[Trend]

企業競争力の源泉としてプロセッサやネットワークなどIT基盤を自ら開発する動きが拡がる。AIへの目的特化や性能追求で多様化複雑化するインフラをパッケージするクラウドは、ベストプラクティス集積の場として存在感を増す。

[Abstract]

ITを支えるチップやネットワークといった基盤技術は、より複雑さを増しながら、継続的に性能向上を続ける。近年はIT基盤における優位性確保が企業の競争力に直結する傾向がさらに強まり、クラウドベンダのみならずサービス提供企業もこうした技術の自前開発に参入する。新たなサービスが実現する時期を占う意味でもこのITインフラ技術の主導権の変化と動向には注目すべきだろう。
半導体チップの微細化製造技術は5nmプロセスに達し、さらなる性能と省電力がもたらされた。さらにムーアの法則3ページ目といわれるチップ重層化など「後工程」技術、新材料の発見や活用をめぐり、チップ製造を司る数社の生き残り企業の競争が続く。一方、プロセッサ「設計」は製造と分離され、参入障壁が下がり、サービスやAIを専門とする企業が担いつつある。彼らは、独自のソフトウェアノウハウに加え、膨大なユーザから得たプロセッサの利用シーン=システム利用傾向をインプットに、最適なチップを設計し、世界を席巻している。そしてネットワーク技術は、オープン化が進む5Gの展開のみならず、衛星インターネット、低出力なメッシュネットワークなどが次々と実用化され、用途毎に組み合わされ、複合的に利用する形態に移りつつある。こうした複雑なネットワーク構成がパッケージ化され、クラウドの一部としてサービス提供される日も近いだろう。
このようにIT基盤は、サービスとインフラの垂直統合が進展する。サービス提供企業が、資金力、巨大なユーザベースを最大限活用しIT基盤においても主導権を握り、新たなサービスの実現時期を左右する傾向は当面続いていくだろう。