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2021年6月21日技術ブログ

NTTデータが示すITの羅針盤 技術と社会の予見 vol.1
NTT DATA Technology Foresight 2021

ITのイマを俯瞰しミライを予見する羅針盤「NTT DATA Technology Foresight 2021」。最新トレンドを紹介する本シリーズの第1回は、情報技術による社会変化を示す「情報社会トレンド」をまとめています。

NTT DATA Technology Foresightは年次で版を重ね、ついに10年目を迎えました。
今後も技術を中心に徹底した調査を積み上げて予見を提示する基本姿勢は変わらず、さらに皆様がビジネス革新を検討する起点になり得る価値ある「羅針盤」を目指していきます。「情報社会トレンド」がITによる社会変化とその先の予見を示す一方で、「技術トレンド」がITそのものの最新の現状とその先を予見する構成はそのままに、さらに一体の検討をすすめ、有機的に融合した成果物にまとめています。
現状を把握し、未来を予見する「羅針盤」を手にすれば、皆様が次に為すべきは、その進むべき行き先に向けた戦略の立案であるはずです。
NTT DATAが見ている今と将来の予見をご確認いただき、白波が立つ荒海に、目指す道を見出していただければ幸いです。

NTT DATA Technology Foresight 2021シリーズの第一回は、情報社会トレンド3つをまとめています。

IST01 ITの融合

社会生活から科学技術、もちろんあらゆる経済活動において、最大限のITの融合は必然となりました。あらゆるサービス提供者にとって、なお継続する、より深い融合に向かう潮流の理解と参入は避けられません。

COVID-19のパンデミックを奇貨とした急激なオンライン主導生活へのシフトは社会を不可逆に改変し、強固な伝統的法規制さえ変化を追認せざるをえませんでした。IT主導科学はこの人類の危機で一気に具体化し、ウイルスDNAの世界規模での把握と、mRNAワクチンの実用化を現実にしました。そしてITを最大限活用するサービス企業は、高速かつ連続的な競争力向上とスケーラビリティでビジネスを席巻し続けます。その原動力は、重力を持って次々に凝集するデータ、サービスを猛烈なスピードで改善するソフトウェア、能力を増し続けるITハードウェアの組み合わせがもたらします。彼らが提供するモノやコトは、既存産業が伝統的に築き上げたそれを遙かに凌駕する価値を備え、膨大なユーザを真に世界規模で獲得し、さらなる市場拡大を継続します。

今後もあらゆるサービス提供者は、時計の早回しが如き変化に対応していくでしょう。科学技術にもIT特有の獰猛な加速度がもたらされルールが変わっていきます。そしてなお技術革新が続く中で、新たなプレーヤーがかつてないサービスと共に登場していくでしょう。

IST02 個の追求

ITがもたらす個別最適化は、あらゆるサービスに必然の機能となる一方で、「最適」で不遠慮な広告で人々を取り囲み、様々な犯罪の恐怖をもたらす元凶でもあります。個の無制限な追跡にブレーキをかけつつも、間違いのない個の識別による着実で高効率な社会の到来を目指す、難しいバランスの探求は継続するでしょう。

興隆するパーソナライズサービスはより詳細に個別最適を極めます。さらに緻密なレコメンドに留まらず、放置される時間の長かった高価な別荘から、かつての名作、アスリートの素晴らしいプレイにまで光を当て、価値を掘り起こし、人々の嗜好とのマッチングを提案します。消費者が高い満足を得て継続的な支払いを続けるこうしたサービスビジネスは、伝統ある産業領域にも拡がります。自動車のようなモノ、ハードウェアであっても、ソフトウェアがもたらす自分専用のカスタマイズや新たな提案が次々に提供されるサービスが融合されつつあります。

一方で、この個別最適化をある意味で最大限活用したダイレクトマーケティングが、同意万能主義のもと野放図に個人のあらゆる情報をかき集め、欲望に働きかけんとするあり方が強く非難されています。さらに個別の情報を顧客から預かるというリスクへの認識が希薄な事業者が、迂闊なID管理で犯罪を誘発する失態も散見されます。

今後ITを活用する者は、個の追求をあらゆるサービスの前提とし、強いIDによる行政サービスなどの効率化を進める一方で、その濫用には自ら制約を課すコントロールを実現していくでしょう。

IST03 規範の探求

革新的技術の急速な社会への浸透や、その結果生じる変化がもたらす負の影響に人々は戸惑っています。変化に追随した新たなルールは未成熟なままで、様々な混乱が拡大しています。技術を司る者は、こうした歪みを認識し、IT進化の社会実装に必要な規範生成に積極的に関与する姿勢が強く求められていくでしょう。

ITが生活・社会・経済成長の基盤となるにつれ、その影の面も拡大します。国際的犯罪集団による億人単位のユーザ情報流出が日常となり、エネルギー供給会社や医療機関などライフラインを支える重要システムの制御を奪って脅し、多額の身代金をせしめる犯罪は増え続けています。ディジタルディバイドはより深刻な社会的格差を意味するようになり、AI課題は解決されないままです。さらに急激に進化するAIが要求する膨大な電力は、脱炭素の社会的取組と無縁ではなくなりました。最先端の技術開発は安全保障の重要な要素となり、牧歌的な国際協力によるITの進化はもはや望めません。SNSが、人々の情報流通そのものになり、政治経済を大きく揺るがす現状で、その運用ルールを特定企業がつくる規約で済ませるのはもはや危険であると世界は認識しています。

新たな技術が生まれ人々の生活を変えるまでのリードタイムは短くなる一方ですが、それに適した規範生成にはこれまで人類が新技術に直面してきた歴史同様に長い時間がかかります。しかもITは複雑化し、関わる領域が際限なく拡大しています。国家による規制強化が本格化する中、技術を主導する者が、その知識を社会課題にまで拡げ、ルール作りを主導する必然性はさらに高まるでしょう。

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