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2021年11月29日トレンドを知る

金融分野のグリーン推進・サステナブルファイナンス

「サステナブルファイナンス」をご存じだろうか。社会課題に対応し、社会をより持続可能な形に転換していくために資金を活用する金融の在り方だ。全世界的に気候変動に対する取り組みが急務な中、いま金融業界で注目を集めている。そしてサステナブルファイナンスの成功に、データの収集と分類が大きな鍵を握ることが見えてきた。本稿で詳しく紹介する。
目次

サステナブルファイナンスとは

世の中では「サステナブル」というワードを耳にする機会が増えてきていますが、金融の世界においては「サステナブルファイナンス」に注目が集まっています。「サステナブルファイナンス」とは、持続可能な社会を実現するための金融を指します。サステナブルファイナンスは、気候変動などの環境問題や、人権問題や貧困などの社会問題といったグローバルの課題に対応し、社会をより持続可能な形に転換していくために、資金を活用するものです。2030年までに国連の持続可能な開発目標(SDGs)を達成するには、現在の投資の流れを倍にし、毎年5兆~7兆USドルの資金が必要と言われており、持続可能な社会の実現のために金融は重要な役割を果たすと言えます。

サステナブルファイナンスの種類にはグリーンファイナンス、ソーシャルファイナンスなどがあります。グリーンファイナンスは空気や水・土の汚染除去、温室効果ガス排出量削減、エネルギー効率改善、再生可能エネルギー事業への投資など、環境に良い効果を与えることを目的とした金融を指します。ソーシャルファイナンスは貧困や環境などの社会問題の解決や地域活性化など、社会的・公共的な利益を生み出すことを目的とした金融です。

サステナブルファイナンスの金融手法の代表例をいくつか紹介します。

ESG投資:Environment(環境)、Social(社会)、Governance(統治・ガバナンス)を十分に加味しつつ優れた経営を行っている会社に投資をする手法です。

サステナブル融資:環境や社会問題に影響を及ぼすと思われる事項につき、一定のポリシーに従い融資を行うことを指します。民間金融機関による大規模なプロジェクト融資は、赤道原則(※)に基づくことも多いです。

SDGs債:環境・社会へのポジティブなインパクトを有し、スタンダードとされる諸原則に沿った債券や、事業全体がSDGsに貢献すると考えられる機関が発行する債券を指します。

(※)

金融機関が大規模な開発や建設のプロジェクトに融資を実施する場合に、プロジェクトが自然環境や地域社会に与える影響に十分配慮して実施されることを確認するための枠組み。

市場規模

ここ数年、サステナブルファイナンスの市場規模は急拡大しています。特にグリーンファイナンスの拡大と注目度の高さはめざましく、今後もこの傾向は続くでしょう。以降はこのグリーンファイナンスを中心に話を進めます。

図1:市場規模の推移(国内の環境産業)

図1:市場規模の推移(国内の環境産業)

図2:市場規模の推移(グリーンファイナンス)

図2:市場規模の推移(グリーンファイナンス)

企業にとってのグリーンファイナンス

グリーンの対応をしないと社会的な評判(レピュテーション)やかかわっているサプライチェーンから除外されるリスクなどを踏まえると、グリーンの取り組みを推進する必要があり、サステナブルファイナンス(グリーンファイナンス)はその対応を後押しする強力なツールとなります

メリット:新規事業へのチャレンジ。ステークホルダーとの関係性向上。レピュテーション・ブランドイメージの向上。資金や人材の獲得。

デメリット:一定の手間とコストが必要。本業とのバランスが難しい。すぐに利益化できない。

グリーンファイナンスにおける金融機関(銀行)の具体的な役割

グリーンファイナンスにおける銀行の役割として、全国銀行協会は以下の3点をあげています。

資金動員:気候変動への対応(投資等)に必要な資金の動員。

リスク管理:銀行が気候変動に伴い被り得る損失(リスク)を特定、計量化し必要な対応を行う(既存の貸出資産に係る気候変動リスクの分析・管理や貸し手としてのガバナンス発揮等)。

開示:ステークホルダーの目線の高まりを受けた、銀行の気候変動に関する開示の充実。

課題とビジネスチャンス

企業や金融機関にとっての最大の課題は、膨大なデータの収集と分類です。ここで言うデータとは、一般公開されているオープンデータはもちろん、あらゆる業種や業態の企業活動データや気候変動データ、CO₂排出量に関するデータなど、さまざまなデータを指します。現状これらのデータは多様な形式でいろいろなところに散在しているため、誰もが一定のルールに基づき扱うのは難しい状況です。これらを画一的なデータとして一カ所に集積し、企業や金融機関に提供や収集できる仕組みづくりができれば、企業や金融機関のメリット、そしてビジネスチャンスになり得るでしょう。
例えば、金融機関は融資先企業の評価指標として、CO₂排出量をインプットとし事業性を評価できます。個人向けには購入データから該当商品によってどれほどCO₂排出しているかを数値化し伝えるサービス等が考えられます。
もう一つ金融機関目線で考えられる課題は、「顧客企業のグリーン化」です。特に、日本企業の大多数を占める中小企業のグリーン化が課題でしょう。例えば、中小企業のうち7~8割の企業が受発注をファックスでやりとりしており、紙への依存度が高いままです。紙を使い続ける限りCO₂排出量は減らず、社会全体のグリーン化も進んでいきません。解決にはデジタル化が必須と言えます。金融機関主導で顧客企業のデジタル化を推進し、直接的に支援することで、新たに得られるデジタルデータから金融機関にとっての新しいビジネスチャンスも生まれるでしょう。

NTTデータとして提供できる価値

NTTデータの強みである、多岐にわたる業種や業態横断の顧客基盤、大規模システムの安定運行実績やノウハウ、デジタル化ノウハウとスキルを活かし、ステークホルダーへのCO₂排出量に係るデータプラットフォーム構築や企業のデジタル化を通じて、グリーンイノベーション、ひいてはサステナブルな社会の実現に貢献していきます。

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