めてその後のコミュニケーションのしやすさは大きく異なってきます。

テレワークの工夫

本チーム内には気軽に音声通話できるルールがあります。それは、Microsoft Teams(以下、Teams)のチャット機能で「通話していいですか?」のメッセージに「いいね!」のリアクションを返すことが、”通話OK”のサインになるというルールです。

OJT担当社員から見て、新入社員に小まめにフォローを入れたい、あるいは入れる必要があるシーンが多々あります。しかし、対面と比較して時間が取りづらく伝え方も難しいのが現状です。例えば、新入社員にとって不慣れな内容の会議の前後には、このルールを使って適時Teams音声通話を始め、議論内容や会話の意図を説明し、場合によっては画面共有機能で同じ資料を見ながら指導しています。

管理職の工夫

会ったこともない人が参加するオンライン会議では、新入社員にとっては場の空気が読めずに、自ら話に割って入ることは厳しいと思います。そこで、チームの進捗報告会議の場では、新入社員には何かしらの役割を担ってもらい発言する機会を設けています。新入社員の話す機会を意識的に広げて、オンラインでも自律的に発言ができるようにしています。

5. 新入社員の業務習熟と成長 ~OJTの一例より

業務の習熟と成長の度合いは、人の性格やプロジェクトの特徴によって異なると思います。本チームでは、新入社員とのコミュニケーションを重ねて貢献意欲や成長意欲を認識した上で、アプリケーションをリリースする小さな開発プロジェクトを、テレワーク主体で主動してもらいました。また、未経験領域への不安要素を共有することで、OJT担当社員からの細かい指導やフォローを実践の中で受けられるようにしました。

結果的に、新入社員は一人称でプロジェクトを進めて完遂し、業務習熟の向上につなげることができました。なによりも、新入社員本人が上長やOJT担当社員らに認められた時に、自らの成長を実感したようです。
また、本チームはニューノーマルでの働き方で生産性を向上するために、こまやかなコミュニケーションができる環境と、お互いにフォローしやすい雰囲気をチームで作り上げました。このことも新入社員の業務習熟と成長を後押ししていると思います。

6. テレワークにおける孤立 ~メンバー同士が支援し合う関係づくり

孤立の問題

テレワーク中心の働き方では、テレワークの頻度が高くなるほど孤独感が高まる傾向があり、中でも社員が「孤立」するリスクが取り上げられています。(※2)(※4)

孤立を感じさせないチームマネジメント

本チームでは日頃から、チームメンバーがチーム運営に関わるような環境づくり・雰囲気づくりに努めています。オンサイトワークがメインであった時には、チームの結束はおのずとできていましたが、テレワークがメインの環境になると自然にはできません。

メンバー全員が同じ方向を向いて仕事できるようにすることがチーム運営上大切だと考え、キックオフミーティングなどの場で、自分たちのビジョンやミッションについて自らが主体的に考える場を持ち、メンバーに自由裁量を与えて具体的なアイデアを出してもらっています。本レポートで紹介したルールやいくつかの施策の在り方は、基本的にチームメンバーらが取り決めて進めているものです。

自分たちが明文化したチーム運営ルールなので、自分たちのありたい姿やミッションを真に受け入れられ、チームメンバーが自律的に行動して自由に意見し、管理職を含めてメンバー同士がお互いに支援し合う。このような関係性がテレワーク下でも「孤立」を感じなくてすむためのベースになると考えています。

チームの一員だと実感できるとき

チームメンバーの発案で2020年9月から始まった取り組みに、Teamsで行うメンバー全員参加型の勉強会(30分/週)があります。毎回テーマと講師役を決めて、新しい技術の紹介や開発案件の内容、資料作成のTipsなど、さまざまな内容を扱っています。進行や議論はメンバーに任され、決まったやり方は設けられていません。

業務経験を重ねることで培ってきた知識やノウハウを共有し、メンバーからポジティブなリアクションがあると、改めてチームの一員として受け入れられているといった実感を持てるようです。新入社員が講師役を担った勉強会では、ほかのメンバーにとっても新しいインプットとなり、新入社員への直接的なアドバイスや再考につながるナレッジ共有が生まれ、新入社員の業務習熟と成長にも寄与していると考えます。

7. 「雑談」の必要性 ~気軽な会話を楽しむ場

コミュニケーションにおいて、その場で顔を合わせる「対面」と顔を合わせない「非対面」の場合を比べると、「雑談」の割合は半減しているとの報告があります(※4)。また、雑談機会の有無がテレワーク下のストレスに深く影響を与えているとの報告もあり(※5)、心身の健康への影響は大きく懸念され、対応策が求められています(※2)

本チームには、チームメンバーのアイデアから始まった「雑談チャネル」があります。これはTeamsに作ったチャネルであり、仕事の合間に雑談を交わす場です。非対面ながら“気軽に発言しやすい雰囲気”があります。それには、感情を容易に伝えられるリアクション機能の力が働いているようです。

例えば、休暇取得の連絡を投稿すると、チームメンバーからの「いいね!」や「笑顔の絵文字」のリアクションが入り、チーム内に休みを取りやすい雰囲気が生まれています。また、小さな子供を抱えて働く社員も多く、「急きょ保育園に子供を迎えに行かなければならない」といった投稿に送られる「いいね!」は、”大丈夫だよ”という安心感につながっているようです。

8. 最後に ~今後に向けて

新型コロナウイルス感染症がある一定の状態に落ち着くと、オフィスや現場に出勤する人が増えてくると思います。しかし、変化したワークスタイルは元には戻らず、オンサイトで勤務する人とテレワークをする人がミックスしたハイブリッド型勤務になっていくことでしょう。そのような状態下でもうまく仕事を進めるためにはどうあるべきか。これをオフィスの在り方も含めて、どうしていくのかが次の課題だと思います。

Microsoft、Microsoft Teamsは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。

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