「シンクライアント方式を活用した次世代IC乗車券・電子マネーシステムのプラットフォーム事業」の取り組みについて

サービスインフォメーション

2011年11月22日

株式会社NTTデータ

株式会社NTTデータでは、「シンクライアント方式を活用した次世代IC乗車券・電子マネーシステムのプラットフォーム事業」検討の一環として、総務省「ICT経済・地域活性化基盤確立事業」(「ユビキタス特区」事業)の委託を受け、本事業に必要な基盤技術の検証および実証実験を実施しました。

本事業の意義と目的

国内交通事業者においては、鉄道を中心に乗車券のIC化が進み、既に都市部を中心に多くの交通事業者で導入され、事業者間の相互利用も進んでいます。IC化に伴い、利用者に対する利便性が向上する一方で、交通事業者に対しては高性能な乗車券システムの導入に対する負担が増大し、特に地方の中小交通事業者においては、事業規模に応じて柔軟な構成を取り得る乗車券システムの開発が望まれています。

また、交通事業者、通信事業者、流通事業者、クレジットカード事業者などさまざまな事業者から発行されている電子マネーは、その種類、発行枚数ともに増加の一途を辿っています。小売店における決済だけでなく、自動販売機、タクシーをはじめとした交通機関など、利用場所も増加しているほか、携帯電話にもICカード機能が搭載されるなど、電子マネーの普及・拡大の勢いは著しいものがあります。

これらの背景を踏まえて、本事業は「シンクライアント型次世代IC乗車券・電子マネーシステムのプラットフォーム」を構築し、システムの導入が困難な地方の中小都市の公共交通機関、物販施設、および海外の公共交通機関等にサービスを展開することを目的としています。

実証実験の実施について

シンクライアント方式を活用したIC乗車券を今後展開するうえでの課題の抽出および整理を行うことを目的に実証実験を実施しました。

実証実験のフィールドとして、那覇市の「沖縄都市モノレール株式会社」の協力の下、沖縄都市モノレール株式会社が運営する「ゆいレール」沿線の3駅を実証対象駅として、シンクライアント方式によるプロトタイプIC乗車券システムを設置しました。

実証実験の実施にあたり、実験参加者へのアンケートを行い、実際にシンクライアント方式のIC乗車券を使用したユーザの生の声に基づいて利便性の観点から分析しました。

実証実験の概要

実施場所

沖縄都市モノレール株式会社(那覇市)

実施期間

平成21年3月1日(月)から3月12日(金)までの土曜、日曜を除く計10日間

実験参加者

関係者から100名程度

実証対象駅

3駅(那覇空港駅、県庁前駅、おもろまち駅)とし、駅有人改札付近に改札端末(ノートPCおよびICカードリーダライタ)を設置するとともに、データセンタに設置したサーバとの通信回線を敷設。

本事業における契約額および実績額:159,964,730円(消費税および地方消費税を含む)

【図】

実証実験のイメージ

【写真】

実証対象駅における機器の設置状況

利便性に関する評価について

実際にシンクライアント方式のIC乗車券を使用した実験参加者に対して、実証実験システムの体感処理速度についてのアンケートを実施した結果、約6割の参加者は「速いと感じた」「特になにも感じなかった」と回答し、残る約3割の参加者が「長すぎた(待たされていると感じた)」と回答しました。ユーザ利便性の向上のためにはシステム処理速度の改善とともに、実用化においては改札機器や機器の操作性を含む総合的なユーザビリティの改善による体感速度の向上が必要と考えられます。

今後の取り組みについて

本事業検討にあたり実施しました基盤技術の評価および実証実験の結果を踏まえて、今後さらに必要な技術実証・運用実証の実施を検討し、システムの実用化を目指します。

注釈

  • シンクライアント(Thin client)

    クライアント端末(本実証実験の場合は改札端末)に必要最小限の処理をさせ、ほとんどの処理をセンタサーバに集中させたシステムアーキテクチャー。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ
リージョナルビジネス事業本部
e-コミュニティ事業部
本松
TEL:050-5546-2451
E-mail:motomatsut@NTTdata.co.jp