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2022.4.22特集

データ分析技術を新しいしくみづくりにつなげる、データサイエンティスト

生活者と企業・行政が互いの信頼に基づき、生活者のデータを企業・行政に提供し、サービスへ反映させる。この循環から生活者のウェルビーイングを実現する社会『Smarter Society』を、NTTデータは目指している。
生活者視点で社会全体の新しいしくみや価値のデザインに取り組むNTTデータ ソーシャルデザイン推進室 部長の稲葉陽子は、入社以来、社会課題に関わる多様な分野でのデータサイエンスやAI技術の開発に従事してきた「データサイエンティスト」だ。
上流からの現場連携にこだわってきた稲葉は「データサイエンティストが挑戦できる機会や分野が、圧倒的に広がっている」と語る。新しい社会でデータサイエンティストが担う価値と可能性に迫る。

目次

地球惑星物理学のデータ分析から始まったデータサイエンティストの道

入社以来、データサイエンスに携わってきた稲葉。きっかけは、大学時代に専攻した地球惑星物理学だ。研究の一環として観測データを分析していたという。「自然科学の研究では、事象を理解するために、仮説を作り分析と検証をします。データ分析によりいろいろなことが見えてくることがとても面白くて、社会人になっても続けたいと考えていました」と述懐する。念願が叶い、NTTデータのR&D部門である技術開発本部でデータ分析技術を磨くこととなった。

技術開発本部には、二つの重要な役割がある。ひとつは、基盤技術やセキュリティ、データ分析などの技術テーマに沿った研究開発。もうひとつは、事業部のビジネスを技術ベースで支援して、お客さまのビジネスに貢献することだ。

稲葉も、バイオインフォマティクス(ゲノム解析など、生物科学分野でのデータ活用)やヘルスケア、エネルギーなど、多種多様な分野でのデータ分析に従事してきた。なかでも最も熱意を傾けたのが、「AIを適用した制御ロジックを組み込んだアクティプ制振装置」の開発だ。深層強化学習という手法により最適な振動制御を学習したAIが、地震の揺れに応じて建物内部のダンパーを電動アクチュエーター(※1)で制御するという。

「深層強化学習とは、強化学習にディープラーニングを組み合わせた最先端技術です。アルファ碁で活用されて有名になったのですが、当時は使い方が限定されていた技術でした。その使いどころを拡大できたことは意味があったし、自分のなかでも頑張ったと言える事例です」

参考:深層強化学習で超高層ビルの地震に備える
https://www.nttdata.com/jp/ja/data-insight/2018/030901/

(※1)

電気・空気圧・油圧などのエネルギーを機械的な動きに変換し、機器を正確に動かす駆動装置のこと

最先端技術と社会からの要請をつなぐ

現在、稲葉はソーシャルデザイン推進室の部長として、『Smarter Society』の実現に取り組んでいる。目指すのは、生活者と企業・行政の互いの信頼に基づく、生活者からのデータ提供と、そのデータを元にした企業・行政によるサービスへの反映。この循環が創り出す生活者のウェルビーイングを実現する社会だ。

稲葉は『Smarter Society』におけるデータサイエンティストの必要性について、こう述べる。

「世の中のデータをうまく活用したスマートなサービスの提供が期待されている『Smarter Society』。IoTなどをはじめとして、実現に必要な最先端の技術の開発は進んでいます。私たちデータサイエンティストには、この技術と社会からの要請をしっかりと結びつけて、実際のサービスとして提供する“つなぐ役割”が求められています」

そのためには、どういったサービスが必要なのかを根本から考え、シナリオを作成する能力が欠かせないという。

「データ分析技術による予測や最適化だけで終わらず、どのようなデータを集めて分析すれば、より心地よいサービスにつながるのか、そのデータを所持している公的機関や企業はどこなのか、こういったことまで見据える必要があります」

ソーシャルデザイン推進室 稲葉 陽子

ソーシャルデザイン推進室
稲葉 陽子

稲葉は、技術開発本部に所属していた時代、常日頃からメンバーに伝え続けたことがある。それは、自らの目で現場を見て、現場の人と話をすることだ。

データサイエンティストと聞けば、デスクワークで一日中、パソコンと向き合っている印象を持つかもいるかもしれない。しかし、「お客さまの業務やその先のエンドユーザーを知らないと、分析のシナリオは書けません。現場の雰囲気を感じ、生の情報に触れることが重要。お客さまと接点を持つことでさまざまな課題を把握でき、スコープが広がります」と稲葉は指摘する。

稲葉が現場にこだわり、お客さまのビジネスにおける根本を見据えるのには理由がある。実は、稲葉が若手だった頃、データサイエンスは今ほど注目されていなかった。

「業務内容は、技術開発本部での技術開発がメイン。対象が予測技術であれば、その精度を高めることに特化して、日々、研究していました」と振り返る。しかし、ある上司との出会いがきっかけに、現場での活用、そしてシナリオの重要性に気付かされたという。

「その上司の信条は、現場で使ってこその技術、というもの。お客さまの業務を改善したり、より良いサービスへと進化させたりするためには、お客さまの課題やリスクを正しくつかまないと、方向性を誤り、改善や進化も小さなものに留まってしまいます。だからこそ、全体を見てシナリオを作成することが大事だと、口酸っぱく言われたことを思い出します」

データサイエンスやAI技術は世の中でも注目されており、期待値も高い。それ故、技術研究も日進月歩で進んでいる。その技術に追随することは、データサイエンティストの義務だ。しかし、稲葉は「技術を追いかけるだけでは、いずれ立ちゆかなくなります。データ分析技術の進化は、誰でもデータ分析を実施できるようなコモディティ化にも向かっています。データ分析自体はあらゆる人ができるようになってくると、データサイエンティストの価値が問われるはずです」と危惧する。

その価値こそ、シナリオを作成する能力である。「NTTデータのデータサイエンティストに期待されることは、上流に対する分析と設計ができること。それが価値であり強みです」と稲葉。これはまさに、NTTデータが育成を進めるアーキテクト人財(※2)、そのものと言えるだろう。NTTデータのデータサイエンティストには、従来の価値観にとらわれず、物事を多面的にとらえ、社会の「あるべき姿」を描くとともに、その具体的なしくみをデザインし、実現を進めていくことが求められているのだ。

(※2)

NTTデータでは、高度なデジタル技術に加え、ビジネスを深く理解し、デジタル技術の活用を通じて新しい社会の仕組みを創出する人財を『アーキテクト』ととらえ、その育成に取り組んでいる。

未来の技術に携われる環境

今、データサイエンティストはさまざまな業種業界で注目され、引く手あまたの職種だ。NTTデータならではのやりがいはどこにあるのだろうか。稲葉はまず、対象分野の広さに触れた。

「NTTデータは、公共や金融、法人といった多様な業種のお客さまを抱えています。それぞれに対してデータ分析を適用する案件が生じるので、かなり幅広い分野に技術を提供する機会があるでしょう。これは、大きなやりがいであり仕事の面白さになります」

もうひとつのやりがいは、研究開発が進む最先端の技術が身近にあり、直に携われることをあげた稲葉。その一例として、デジタルツインがある。
デジタルツインとは、サイバー空間に構築された現実世界のデジタルコピーのこと。ここで未来予測やシミュレーションを実施して最適化の処理を行い、結果を現実世界にフィードバックする。NTTグループが研究を進める『IOWN(アイオン:Innovative Optical and Wireless Network)構想』(※3)を構成する要素のひとつでもある。
「シミュレーションや最適化はデータサイエンスそのものです。そういった意味では、データサイエンティストが活躍すべき分野といえます」

また、量子コンピュータの出現により、データサイエンティストの活躍の場は、さらに開かれる可能性がある。
データサイエンスの分野において、往々にして問題になるのがデータ分析の処理速度だ。そこに圧倒的な処理速度を誇る基盤技術を搭載している量子コンピュータを用いることで、速度の問題が解決されることが期待される。

「NTTデータも量子コンピュータの技術開発に積極的です。このような最先端技術に携わることは、なかなかできることではありません。そういった部分も、NTTデータのデータサイエンティストとして働くメリットでありやりがいと言えるでしょう」

デジタルツインや量子コンピュータといった最先端技術に取り組むNTTデータだが、稲葉は「より前進するためには、競合他社とも手を取り合う必要がある」と指摘する。すでに量子コンピュータの分野では日立や富士通、NEC、IBM、また量子コンピュータを専門とするD-Waveやフィクスターズなどとの横のつながりが生まれているそうだ。

「量子コンピュータは完全にシーズの技術。使える場所や環境を開拓していかなければ、技術開発もつながらなくなります。そこで、使える場を増やすためにも、競合他社同士で手を組みながら開拓しているところです」

結果として、データサイエンティスト自身もNTTデータだけに閉じず、広い世界での視野や関わりで仕事に取り組むことができ、スキルアップにもつながっているという。

データサイエンスの技術が進化し、楽しく挑戦できる時代

最後に稲葉は、自らが見据えるアーキテクト人財として、これからのデータサイエンティスト像を語る。

「お客さまに質の高い価値を提供するためには、データ分析とアルゴリズムだけにこだわるのではなく、量子コンピュータなど、あらゆる基盤技術を駆使して提供する必要があります。そのためには、データサイエンスだけにとらわれず、高い視点で幅広く技術を習得する意欲が欠かせません。その上で、先ほども触れたシナリオを作成するという意識でお客さま業務をしっかりと把握し、上流から関わる必要があります」

稲葉は、バイオティクスからヘルスケア、エネルギーなど、さまざまな業種業態に携わってきた。その度に業務内容や専門知識を学び、獲得してきたという。「本当に大変でした」と苦笑いするが、だからこそ言えることがある。

「自分の世界や知見が広がり、すごく面白かったですね。私が入社したときと比べると、データサイエンスの技術は圧倒的に進化し、できることの幅も広がっています。それに伴い、お客さまからの期待もかなり高まり、引き合いも多くなりました。今はまさに、データサイエンティストが、一番、楽しく挑戦できる時だと思います」

データ分析だけに留まらず、お客さまの事業に寄り添い、最先端の技術も活用しながらビジネスの上流からシナリオを作成する。NTTデータには、これからの時代に求められるデータサイエンティストの働き方がある。

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