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2023年1月17日展望を知る

デジタルテクノロジーによる顧客体験の向上と変革

お客様のデジタルシフトに対応するため、データとテクノロジーを活用した顧客体験価値(CX)の向上に取り組む企業が増加している。本稿では企業全体での顧客体験価値の変革を支援するCXイノベーションの取り組みと、高付加価値ユーザーを効率的に獲得する取り組みを紹介する。
目次

1.テクノロジーを活用したCX向上が重要となる背景

昨今、お客様のデジタルを活用した生活や働き方への移行(デジタルシフト)はますます加速しています。お客様はスマートフォン、インターネットをはじめとするオンラインに常時接続しながら、オンラインとオフラインのさまざまなタッチポイントを絶えず行き来するようになってきています。そのため、以前よりもその時、その場所で自分にあった体験・サービスを期待するようになりました。国内BtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模の推移を見ても、2020年以降のCOVID-19の感染拡大の影響を受けた旅行販売を含むサービス系分野を除いて、市場規模は増加しており、デジタルシフトが見て取れます。

図1:国内BtoC-EC市場規模の推移 (出所)経済産業省「令和3年度電子商取引に関する市場調査」

図1:国内BtoC-EC市場規模の推移
(出所)経済産業省「令和3年度電子商取引に関する市場調査」

デジタルシフトは、お客様の3つの変化を加速させています。1つ目が価値観、生活/行動様式の多様化です。2つ目はサービス・商品に求めるニーズの変化です。特に、オンラインでの購買・利用ニーズの増加や、所有から利用/シェアへのシフト、モノへのニーズが満たされてきたことによる魅力的な体験への期待の高まりが挙げられます。近年は社会課題やSDGsへの関心も高まりつつあります。3つ目は選択権の拡大です。以前に比べ、お客様の得られる情報や選択肢が圧倒的に増加し、お客様は必要なサービスを取捨選択し、容易に解約できるようになりました。この点はネットショッピングやサブスクリプション型サービスを思い浮かべると容易に想像できるはずです。企業はこれらのお客様の変化に対応できないと、提供するサービスとお客様とのニーズの間に不一致が生まれ、ゆくゆくは淘汰される恐れがあります。

企業がお客様から継続的に選ばれ続けるためには、デジタルテクノロジーを使いこなし、お客様一人ひとりのニーズに応える優れた顧客体験価値(CX)を提供し続けることが必要不可欠です。サービスの提供と利用において、企業はお客様に求められる価値を提供し、お客様はその価値と企業への信頼に基づいてサービスを利用するという関係にあります。そして企業がCXを向上していくためには、お客様接点とお客様のサービス利用を通じて蓄積したデータを活用して、お客様理解を深め、お客様一人ひとりにパーソナライズされた魅力的なCXを提供・改善し続けるサイクルを回していくことが必要となります。このような継続的なCX向上サイクルを、人間の力を模倣・スケールさせるさまざまなデジタルテクノロジー(AI/IoT/ロボティクス/複合現実など)を駆使して確立、高度化することが、今後の競争優位のカギとなります。

2.CX向上に向けた課題と対応策

継続的なCX向上サイクルを確立し、お客様一人ひとりのニーズに応える優れたCXを提供できる企業になるためには、短期的、断片的な打ち手に留まらず、企業としてお客様に提供すべき体験価値を起点とした部門横断的な変革活動が必要となります。4つのポイントごとに、企業が抱える課題と対応策について紹介します。

図2:お客様起点での部門横断的な変革活動の全体像

図2:お客様起点での部門横断的な変革活動の全体像

(1)お客様を起点とした体験構想

構想策定では、主に以下3つの構想を策定することが必要となります。

  • 1.これまで以上にお客様の困りごとを解決できる体験価値・サービス
  • 2.継続的なCX向上サイクルを中核とする企業変革グランドデザイン
  • 3.CX提供を通じた顧客生涯価値(LTV)向上戦略

その際には、大きな構想を、お客様にとってのあるべき体験価値、実行施策に具体化できずに取り組みが進まない、全体戦略がなく部分最適の状態で各種施策が進んでしまうといった課題がよく挙げられます。こういった事態にならないようにするためには、ユーザリサーチを通じてターゲット顧客の解像度を高めるとともに、テクノロジー理解に基づく実現性のある体験価値を具体化することと、お客様を起点とする部門横断的な視点で、企業変革の全体像と、実行性のある具体的な施策・ロードマップに落とし込むことが必要となります。

(2)継続的なお客様理解深化

お客様一人ひとりのニーズに応える優れたCXを提供するためには、継続的にお客様理解を深めていくことが必要です。しかし、データを適切に収集、整備、活用できずに、ニーズを捉えきれないといった問題が根深く生じています。その理由は、さまざまなシステムにお客様データが分散、データ品質が低い、分析スキルの不足などがあります。対応策として、拡張性とセキュリティを確保したデータ活用基盤構築、分散するお客様データの集約・ID統合/名寄せ、データマート整備やユーザビリティに優れた分析ツール導入を通じたデータ活用促進などがあげられます。

(3)機動的な体験価値最適化

お客様理解を深めた上で、さまざまなお客様とのタッチポイントを通じてCXを提供・改善していくことが必要です。しかし、実施した施策の効果が見えずに何を改善すべきか特定できない、きめ細やかなUIの改善や施策のパーソナライズ化に労力がかかり充分に対応できない、システムを変更しようとすると数か月かかってしまう等、スピーディにCXを最適化することが困難という課題も生じています。このような課題を解決するためには、データを活用した施策のPDCAやアジャイル開発手法を取り入れること、疎結合なアーキテクチャやビジネス部門自ら変更・改善のできるツール導入等によって、短期サイクルでの改善・検証を可能とすることが必要です。

(4)デジタルケイパビリティ向上

社内に推進できるデジタル人材が不足し、取り組みが加速していかないことも大きな課題として挙げられます。課題解決のためには、外部からの人材獲得、委託に加えて、社内デジタル人材の育成プログラム整備、デジタルCoE組織を起点とした現場組織でのDX推進の自走化、文化醸成といった対応策が有効です。

NTTデータでは、上述の課題解決を図りながら、企業のデジタルテクノロジーを活用したお客様体験の向上・変革(CXイノベーション)を、構想から実現まで伴走型でサポートしています。

図3:CXイノベーションの全体像

図3:CXイノベーションの全体像

3.CX向上を通じたお客様LTV向上

ここまでは企業全体でいかにCXを向上するかという点について述べました。ここからはCX向上を通じて、自社にとっての理想的なお客様を効果的に増やしていくためのポイントについて整理します。理想的なお客様とは、自社が提供する商品やサービスに対するお客様LTV(Life Time Value:お客様生涯価値)が高く、満足度の高さから他者にもサービスや商品を推薦してくれるようなユーザーのことを指します。
お客様のライフサイクルは、まだ自社と接点を持たない潜在顧客から始まり、ファンや推奨者となるまでの一連のプロセスであらわすことができ、右側に行くほど、理想的なお客様となります(図4)。ここで重要なのは潜在顧客からファン/推奨者になるまでのあらゆる接点において、お客様のライフサイクルに合わせた優れたCXを、各プロセスで分断させずに一貫して提供することです。

図4:カスタマーライフサイクル

図4:カスタマーライフサイクル

この一連のプロセスにおいて、お客様を獲得し、ファン/推奨者へと繋げていくためのポイントはいくつかありますが、どの企業においても重要となるのが入り口の改善です。潜在層をお客様化し、リピーターやファン/推奨者まで繋げるためには、理想的なお客様となりうる層に焦点を当てたプロモーション戦略が効果的です。しかし、そもそものターゲットが曖昧で、適切にターゲットへアプローチすることができず、コストや時間が余計にかかってしまうといった非効率な事例が散見されます。また、近年ではフェイスブック、グーグル、ヤフーなどの大手広告運用媒体による自動最適化技術が高度化しています。大手広告媒体に最大化させたい成果地点を連携することで、広告の配信先が自動的に最適化される中、広告成果を高めるために、媒体側に精度の高い情報を提供する重要性が高まっています。

4.データドリブンマーケティングによる理想的なお客様層獲得

理想的なお客様層の取り込みという課題については、デジタルマーケティング運用サービスによるお客様データを活用した精度の高いターゲット設定で解決することができます。金融機関における金融商品販売の例を見てみましょう。
一般的な媒体の最適化については、Webで取得できる成果地点(以下の金融商品の例だとWeb口座開設)で行われますので、Webの口座開設を最大化するように広告は配信されます。その結果、口座開設しても金融商品を購入しないお客様や、他カテゴリのサービス(ローン等)を利用しない又は審査に通らないお客様ばかりが増加するといった課題に直面します。他方、お客様の購買データや属性データなどのマーケティングデータが一元的に蓄積されているカスタマー・データ・プラットフォーム(CDP)を活用したデジタルマーケティング運用を通じて、理想的なお客様の特性を分析し、媒体に学習させることによって、早い段階で最適化を開始し、早期に結果を出すことが期待できます。

図5:金融商品販売における最適化

図5:金融商品販売における最適化

5.おわりに ~NTTデータのデジタルマーケティングソリューション~

これはほんの一例に過ぎませんが、NTTデータでは、上述したCXイノベーションの取り組みに、デジタルマーケティングオペレーション領域のラインナップを追加し、企画から実行までEnd to Endでのサービスを提供しています。従来のデジタルマーケティングの戦略設計やカスタマーライフサイクル及びKPI設定、カスタマージャーニーの設計といった企画分野に加え、CDPと連携した集客、最新のマーケティングツールを活用したLTV施策/ツール、単なるバナーやランディングページに留まらないコンテンツ制作といった豊富なサービスラインナップを揃えています。他社にはない実行までを考慮した企画、豊富な経験に基づく信頼のあるシステム構築、一流のデジタルマーケティング運用体制によって、これからもお客様企業のビジネスを加速していきます。

図6:デジタルマーケティング運用サービスの全体像

図6:デジタルマーケティング運用サービスの全体像

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