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2022年2月1日技術ブログ

アジリティを高めるノーコードAIとAmazon SageMaker Canvas

ビジネスや開発のアジリティを高める手段として、ノーコード/ローコードツールが注目されている。
本稿ではノーコード/ローコードツールの概要や動向をまとめ、ノーコードでビジネスにAIを導入できるAmazon SageMaker Canvasを紹介する。
目次

ノーコード/ローコードツールとは

昨今のビジネスはVUCA時代とも呼ばれ、将来の予測が非常に困難です。ビジネスのアイディアをつめ込んだ自社のサービスやプロダクトがユーザに受け入れられるとは限りませんし、開発に時間をかけている間にユーザのニーズが変わってしまう可能性もあります。

そのようなリスクへの対処方法として、アジャイル(Agile)やDevOpsが注目されてきました。ビジネスの価値を見出せる最小のプロダクトをいち早くリリースし、ユーザの声を聞きながら軌道修正とリリースを繰り返しながら価値を高めていく手法です。

さらにアジリティを高める方法として、ノーコード/ローコードツールを利用した開発が注目されています。「DX白書2021」(※1)によると、ノーコード/ローコードツールは、「プログラミング言語を使わない、あるいは一部簡単なプログラミングでシステム実装を可能とするツールである」と紹介されています。前者がノーコードツールであり、後者がローコードツールです。両者の違いはプログラミングの要否であり、総称して「ノーコード/ローコードツール」と呼ばれることが多いようです。

ノーコード/ローコードツールには下記のようなメリットとデメリットがあります。

メリット

  • 開発ボリュームが減って開発期間やコストを抑えられるので、アイディアの着想から市場への投入までの時間を短縮できる
  • プログラミングが不要なので、エンジニアを頼らずにビジネス部門の担当者でもPoC(概念実証)や開発を進められる

デメリット

  • ツールの想定するユースケースに適用範囲が限定される
  • ビジネスが拡大した際にツールのユースケースに合わない部分が出てくる可能性がある

ノーコード/ローコードツールはシステム開発における「銀の弾丸」ではありませんが、うまく活用できればアジリティを持ってサービスやプロダクトの開発ができ、ビジネスの成功確率を高められます。

ノーコード/ローコードツールは日本での認知度や活用事例はまだそれほど多くありませんが、海外ではビジネスに積極的に活用されています。
「DX白書2021」から引用した下図によると、「全社的に活用している」「事業部で活用している」と回答した企業の割合は、日本の15.6%に対して米国では45.8%であり、半数近い企業がビジネスで活用していることがわかります。

図1:ノーコード/ローコードツールの活用状況(「DX白書2021」(※1)より引用)

図1:ノーコード/ローコードツールの活用状況(「DX白書2021」(※1)より引用)

(※1)「DX白書2021」

https://www.ipa.go.jp/files/000093706.pdf

ノーコードAIツール「Amazon SageMaker Canvas」

AWSの最大のイベントであるAWS re:Invent 2021で、「Amazon SageMaker Canvas(以下、SageMaker Canvas)」(※2)というAI(人工知能)のノーコードツールが発表されました。
SageMaker Canvasは、AI開発で必要となるモデルの構築・評価・デプロイ(予測)を自動化してくれるサービスです。SageMaker Canvasを利用すると、開発期間やコストを削減できます。

ここではSageMaker Canvasについて紹介したいと思います。

図2:SageMaker Canvasの画面イメージ

図2:SageMaker Canvasの画面イメージ

下図はSageMaker Canvasの利用イメージです。手元に表形式の構造化されたデータがあれば、SageMaker Canvasを使ってAIによる予測が簡単に行えます。

図3:SageMaker Canvasの利用イメージ

図3:SageMaker Canvasの利用イメージ

下図は「機械学習ワークフロー」と呼ばれ、AIの開発に必要なタスクの全体像を示したものです。それぞれのタスクを実施するためには専門知識が必要であり、データサイエンティストや機械学習エンジニアの力が必要となります。

図4:機械学習ワークフローとSageMaker Canvasの実施範囲

図4:機械学習ワークフローとSageMaker Canvasの実施範囲

SageMaker Canvasは上図に示した範囲をノーコードで自動実行してくれます。利用手順は下記の6ステップだけであり、さらに画面操作のみでAIの専門知識を持たないビジネス部門のメンバでも手元にあるデータを使って、AIを使った予測ができます。

  • Step0:事前準備(学習や予測対象データの準備、AWSの設定など)
  • Step1:SageMaker Canvasへのログイン
  • Step2:データのインポート
  • Step3:モデルの構築
  • Step4:モデルの評価
  • Step5:予測

SageMaker Canvasは、下記のようなビジネスシーンに活用できます。

  • ユーザの離反を予測して、利用を継続してもらうためのインセンティブを検討する
  • 不正を検知して、サービスやプロダクトのセキュリティを高める
  • 売上を予測して、目標とのギャップの可視化と対処を検討する
  • 在庫量を予測して、発注量をコントロールする

テクニカルな観点では、SageMaker Canvasを使って下記のことが実現できます。

  • 学習データの分析(統計情報や欠損値の割合の分析など)
  • 下記の学習アルゴリズムを用いたモデル構築
    • 回帰
    • 分類(二値・多値)
    • 時系列予測
  • 構築したモデルによる予測(推論)
  • モデルの判断根拠の可視化(説明可能なAI)

監視カメラの動画像を使って人物を特定したいなどのユースケースには対応できませんが、SageMaker Canvasを使って回帰、分類、時系列予測の問題を解くことができます。

AIによる予測は中身がブラックボックス化されて、判断根拠の曖昧さが問題になりがちです。SageMaker Canvasは「説明可能なAI(Explainable AI:XAI)」と呼ばれるモデルの判断根拠を可視化する機能が備わっています。予測に影響を与える重要なカラムの順位や各カラムの値が予測に与える影響を可視化できるので、業務知識をもとにした妥当性の確認やステークホルダーへの説明も可能です。

図5:モデルの判断根拠の可視化

図5:モデルの判断根拠の可視化

(※2)「Amazon SageMaker Canvas」

https://aws.amazon.com/jp/sagemaker/canvas/

おわりに

今回はAIをノーコードでビジネスに導入できるSageMaker Canvasを紹介しました。

NTTデータでは、顧客体験の向上を実現するためのサービスデザイン手法やアジャイル開発の方法論をまとめたソリューション群である「Altemista」を提供しています。Altemistaでは、OSSやAWSをはじめとするクラウドサービスで提供される機械学習ツール群を組み込んだMLOpsの導入サービスを提供しています。

図6:MLOpsサービスが提供するツールチェーン((※3)より引用)

図6:MLOpsサービスが提供するツールチェーン((※3)より引用)

NTTデータでは、本サービスを通じてお客様のビジネスの価値向上に貢献していきます。

(※3)「商用AIサービス創出を短期間で実現し、継続的に改善を行うMLOps導入サービスを提供開始」

https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2020/093001/

- NTTデータは、「これから」を描き、その実現に向け進み続けます -
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