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2022.2.17特集

災害に立ち向かう デジタル化でつながる防災

地震や台風、豪雨。毎年のように、多くの地域が災害に見舞われている日本。しかも、その件数は年々増加し、被害も激甚化、大規模停電による広範囲に渡る影響なども発生しています。そんななか、デジタル技術によって防災はどう進化するのか。NTTデータが起ち上げた「つながる」デジタル防災プラットフォーム『D-Resilio』の取り組みとともに紹介します。

目次

増加する自然災害に対応するには「レジリエンス」の考え方が必要

日本は毎年、どこかの地域が災害に見舞われ、大きな被害を被っています。特に最近はその傾向が顕著。自然災害の発生件数は、40年前と比較して3.5倍にも増えたといわれています。都道府県や市町村が、自衛隊を始めとした国の機関に対して応援を要請し、災害救助法が適用されるケースも増加の一途を辿っています。

意外かもしれませんが、災害救助法が適用された市町村の数は、2011年の東日本大震災よりも、2018、2019年に起きた風水害のほうが多かったという事実があります。これは、災害が広域化そして頻発化しており、誰もが、いつでもどこででも大きな災害に見舞われる危険にさらされている証左とも言えます。

国内の被害シナリオで最大級の規模とされる災害は、被害額220兆円、死者32.3万人が想定される「南海トラフ巨大地震」です。マグニチュード8~9クラスの地震の30年以内の発生確率が70~80%と予測されています。

図1:確実にやって来る巨大災害

図1:確実にやって来る巨大災害

また、豪雨や台風、それに伴う土砂災害や河川の氾濫も増えています。土砂災害の発生件数は1990年代に比べて1.5倍になっています。風水害の被害は、被災地の住民の生活に著しい影響をおよぼすだけではなく、被災した場所によっては、日本の産業や経済活動に深刻な影響を与えます。

一例として、堤防決壊時の影響を挙げてみます。堤防が決壊した際、浸水域に浄水場があった場合、機能が停止します。その浄水場からの水を冷却に用いる火力発電所があった際は、発電を止めざるを得ない場合があります。仮に広域に停電が続いた場合、大電力を必要とする周辺の工場の操業も止まり、工業製品の生産が滞ることもあり得ます。グローバル経済が進む今、サプライチェーン上の一部が停止すると、国内だけでなく世界の経済活動が大きく混乱することは、東日本大震災やタイ、台湾の洪水でも証明されています。

残念なことに、少子高齢化が進む日本において、災害の予防と対応、復旧、復興にかける自助力や共助力、公助力の低下が心配されています。人口に占める高齢者層の割合の増加や自治会の加入率の低下、公務員の職員数の削減傾向と、支えていく人的資源は脆弱化している一方です。そんな状況の中、今後起こりうる災害にどう備えていけばよいのでしょうか。

まず災害に対する備えにかかる費用を、社会や企業、個人の長期的な発展のためのライフサイクルコストとして捉えることが必要です。加えて、危機管理の観点が重要になります。防災、すなわち予防の観点に留まらず、災害が発生したときにどう対処するのか。代替や適応の観点を取り入れ、国や地域、企業活動の持続可能性を保つ「レジリエンス」を高めていかなければなりません。

レジリエンスは、「強靭性、強靭化」という日本語に置き換えられています。災害は頻繁に、そして確実に起こるもの。対応するのは国や自衛隊、自治体、警察・消防等の機関等だけでなく、インフラ事業者や医療機関、企業も一緒です。その際は、事前の準備や計画、活動で大幅に被害を抑制していくといった発想の転換が必要になってきます。既に、治水領域においては、従来の「洪水を起こさせない」というハード整備から、街ぐるみで「流域治水」へと転換し、氾濫が起きることを前提に、起きても被災を最小化し、復旧・復興を早める方策へと舵を切っている河川流域もあります。

防災をデジタル化して、情報がつながることで被害を軽減させる

「レジリエンス」のある社会の実現に挑戦するのが、デジタル防災プラットフォーム『D-Resilio』です。NTTデータでは長年に渡り、防災に関わる事業を営む多くのお客様に対して、さまざまな角度からサービスを提供してきました。それら取り組みを集約し、デジタル防災プラットフォームとして起ち上げました。
災害を意味するDisasterのDとDigitalのD、そしてレジリエンスの語源であるResilioから名付けました。DとResilioの間の「-(ハイフン)」には、データやソリューションが「つながる」という意味を込めています。

図2:レジリエンスな社会の実現に挑戦するNTTデータのD-Resilio

図2:レジリエンスな社会の実現に挑戦するNTTデータのD-Resilio

概要を簡単に説明すると、災害対策業務で必要な「(1)情報収集→(2)意思決定→(3)応急対応」の各フェーズにおいて、ドローンや人工衛星、さまざまなセンサー、IoTデバイスなどからのデータ収集やAI解析技術、予測技術によるデータ分析などNTTデータの持つデジタル技術を適用し、対応を支援します。

さらに、自治体や医療機関、保健所などの関係機関とリアルタイムな情報連携を行うことで、災害対応に関わる関係者を支援。災害の広域化・複合化に迅速に対応し、二次災害の防止に貢献します。

分かりやすいように、『D-Resilio』が提供するソリューションのひとつを例に挙げて説明します。広域にわたる大規模災害が発生したとき、複数の自治体同士やインフラ企業に設置される災害対策本部(EOC:Emergency Management Center)をつなぎ、組織を越えた情報共有プラットフォームを提供する仕組み、EOCのFusion(融合)です。

EOCのFusionは、以下の要素から構成されています。

  • 衛星から撮影した被災地の画像をAIで分析した「SpaceVIEW」
  • 自律航行ドローンで現地の映像を収集する「災害自動航行DroneVIEW」
  • 被害情報を地図上で可視化する「災害地図COP(Common Operational Picture)」
  • 災害情報の推移や変化を数値で視覚的に捉えられる「危機災害ダッシュボード」
  • リアルタイムで情報を共有できるプラットフォーム「災害対策本部(EOC)アプリ」
  • 関連機関と接続して外部からの諸情報を収集する「災害データレイク」

図3:組織の災害対策本部に活用されるD-Resilio

図3:組織の災害対策本部に活用されるD-Resilio

これら、6要素が有機的に連携し、さらに複数の災害対策本部をつなげることで、組織を超えた情報共有プラットフォームとなります。このように、防災がデジタル化し、つながることで何がどう変化するのか。次は連携ユースケースを紹介します。

図4:D-Resilioの連携ユースケース(被災自治体~被災住民)

図4:D-Resilioの連携ユースケース(被災自治体~被災住民)

まず、住民避難の意思決定についてです。衛星画像やドローンを活用し、家屋や土砂崩れ、浸水状況などを確認。また、NTTデータとTwitter社が提携したサービスである「Twitter全量データ分析」を活用し、被害地域付近の住民のリアルタイムの情報も収集。収集した情報を「危機災害ダッシュボード」や「災害地図COP」で可視化することで、避難の必要性を判断できます。

また、避難の情報を地域住民に伝達する仕組み「減災コミュニケーションシステム」も合わせて提供しています。従来の屋外スピーカやタブレット端末に加え、普及率や伝達性の高い媒体である住民所有のスマートフォン・携帯電話の端末や、SNSやホームページなどとも連携。一度の操作で多様な伝達手段へ情報配信が可能で、作業負担の軽減と確実な情報伝達を両立します。

『D-Resilio』のソリューションでもある『EYE-BOUSAI』は、気象・地震・津波・観測情報、官民が保有する危機管理情報などの情報をリアルタイムに集約・見える化するクラウド型の総合防災情報システムであり、多くの都道府県、基礎自治体で導入されています。これがマイナンバーと組み合わさることで、被災した住民の方が、行政から速やかに罹災証明を受け、契約する損害保険会社から保険金を迅速に受け取れる社会が来ることも想定されます。

また自然災害で広域に発生した電力障害などにおいては、自治体と電力会社のシステム連携が重要です。『D-Resilio』により、被災状況の相互共有や優先復旧場所のすり合わせ、復旧場所にたどり着くための道路の優先復旧の意識合わせが可能になります。これによって、全体として的確かつ効率的な作業が可能になり、被災地全体のスピーディーな復旧が実現します。これは被災住民の方々の1日も早い生活の回復、つまりはレジリエントな社会の形成へとつながります。

さまざまなソリューションによって構成される『D-Resilio』

ここまでは、『D-Resilio』が実現する社会を全体的に説明しました。ここからは、防災業務に活用できる個別のソリューションを「(1)情報収集→(2)意思決定→(3)応急対応」、それぞれのフェーズに分けて紹介します。

図5:D-Resilioが提供するサービス

図5:D-Resilioが提供するサービス

まず、(1)情報収集のフェーズからです。

情報収集の事例1つ目は、気象情報から災害を警戒すべき情報を提供するソリューション『Halex(ハレックス)』。これは最小1kmのメッシュ単位で降り出す雨量を予測することができ、区画単位の累計雨量から土砂災害や浸水害、河川氾濫の危険度を判定、行政や住民に河川氾濫や土砂災害、浸水などのリスクを喚起します。

次は、大手電力会社3社と弊社が出資して設立し、多くの企業や団体が参加される『GDBL(グリッドデータバンク・ラボ)』と、その研究事例です。家庭の電気使用量を計測する電力メーターは「スマートメーター」とも呼ばれており、センサーが収集する電力の使用量や使用時間帯といった統計データから、電力の供給情報を広域かつ詳細に把握できます。
これを活用すれば、災害時における避難計画の策定、あるいは停電エリアや停電からの復旧エリアの迅速な把握が可能です。また、要見守り者の安否確認などにも活用できるように研究が進められています。

そして、3つ目は最高精度のデジタル3D地図サービス『AW3D』です。これは、人工衛星が地球全土、全世界エリアを高解像度で撮影し、そのデータを提供します。「AW3D」が使用する衛星は二種類。ひとつは、見えたものをそのまま映す光学式高解像度カメラを搭載している衛星。もうひとつは、雲や夜中などの撮影条件に左右されずに情報を取得できる合成開口レーダーを搭載した衛星です。これらの性質の異なる画像に合わせて、別のセンサーから取得したリアルデータと組み合わせることで、被災前後の差分抽出による被害エリアの特定や、規模の判断、事前の広水域の浸水シミュレーションへの活用が可能となります。

次に、(2)意思決定と(3)応急対応のフェーズです。このフェーズでは、集めた被災状況や規模、箇所を集約そして分析し、また避難指示や復旧優先順位の判断、その後に必要となる対応や影響への備えを指示する災害対策本部の活動が重要となります。

先ほども紹介した『EYE-Bousai』は、都道府県様や自治体様が行う被災情報の収集、避難指示や活動の意思決定、国への報告、被災者の支援といった災害対策本部の活動を支援するサービスで、複数の都道府県に提供しています。

また『EMIS』は、国が運用する広域災害救急医療情報システムで、NTTデータが運用のお手伝いをしています。災害時の医療機関の状況や患者の受け入れ、DMATの派遣など、災害医療情報を全国で共有。救急機関や医療機関がスムーズに患者対応ができるようになることを目的に利用されています。今後は、『D-Resilio』の各サービスと有機的に連動することにより、さらなる社会貢献に活用できると考えられます。

日本全体のレジリエンスを高めるために「つながる」を推進していく

さまざまな機能を持つデジタル防災プラットフォーム『D-Resilio』は、共通的なプラットフォームを目指しています。そのために必要なのは、他の機関や事業者とのサービス・データ連携を果たすこと。より高い視座を持ち、事業者や団体の垣根を越えてつながる社会の実現を目指し、今後もオープンに連携できる形を模索していきます。

もちろん、さまざまな標準化が必要であり、ビジネスの壁を乗り越える必要があるでしょう。それでも私たちは歩みを止めず、「つなげること」を進めていきたい。それこそが、広域化そして複雑化する災害に対して、日本全体のレジリエンスを高めていく手段だと信じています。そういった未来を実現するために、さまざまな機関やベンダーの皆さまと共に推進していきたいと考えています。

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