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2021.11.25特集

ソフトウェアで実現するカーボンニュートラル

脱炭素化はいまやあらゆる企業が取り組むべき重要な課題の一つだ。ソフトウェア業界においても自社の温室効果ガス排出量削減やデジタル技術による脱炭素化の支援が進んでいる。しかし、現在のソフトウェア開発における温室効果ガス排出量のモノサシ(算出基準)は、どのように開発したとしても販売価格によって排出量が決まってしまうため、企業の削減努力が反映されないという課題がある。算出基準の策定と、ソフトウェア利活用時の温室効果ガス削減技術やナレッジの整備の両側面で、ソフトウェア業界全体の脱炭素の取り組みを加速することが求められる。

目次

製造業を中心に進んできた日本の脱炭素

18世紀の産業革命に端を発するともいわれる環境問題。3世紀を経て温室効果ガスが引き起こす地球温暖化問題は、いまや世界中のあらゆる国や産業で大きなトピックとなっています。
特に、製造業界は温室効果ガス排出の直接的な要因であるエネルギー消費が多いことから、以前より日本でもこの問題に取り組んできました。
1979年に制定された「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」は、オイルショックを契機とするエネルギー効率化が当初の目的でした。現在では適用範囲を広げつつ、エネルギー使用状況の報告と効率的な使用に向けた努力を企業に義務づけてきました。

また、1997年には経団連の呼びかけにより各業界団体が環境自主行動計画を定め、民間レベルでも製造業を中心に計画的な削減に向けた取り組みが進みました。
その努力は生産設備への投資から、生産技術の改良、生産プロセスの効率化といった生産段階だけでなく、製品の利用段階におけるエネルギー効率まで考慮した製品改良を積み重ねています。

その結果、日本は世界的に見ても高い水準のエネルギー効率(≒温室効果ガス排出の抑制)を実現。自動車産業を例にすると、リーマンショックや東日本大震災の影響を受けつつも、長期で見ると生産額あたりの温室効果ガス排出量が削減されています。

図1:自動車産業の生産額と排出量の推移

図1:自動車産業の生産額と排出量の推移(※1)

(※1)日本自動車工業会・日本自動車車体工業会、自動車製造業における地球温暖化対策の取り組み

https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/chikyu_kankyo/jidosha_wg/pdf/2020_001_04_01.pdf

ソフトウェア業界にも広がる脱炭素の取り組みと課題

製造業を中心に進められてきた脱炭素ですが、2015年のパリ協定成立以降、世界中で脱炭素の動きが加速してより多くの企業が具体的な削減目標を設定し、気候変動対策に取り組んでいます。
ソフトウェア業界も例外ではなく脱炭素に取り組んでいます。

工場で製品を製造する製造業と違い、ソフトウェア業界はプログラムを作り、サーバな上で稼働させるため、これまでもハードウェアやデータセンターの運用技術など、物理的に把握しやすい設備の温室効果ガス排出量削減には熱心に取り組んできました。

その取り組みについて、製造工程と運用工程という観点で製造業と比較してみると、以下のような形になります。

図2:製造業とソフトウェア業界の取り組みの差

図2:製造業とソフトウェア業界の取り組みの差

製造業における製造工程では、設備投資、生産技術の改良、生産プロセスの効率化といった取り組みが行われています。
一方で、ソフトウェア業界における製造工程とは、サーバやデータセンターなどの基盤開発と、ソースコード開発やそれを動かす環境を設計・開発・試験するソフトウェア開発がこれにあたります。
ソフトウェア開発においては、開発の進め方や既存部品の再利用率、作業者の働き方・環境などの要因次第で、実際の温室効果ガスの排出量が変わってくることが考えられ、今後はここを改善する取り組みが求められてくるでしょう。

ただ、実際に取り組みを進めていくにあたって、どのように、ソフトウェア開発の温室効果ガス排出量を見積もるか、という問題があります。
具体的なモノサシ(算出基準)が定められている製造業と異なり、ソフトウェア開発では、売上や人月(人の稼働量)に対し、原単位(単位当たりの排出係数)をかけて排出量を見積る方法が一般的です。この方法では、販売価格が同じソフトウェアであれば、内容や開発手法に関わらず、温室効果ガスの排出量は同じになることを意味しています。
これでは現実を反映していないばかりか、低排出な働き方や開発の努力をしても、排出量の算出に反映されず、一向に温室効果ガスの削減が進まない状態にあるといえます。

図3:ソフトウェア開発における温室効果ガス排出量計算

図3:ソフトウェア開発における温室効果ガス排出量計算

次に、運用工程を見てみましょう。製造業においては製品の利用などを通じて温室効果ガス削減に貢献することになります。自動車を例にすると、低燃費な車そのものや、アイドリングストップなどの「エコドライブ」をサポートする仕組み、などがこれにあたります。

一方、ソフトウェア開発における運用工程では、同じ機能を実現するソフトウェアであっても、運用時のハードウェア構成や冗長化の度合い、データ構造の実装方法、効率的なループ処理などにより、電力消費を低減する効果が得られることが知られています。ここでは闇雲に電力効率(温室効果ガス排出量)を高めればいいわけではなく、ソフトウェアの安定稼働(可用性)や処理速度など、その他の指標とトレードオフになることにも注意しつつ取り組むことが重要です。
こういった運用時の温室効果ガス削減はここ数年で注目が集まっているものの、まだ実践的な技術として浸透している状況ではありません。

図4:ソフトウェア業界における脱炭素の取り組み状況

図4:ソフトウェア業界における脱炭素の取り組み状況

NTTデータが目指す「ソフトウェアで実現するカーボンニュートラル」

このように、ソフトウェア開発という領域では、製造業の取り組みと比べると努力の余地があります。そこで、NTTデータではおもに下記二つの方向で、ソフトウェア領域における温室効果ガス削減のための取り組みを深めていきます。

  1. 1.ソフトウェア開発における温室効果ガス削減努力が反映される算出基準の策定
  2. 2.ソフトウェアライフサイクルを通した温室効果ガス削減技術/ナレッジの整備

1については、広く意見を集めて多様な観点を取り入れること、標準として広く認定されることが重要だと考えています。そこで、NTTデータは2021年9月にグリーンなソフトウェアの普及展開とその実現に向けたエコシステムの構築に取り組む「Green Software Foundation(以下、GSF)」に加盟しました。GSFはAccentureとGitHub、Microsoft、Thoghtworksによって2021年の5月に設立されたグローバルな非営利団体で、NTTデータは同団体に6社目、アジア初のSteering Member(運営メンバー)として参画しました。同団体での活動やメンバー企業との議論を通して、ソフトウェア開発における温室効果ガス削減の努力が正しく反映されるモノサシの検討を深め、その策定と普及展開を進めていきます。

2については、GSFで得られる成果はもちろん、自社のR&D活動として、グリーンなソフトウェアを開発するための技術やナレッジの収集、体系化を目指していきたいと考えています。具体的には、「ソフトウェア運用時の電力効率に関わる観点の例」に示したような技術の実用化を目指します。また、こうした取り組みは海外において特に関心が高いことも踏まえ、海外グループ企業やパートナーからも知見を集め、グローバルに活用できる技術体系としていきます。

図5:ソフトウェア開発時の電力効率に関わる観点の例

図5:ソフトウェア開発時の電力効率に関わる観点の例(※2)

NTTグループでは2021年9月28日に環境ビジョン「NTT Green Innovation toward 2040」を策定し、2030年度までに温室効果ガス排出量の80%削減(モバイル、データセンターはカーボンニュートラル)、2040年度までにカーボンニュートラルを実現することをめざしています。また、NTTグループでは、自らのカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを社会へ拡大し、日本政府がめざす2030年に2013年度比で温室効果ガスを46%削減するという目標、および2050年までのカーボンニュートラルの実現に貢献します。

NTTデータはITサービスプロバイダーとして、グリーンなソフトウェア開発とその普及展開に取り組むことでICT分野の温室効果ガス排出量の削減を進め、環境と調和したシステム、ICTサービスにより豊かで持続可能な社会を実現することに貢献していきます。

図6:NTT Green Innovation toward 2040

図6:NTT Green Innovation toward 2040

(※2)Energy efficiency:A new concern for application software developers, Pinto, G., & Castor, F. (2017). Communications of the ACM, 60(12), 68–75.

https://doi.org/10.1145/3154384

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