[Trend]

ITは個への最適化をあらゆるサービスにもたらし、人々のニーズを掘り下げていく。一方、インターネット上で個を確認する手段は脆弱で、個の追跡とAI分析がもたらす権利侵害も危惧される。個を活かし護る技術の具体化が急がれる。

[Abstract]

ITがもたらす個別最適化は、あらゆるサービスに必然の機能となる一方で、「最適」で不遠慮な広告で人々を取り囲み、様々な犯罪の恐怖をもたらす元凶でもある。個の無制限な追跡にブレーキをかけつつも、間違いのない個の識別による着実で高効率な社会の到来を目指す、難しいバランスの探求は継続するだろう。
興隆するパーソナライズサービスはより詳細に個別最適を極める。さらに緻密なレコメンドに留まらず、放置される時間の長かった高価な別荘から、かつての名作、アスリートの素晴らしいプレイにまで光を当て、価値を掘り起こし、人々の嗜好とのマッチングを提案する。消費者が高い満足を得て継続的な支払いを続けるこうしたサービスビジネスは、伝統ある産業領域にも拡がり、自動車のようなモノ、ハードウェアであっても、ソフトウェアがもたらす自分専用のカスタマイズや、新たな提案が次々に提供されるサービスが融合されつつある。
一方で、この個別最適化をある意味で最大限活用したダイレクトマーケティングが、同意万能主義のもと野放図に個人のあらゆる情報をかき集め、欲望に働きかけんとする在り方が強く非難されている。さらに個別の情報を顧客から預かるというリスクへの認識が希薄な事業者が、迂闊なID管理で犯罪を誘発する失態も散見される。
今後ITを活用する者は、個の追求をあらゆるサービスの前提とし、強いIDによる行政サービスなどの効率化を進める一方で、その濫用には自ら制約を課すコントロールを実現していくだろう。