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2021.11.19特集

#7:Enterprise DX

自社のEnterprise DXに着手したNTTデータ。
NTTデータが取り組むProject GAIAはEmployee Experienceを最優先に考えた社内システムの一大刷新プロジェクトだ。
自らの経験から得た、Enterprise DXを進める上で重要なポイントをわかりやすく説明する。

目次

0.はじめに

これまで6回にわたり「NTTデータ自身の変革」についてお届けしてきましたが、今回はいよいよ総括編となります。

そもそもDXの意味は“デジタルによる変革”ですから、「デジタル」は手段であって、目的である「変革」が実践され成果につながらなければ本当のDXではありません。
いや、本質を見誤りました。変革も目的ではありません。なぜわざわざ苦しい変革をするのかというと、自らの「なりたい姿」に到達するためであり、変革も所詮は手段でしかなく、「なりたい姿」に到達することが究極の目的と言えます。

企業が社会の一員として貢献するためには、時代が経過しても変わらない普遍的な価値と、時代とともに変化する「なりたい姿」の2つを同時に目指す姿勢を求め続けることなのだと思います。

「変革」というと、何か明日から革命が起きるような印象を受けますが、少なくとも私が社会に出てからの約30年弱の間に、さまざまな横文字のキーワードや「〇〇2.0」、最近では「〇〇tech」と、数えきれないくらいの変革ワードが登場しては消えていっています。しかし私たちの基本的な行動様式や価値観はあまり変化しておらず、幕末や戦後のような革命は起きていません。

もしかしたら、変革のど真ん中でありながら、私達はその変化に気付いておらず、後世の人々が“〇〇革命”と呼ぶ時代が、今の21世紀初頭なのかもしれません。徐々に株主資本主義から環境・人へ価値基準が変わりつつあるのは、これまでにない大きな変化だと思っています。

これまでのProject GAIA連載では、NTTデータにおける実際の取組みを通じて、企業としてのデジタル変革、つまりEnterprise DXを実行し続けるために必要なデジタル・テクノロジーの活用方法とその適用方法をお伝えしてきました。

そして最終回となる今回は、デジタル・テクノロジーの提供を通じて、顧客企業のEnterprise DXの実践を支援する立場として、DXのポイントをお伝えしたいと思います。

1.Enterprise DXの考え方

1.1 領域の定義
Enterprise とは企業体を示します。そのため「Enterprise DX」は、その対象を企業活動全体と捉え、変革する領域と対象となる業務を把握することから始めます。事業活動に直結する顧客・従業員接点を“People”、本業である営業~開発の意思決定プロセスを“Process”、それらを支える管理業務を“Management”、最後に事業活動及び管理業務を支える土台として“Technology”の観点で施策を立案し、実行しています。
これまでお伝えしてきた、NTTデータが進めるGAIA.fin及びGAIA.hrのプロジェクトは“Process”領域に、データ分析を高度化するGAIA.dataは“Management”と”Technology”領域に該当します。(図1参照)

図1:Enterprise DX領域全体像

図1:Enterprise DX領域全体像

1.2 変革に向けた2つのアプローチ
変革する領域と、対象業務を分類した後は、それぞれの業務内容について類型化します。(図2参照)
大きく分けると、これまでの業務をそのままデジタルに置き換える「Digital化」と、デジタルを用いて業務そのものを変える「Digital Transformation」の2つに分類され、さらに業務変更の難易度と投資インパクトの大小の軸で4つに類型化できます。

<Digital化>
社内における間接業務の多くは、本社の各コーポレート部門から現場組織へ流れています。言い換えれば、総務、人事、財務といったコーポレート部門が制度主管組織の責任で既存ルールを変更さえすれば、デジタルへの置換えの成果をすぐに出せる業務があります。図2の左下、「Quick Win」です。COVID-19のパンデミックという外的要因で一気に進んだともいえる、「脱ハンコ」はここに該当します。業務変更の難易度と投資インパクトが小さいこれらの業務からまず変革をスタートし、“小さな成功”を積み重ねていくことは重要なステップといえます。

<Digital Transformation>
一方で、業務変革が複数組織を跨る等、業務変更の難易度が高く、そして一定規模以上のデジタル投資判断が必要な業務が存在します。図2の右上「投資対効果の判断」が必要な業務です。
Digital Transformationの中でも、変革の本丸とも言うべきこれら業務に対しては、何のために変革をするのか?といった基本的な問いに対する社内の共通理解が存在していることが必須条件であり、そして財務的観点で大規模投資に対する効果の見極めが必要になります。

図2:Enterprise DXのアプローチ

図2:Enterprise DXのアプローチ

2.テクノロジー実装の前に考えるべきこと

手段としてのデジタル・テクノロジーの実装に着手する前に、考えなくてはいけないことがあると私たちは考えています。
NTTデータならではともいえる、2つの大方針について下記にお伝えします。

2.1 Employee Centric(従業員を中心に考える)
コンシュマー市場では、消費者行動を中心に捉えるカスタマー・エクスペリエンスの優劣が重要な成功要因であることは説明不要でしょう。同様の考えを企業に適用すると、従業員を中心に捉えたエンプロイー・エクスペリエンスの高度化こそが、働き易さの向上、職務への積極的関与、チーム内の助け合い等につながり、結果として組織成長の根本をなすと考えています。

これまで私たちはITサービス企業であるが故に、社内システムを作り手の発想で構築してきました。その結果、社内システムは、発生するジョブ(契約締結決裁や各種申請業務等)単位でなく、決裁、受注登録、購買発注など、システムとして切り分けがしやすい単位で区切られた仕組みとなっていたのです。この社内システムを使いこなすためにPDFで記載された膨大なマニュアルを読み込み、複数の画面を切り替えながら業務遂行している従業員の姿は、エンプロイー・エクスペリエンスとして決して良い状態とは言えません。

利用者である従業員の行動を中心にとらえ、日常生活、つまりコンシュマーライクなUI/UXを社内システムにおいても設計することが、生産性の向上に繋がるのみでなく、エンゲージメント向上、最終的には事業成長につながるのです。

図3:Employee Experience Platform

図3:Employee Experience Platform

2.2 Offering Driven(自身の経験を顧客へ還元する)
NTTデータはグローバルITサービス企業であり、最新のデジタル・テクノロジーを自社へ導入し、徹底的に活用出来る環境にいます。当事者として経験した自社の変革事例をオファリングとして仕立て上げることで、自らの実体験を伴ってお客様へ展開することができ、お客様自身のみならず業界を跨ぐ共創の創出等、社会の発展に貢献できると考えています。

3.Transformationの難しさ

ここまでは主に手段であるテクノロジーの実装についてお話してきましたが、最後に一番人間臭く、変える事が難しいといえる、業務プロセスそのものの変革「Digital Transformation」の難しさについてお伝えします。

一般的にも言えることですが、企業の業務プロセス・ルールは過去・現在の本業である既存事業に合わせて継続的な改善がなされ、最適化された状態で存在しています。これを未だ見えない将来のTo-Beに合わせて変革しようとすると、過去から継続し、目の前にある業務に追われている現場部門は、変化に対する不安を覚え、既存業務への誇りと責任感の強さから、変革に対しての反発が必ず起こります。

そのため、Enterprise DXでの業務変革を進めるには、個別最適に陥りがちな現場の課題に対して、社内DXチームが全体最適の視点を忘れず、現場部門に対して丁寧な業務コンサルティングを実施し、彼らの変化に対する不安を一つ一つ解消することが重要となります。

一方で、既存業務・プロセス・ルールの無い業務領域では、最先端のデジタル・テクノロジーの活用や、「これまでの社内の常識」にとらわれない大胆な行動変容を実施し、失敗を恐れずに挑戦を楽しむぐらいの余裕があってもよいと考えています。ただし、そのためには大胆な投資が必要となります。Go/No Goの判断のために、既存業務ベースに最適化された「これまでの社内の常識」である意思決定プロセスを通す必要があるのはジレンマかもしれません。

4.おわりに

これまで、「自身の変革」#1から本稿まで、延べ7回の連載にお付き合いいただき、ありがとうございました。
過去の歴史を振り返っても、いつの時代も「変革」が叫ばれ時代の変化に適合していくことが経営の優先課題であることに変わりはありません。時代とともに変わる周囲の環境や「正しい」と言われる価値基準に対し、成功を約束できるセオリーは存在しません。

常に、手段と目的、テクノロジーと業務、顧客提供価値と内部の生産性向上、これらを二極化した対立軸としてみるのではなく、密接な依存関係として捉える。そして、何を目指し続けるのかを考え、全体最適の視点で行動し続ける事がEnterprise DXの要諦だと信じています。

Project GAIAという、皆さんから直接は見えないNTTデータの社内変革が、皆さんから見たNTTデータのイメージを大きく変えることになると確信しています。
2022年度以降のNTT DATAの成長をお楽しみに。

これまでの連載記事は下記よりご覧いただけます。

- NTTデータは、「これから」を描き、その実現に向け進み続けます -
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